日本代表は9月23日、ドイツのデュッセルドルフ・アレーナで行われたキリンチャレンジカップ2022でアメリカ代表と対戦。2-0で勝利を収めた。

この試合で先発フル出場を果たしたDFの一人が冨安健洋(アーセナル)だ。冨安は昨季、イタリア1部ボローニャからイングランド1部アーセナルに移籍、デビュー直後から右SBのレギュラーに定着していた。しかし、ふくらはぎを傷めた影響から年明けより欠場。その影響からか、今季のプレミアリーグもやや出遅れた格好を取っていた。それを示すかのように、プレミアリーグで出場した6試合(9月26日時点)はいずれも途中出場にとどまっている。

そんな冨安に巡ってきた、国際Aマッチでの先発出場。前半はCBのポジションにつくと、最終ラインからの縦パスで何度も攻撃をビルドアップした。さらに相手の好機に鋭く反応、ボールをカットする他、素早いドリブルで駆け上がる相手にも並走し、巧みに体を入れるとボールを奪い攻撃の芽を摘むシーンも見られた。

後半から、CBの位置にDF伊藤洋輝(シュツットガルト)が入ったことを受け、冨安は右SBにポジションを変更。MF伊東純也(フランクフルト)の抜け出しにスルーパスを送るなど、右サイドからの好機を演出した。恵まれた身長(187cm)がロングボールの処理にも活きたことは、言うまでもない。終わってみれば失点はゼロ、そればかりか相手には枠内シュートすら打たせなかったとあり、守備陣の健闘が光る結果となった。

こうして今や日本代表のディフェンスに欠かせないとも言える冨安だが、実はまだ23歳と、日本代表の平均年齢から見ても若い方だ。彼の経歴を紐解くと、中学生からアビスパ福岡の下部組織に入団。U-15そしてU-18と上がり、当時高校2年生だった2015年10月には早くもトップチームでの公式戦デビューを果たしている。2018年からはベルギー1部のシントトロイデンに移籍、そこでも活躍を見せると翌年にはセリエAのボローニャFCにて背番号14をつける選手となった。

先述の通り、昨季からはアーセナルでプレーする冨安。この日、アメリカ代表のゴールマウスを守ったGKマット・ターナーとは、チームメイトの間柄だ。試合中からふとしたときに笑顔を交わすシーンが見られ、試合後には互いの健闘を称え、シャツを交換する姿が見られた。そもそもアーセナルで冨安はSBでプレーすることが多く、今回の代表での活躍は自信となったに違いない。所属クラブに戻った後も、躍動が待たれるところだ。

そんな期待を頭の片隅にしていたところ、アメリカ戦からほどなくして、冨安のクラブ事情を理由とした代表離脱が発表された。ここまで彼の出場時間を慎重に見極めてきたアーセナルからすれば、いきなりフル出場という采配にいてもたってもいられなかったのかもしれない。これを受けて、次のエクアドル戦は冨安を欠いた状態での戦いを強いられる。森保監督は既に前日記者会見にて、アメリカ戦から先発全員を入れ替えた戦いを示唆。CBには伊藤洋輝や谷口彰吾(川崎フロンターレ)の先発が濃厚とされている。もちろん2022年FIFAワールドカップ本番に向け、様々なシチュエーションを想定したテストが必要ではあるが、アメリカ戦では攻守に渡って冨安の活躍が目立っていただけに、欠いた状態での戦況は一つ注目すべき点になるだろう。

少し余談にはなるが、アメリカ戦の後ファンサポーターの声を見ると、冨安の鍛え上げられた肉体への称賛が上がっている。昨季途中での怪我は彼にとって痛手だったに違いないが、その分、自身の身体と向き合う時間が充実したことを物語っているのかもしれない。23歳の若き才能がカタールの地で光り輝く瞬間は、もうすぐそこだ。
 

photo:徳丸篤史 Atsushi Tokumar

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