オランダ国内で地道に積み上げたキャリア
これまで代表マッチウィークは家で家族とゆっくり過ごす生活だったかもしれない。そんな生活が今年に入って一変しそうなのが、アヤックスでプレイする38歳のオランダ人GKレンコ・パスフィールである。
2004年にトゥエンテのトップチームと契約したパスフィールは、どちらかといえば地味なキャリアを歩んできた。トゥエンテでは1番手になれず、ゴー・アヘッド・イーグルスやヘラクレスといったオランダ国内の中堅クラブで地道に経験を積んできた。
2014年には名門PSVと契約を結んだが、ここでも1番手にはなれなかった。この時PSVで1番手だったのは、自身より7つ年下のイェルーン・ズートだ。ズートは2013年にオランダ代表デビューも果たしており、パスフィールよりも序列が明らかに上だった。PSVでの3年間でパスフィールに出番が回ってきたのは計18試合のみである。
花開いたのは、2017年にフィテッセへ移籍したあたりからだ。昨年にはアヤックスと契約を結び、そこで守護神の座をゲット。その活躍が認められ、今月の代表マッチウィークで初めてオランダ代表から招集を受けた。
代表監督ルイ・ファン・ハールは22日のポーランド戦、25日のベルギー戦と2試合続けてパスフィールを先発起用しており、パスフィールも起用に応えて2試合連続でクリーンシートを達成。38歳からオランダ代表守護神への道が開けたのだ。
11月8日にパスフィールは39歳の誕生日を迎えるが、このままいけば39歳でワールドカップ初出場となりそうだ。カタール大会本番でも代表に招集される可能性が高く、イェスパー・シレッセン、マルク・フレッケン、ユスティン・バイロウといった自身より年下の選手を抑えて1983年生まれのパスフィールが守護神に入ると予想されている。
世代別代表にもあまり縁がなかった男が38歳で代表デビューするのは極めて珍しい事例だが、オランダ国内でコツコツと経験を積んできたパスフィールの努力が報われたことになる。今年はワールドカップ期間中も家族でゆっくりとはならなそうだ。