ことし11月20日に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。ワールドカップを制覇した各国チームと選手たちを追うNetflixのドキュメンタリー番組『チャンピオンへの軌跡』(エピソード7「フランス:国家の歴史」)において、W杯におけるフランス代表の歴史を振り返ることができる。
W杯でかつて一度も決勝に進んだことがなかったフランスが自国開催での初優勝を果たした1998年フランスW杯。クロアチアとの準決勝ではDFリリアン・テュラムが貴重な2ゴールを決めてチームを決勝に導き、ブラジルとの決勝ではジネディーヌ・ジダンがヘディング2発を決めて3-0で快勝した。
その日は「全てのフランス人にとって特別な日」になったという歴史家ジュリアン・ソレンツ。「あの日は“パリの解放”(1944年)にも例えられますが、シャンゼリゼ通りだけでなく、国中に人があふれました」と国全体が歓喜に包まれたことを歴史家ポール・ディエッチは回想する。
作家ジョン・カーリンは当時のことを、「現在のフランスは多様な人種が共存し、移民による政治的問題を抱えている。その国に20世紀最大の栄光をもたらした代表チームの選手の半分が移民出身という事実は興味深い」と語る。それだけに「多文化社会の象徴であるフランス代表チームの勝利は“これで国民が平和に共存できる”という希望をもたらしました」とポール・ディエッチは説明する。
多くの人種を抱える複雑なフランス社会を象徴する代表チームは、20年ぶりに再び歴史を作った。2018年ロシアW杯の前には、ポール・ディエッチは「私は楽観しています。今の代表には(アントワーヌ・)グリーズマンを始め、当時と同等以上のメンバーが揃っています。フランス代表はそれほど遠くない将来に再び世界一になれるはずです」と期待を寄せ、元フランス代表のアンドレ=ピエール・ジニャックも「フランスはまた優勝できる」と信じていた。そして、フランス代表はその期待に応えるかのように、2018年ロシアW杯で2度目の優勝を成し遂げたのだった。