キャリアの正念場を迎えたアレクサンダー=アーノルド

アレクサンダー=アーノルドの所属するリヴァプールはユルゲン・クロップ監督の下、ここ数年に渡ってイングランド・プレミアリーグで優勝争いを繰り広げている。同時にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でも上位進出を果たし、欧州屈指のメガクラブとしての立ち位置を確立しているが、今季は開幕から苦しんでいる。退団したサディオ・マネの穴埋めに苦戦していること、そして各ポジションにケガ人が続出しておりフルメンバーが揃わないことから、リーグ、CL共に難しい試合が多くなっている。

そのような状況において、アレクサンダー=アーノルドの置かれている立場は難しいものとなっている。ケガ人が多いというチーム事情もあるが、守備で穴になってしまい、失点に絡むことが増えた。とはいえ、攻撃では高精度のキックで違いを作り続けているのも事実。今はまさにキャリアにおける正念場といえる。

ジェラードの後継者から欧州屈指の攻撃的サイドバックへ

6歳からリヴァプールの下部組織に所属しており、ユース時代は現在プレーしているサイドバックではなく、MFを主戦場としていた。下部組織では常に世代最高の選手との評価を受けており、プレースタイルの相似からクラブのレジェンドであるスティーブン・ジェラードと比較されていたこともあった。

そんなアレクサンダー=アーノルドはクロップ体制2年目となる2016年10月26日のリーグカップでトップデビューを果たしている。クロップはそれまで本職としていたMFではなく、右サイドバックに適性を見出した。クラブはこの若者の才能を高く評価し、2017年夏には長期契約を結び、トップチームの戦力として数えられるようになった。

2017-2018シーズンは右サイドバックのレギュラーを務めていたナサニエル・クラインの負傷離脱に伴い、試合出場数を大きく伸ばすシーズンとなった。2017年8月のプレミアリーグ開幕戦でスタメンに抜擢され、堂々たるパフォーマンスを披露すると、その4日後のCL予選プレーオフのホッフェンハイム戦でFKからプロ初得点をマークした。その後はジョー・ゴメスと併用されながら最終的にはリーグ戦19試合に出場し飛躍のシーズンとなった。

そして迎えた2018-2019シーズンはワールドクラスのサイドバックとして認知されるきっかけのシーズンとなっている。リヴァプールは開幕からハイペースで勝ち点を積み上げ、マンチェスター・シティとハイレベルな優勝争いを展開した。高速クロスから何度もチャンスを演出し、12アシストという異次元の数字を残した。最終的にリーグ優勝はシティに譲ったが、CLではバイエルン、バルセロナ、トッテナムといった強豪を破り、見事優勝を果たした。特にバルセロナとの2ndレグで機転を利かせたCKからのアシストは、今でもリヴァプールファンの中で語り草となっている。

欧州屈指の攻撃的サイドバックとしての地位を確立したアレクサンダー=アーノルドはその後もハイパフォーマンスを続けている。当たり前のようにシーズン二桁アシストを記録し続けており、2019-2020シーズンには自身初のプレミアリーグ優勝を成し遂げた。すでにリヴァプールを象徴する存在と言っても過言ではないだろう。

ジェラードを参考にキックの強さと正確性を高次元で両立

最大の武器は世界最高峰の破壊力を持つ右足のキックだろう。下部組織時代から「ジェラードを参考にして磨き上げてきた」と本人が語るように、キックの強さと正確性を高次元で両立しているのが特徴的だ。

サイドからの高速クロスを相手DFとGKの間に送り込んでアシストを量産するほか、セットプレーの場面でもオランダ代表DFフィルジル・ファンダイクを始めとするターゲットにボールを送り届けてスコアを動かすことができる。またビルドアップの場面でも得意のキックを用いて相手DFラインの背後にボールを送り込み、逆サイドへの正確なサイドチェンジでプレッシャーを回避するといったプレーも得意だ。中盤出身であることからプレッシャーに強く、ビルドアップでの貢献度が高い。

攻撃面で高い評価を受ける一方で弱点も存在する。世界トップクラスのサイドバックと比較すると、守備面では劣る部分が多い。対人守備に関しては年々成長している様子が見られるが、組織的な守備を苦手としており、ポジショニングの悪さを突かれて失点してしまうことも少なくない。また高い位置を取ることが多いため、必然的に戻り遅れるシーンが増えてしまうのも弱点の一つだ。実際に今季はこうした部分が顕著に現れて勝ち点の取りこぼしに繋がっており、今後改善が必要となるのは間違いないだろう。

激戦区・イングランド代表の右サイドバック争いを制することはできるか?

アレクサンダー=アーノルドの代表デビューは2018年6月であり、同年行われたロシアワールドカップのメンバーにも選出されている。2021年夏に行われたユーロ(欧州選手権)ではメンバーに選出されながらも、負傷によって辞退することに。2022年6月の代表ウィークでは4試合中1試合の出場に留まり、9月の代表ウィークに関しては2試合続けてベンチからも外れるなど、代表で地位を確立しているとは言い難い現状だ。イングランド代表の右サイドバックはカイル・ウォーカーやキーラン・トリッピアー、リース・ジェームズら実力者が揃う激戦区であり、2022 FIFAワールドカップ カタール(カタールW杯)メンバーに選出されるにはさらなるアピールが必要となりそうだ。

文・加藤亮汰

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