スーパースター揃いのシティで攻撃のタクトを振るう

今回は、マンチェスター・シティで背番号20を背負うポルトガル代表MFベルナルド・シウヴァのこれまでのキャリアや代表での活躍、プレースタイルについて紹介する。

今夏にマンチェスター・シティは前線の選手の入れ替えを行った。ノルウェー代表FWアーリング・ハーランドを獲得し、今冬に完全移籍での加入が決定していたアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスもチームに合流した一方で、ブラジル代表FWガブリエウ・ジェズスとイングランド代表FWラヒーム・スターリングがチームを去っている。

ウイングを務めることが多かった2選手が退団したことで、昨季は中盤での起用が大半だったベルナルド・シウヴァは本来のポジションである右ウイングで出場機会を増やしている。長く中盤でプレーした経験を生かしたプレーができており、中央でもボールを触りながらゲームを作る役割を担っている。

ポルトガル、フランスで才能が開花。72億円でシティへ

ポルトガルの首都リスボンで生まれ育ったベルナルド・シウヴァは、2002年に8歳で名門ベンフィカの下部組織に入団した。同い年のジョアン・カンセロ、一個上のエデルソンとは10代からともにベンフィカのユースチームでプレーしてきた選手たちだ。

2013-2014シーズンにトップチームに昇格すると、いきなりリーグ戦全試合に出場するなどチームの絶対的な主軸に定着。数年にわたってベンフィカを支える選手になるかと思われたが、シーズン終了後にレアル・マドリードへと移籍したハメス・ロドリゲスの後釜を探すモナコに引き抜かれる形でポルトガルを去った。そのため母国のトップリーグでのプレー経験は1年しかない。

当時のモナコはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の舞台でも決勝トーナメントに進出するなどメンバーが揃っており、ブラジル代表MFファビーニョやフランス代表FWアントニー・マルシャルら後にプレミアリーグでライバルチーム所属となる選手たちと共闘した。

フランス代表FWキリアン・エンバペとコロンビア代表FWラダメル・ファルカオを擁した2016-2017シーズンには、当時リーグ・アン4連覇中だったパリ・サンジェルマンを勝ち点8差で上回り、1999-2000シーズン以来のリーグ優勝を成し遂げた。その中でベルナルド・シウヴァはリーグ戦で8得点11アシストとリーグベストイレブンに選出される活躍を披露し、CLでもベスト4進出と近年最高のチームの中心を担った。

この活躍を受けて2017年夏にマンチェスター・シティが、4500万ポンド(約72億円)の移籍金で獲得した。加入初年度こそプレミアリーグの適応に苦しんだが、2年目の2018/19シーズンにはクラブの年間最優秀選手とプレミアリーグのベストイレブンに選出される活躍を披露。あのジョゼップ・グアルディオラが「ベルナルドを先発から外すなんてあり得ない。今のチームは彼とあとの10人で成り立っているからね」と語るほどチームには欠かせない存在だ。

その証拠にベルナルド・シウヴァがシティに加入して以降、プレミアリーグで優勝できなかったシーズンはリヴァプールに優勝を譲った2019-2020シーズンしかなく、彼の加入がチームに与えた影響は計り知れない。

テクニシャン型ドリブラー

ベルナルド・シウヴァはテクニシャン型のドリブラーだが、90分間走り続けることができるスタミナの持ち主でもあり、ピッチ上を駆け回りながら攻守に奔走する。そのためほとんどの試合でチーム1位の走行距離を記録している。

相手選手からボールを奪われることは稀な卓越したボールキープ力も持ち味でピッチのあらゆるところでタメを作れる選手だ。自らがボールを持つことで周りの選手をフリーにし、そこから精度の高い左足のキックで局面を打開する。シーズン二桁を記録するほど得点とアシストを量産するわけではないが、ファイナルサードでのクオリティも抜群だ。

また怪我が非常に少ない選手でも知られ、やや序列を落とした2020-2021シーズン以外はほぼ全試合に出場している。身長は173cmとフィジカル能力に優れているわけではないが、強度の高いプレミアリーグでも安定して出場機会を得ることができているのは日々のケアの賜物だ。

ポルトガル代表でも不動の地位。母国を史上初の優勝へ

モナコ所属時代の2015年3月にポルトガル代表デビューを飾っている。ユーロ2016(欧州選手権)は怪我の影響で出場を逃したが、2018年のロシアワールドカップ、2021年のユーロは全試合に出場するなど代表でも不動の立ち位置を築いている。

11月に控える2022 FIFAワールドカップ カタール(カタールW杯)の出場もアクシデントがない限りは確実視されており、近年力を付けてきている母国を史上初の優勝に導けるだろうか。

(文・安洋一郎)

FIFA ワールドカップ カタール 2022 完全ガイド by ABEMA
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