ことし11月20日に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。全64試合を無料生中継するABEMAでは、毎週日曜夜にワールドカップ情報をお届けする『FIFA ワールドカップ64』を放送中。10月23日深夜の放送では、デンマーク代表のクリスティアン・エリクセンの奇跡のエピソードを取り扱った。

【映像】救急車の中で自分が「死んでいた」と初めて実感

エリクセンは当時の出来事について「自分が死んでいたことには、気づいていませんでした」と回顧。アクシデントは2021年6月のヨーロッパ選手権のデンマーク対フィンランド戦で発生。この日もチームの主軸で活躍していたエリクセンだったが、前半終了間際になんの前触れもなくピッチへと倒れこんだ。

理由は心臓発作による心停止で、対戦相手のなかには最悪の事態を予期して涙する選手もおり、チームメイトは観客やテレビカメラからエリクセンを隠すように立ち続けた。

エリクセンは救護スタッフの救命措置によって意識を取り戻し、病院へ緊急搬送。倒れた瞬間について、本人は「倒れる間際、ひざが変だしふくらはぎにけいれんが起きた感じで……そして目の前が暗くなったのです。目が覚めたときは仰向けでした。遠いところにいたような感覚でした」とコメントして、「救急車の中で自分が『死んでいた』と初めて実感しました。天国にいった数分以外はすべて覚えていますよ」と振り返った。

このニュースは瞬く間に世界中に広がり、元イタリア代表のフランチェスコ・トッティ氏は「10番は絶対に屈しない! 全員が君と一緒だ」、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドは「ピッチで会えることを願っているよ」とSNS上で発言するなど、世界から激励のメッセージが届けられた。

するとエリクセンは倒れてから3日後に「こんにちは、みんな! 世界中からメッセージをありがとう。私は大丈夫!」と感謝の想いを発信。その後、手術で突然死を予防する器具である植込み型除細動器(ICD)を体内に装着した。

ICDに慣れるのに苦労したというエリクセンだったが「私がまた倒れると思っているなら大間違いです」と言い切ると、「サッカーが大好きだから」「代表に復帰するのが目標なんです」と闘志を燃やしていた。

心停止から8か月後に復帰したエリクセンは、2022年3月にデンマーク代表に再選出。復帰戦ではスタジアムが一体となって彼を称え、途中出場からわずか2分後にみずから得点。まさに世界中のサッカーファンが待ちわびた瞬間で「英雄の帰還」と報じられた。

エリクセンは「目標はカタールW杯に出場することです。それは私の目標であり夢。もう2度と倒れるつもりはないです」と力強く語った。