SKY−HI(S) JUNONとサッカーの話をするのははじめてだよね。
JUNON(J) そうですね。SKY-HIさんはどこでサッカーをやっていたんですか。
S 僕は、小学生の頃は市川カネヅカサッカークラブや市川フッチ(ST−FUTE)で。中1の時にはもうドラムを叩き出して、これだ!と思っていたけど、部活に入って3年生までは続けたよ。きっかけは、キングカズ(三浦知良)。7歳の時にJリーグ元年で、その前からテレビで毎晩その話題をやっていたので、サッカーってすごいなあって思ってた。キングカズは、自分のサッカー物語の主人公だったね。
J 僕は小学1年生の時に始めました。もともと野球をやろうと思って体験に行ったんですけど、親がサッカーも体験してみる?と言うので軽い気持ちでやってみたら、楽しすぎて、その場で入会しました。小学校のグラウンドでやっているクラブチームだったんですけど、そのうち3つチームを掛け持ちするようになり週6でサッカーやっていました。中学では部活に入ったんですけど、サッカー以外のルールや先輩後輩の関係とかが自分に合わなくて。なんか違くない?って。
S JUNONは俺にもタメ語だもんね。
J いやいや、それはないです。
サッカーで思い出すこと
S 僕は、小学3~4年の時に選手コースに上がったら、昨日までニコニコしていたおじさんが急に「ほら、球際まで追え! 諦めんな!」って怒鳴り始めて、大人の怖さを知りました(笑)。
J あはは。結局、学校通いながらできる環境って部活しかなかったので、高校3年の受験期まで続けたってかんじです。やめる頃には自分の気持ちもだいぶ離れていて。
S 恋愛みたいな(笑)。
J でもサッカーやってる時はすごく楽しかったです。小学生の頃の夢はサッカー選手でしかなかったですし。一番の思い出は、フットサルチームでブラジルに遠征に行ったんですけど、その時、パルメイラスのジュニアチームと試合をして、1点決めたことです。試合はボロ負けでしたけど。
S すごいね。僕も楽しいことはいっぱいあったけど、思い出すのは悔しいことばかりだな。県セレクションに落ちたとか、爪が剥がれたこととか。好きな選手はいた?
J ロナウジーニョとかカカとかブラジル代表の選手が好きでした。
S その時代かぁ。僕は、ワールドカップでいうと98年フランスからかな。06年ドイツあたりから同い年の選手が出始めて見方が変わった。
J そうですよね。僕も同い年のエムバペが出てきた時、ヤバいな、こんな選手いるんだって思って。田中碧選手や冨安健洋選手も同じ98年生まれです。
S 僕の同世代は、本田圭佑、長友佑都、岡崎慎司。この前、本田圭佑選手とはじめてプライベートでお会いしました。
サッカーから得たものは?
J サッカーを通じてメンタルが強くなったというのはあると思います。それと、サッカー始める前はすごく体が弱くてしょっちゅう風邪をひく子供だったんですけど、始めてから強くなりました。
S スポーツを本気でやると、体力と気力の限界まで走るよね。それが日常。スポーツ以外でそういうことってないから、スポーツを本気でやった人の「頑張る」キャパシティは、他の人生の「頑張る」より、大きいと思う。
J そこがもしかしたら自分がついていけている要因かもしれません。
S あはは。サッカーは割と諦めないスポーツだもんね。
J 本当にそうですよね。倒れる寸前までいくこともしょっちゅうあるので。
S この年になるとよくわかる。ガチスポーツ経験者とかガチダンス経験者とかいろいろなパターンがあると思うけど、自分も含めてそういうのを死ぬ気で一回やった人の底力は強いと感じるところがある。強豪校とか弱小校とかあまり関係なく。自分の気力と体力の限界まで走ったことのある人はやっぱり強いよね。
それからサッカーから学ぶのは、チームマネージメント。「THE FIRST」でも僕は「個を殺すチームワークはいらない」と言ってたと思うけど、チームワークをよくするため、周りに合わせるために自分を削るっていうのは、誰も得しない。自分と全然違う、三角形や四角形の人がいる状況で、自分を削って丸くしていったら、全体的に小さくなってしまう。三角や四角や棒状のものを組み合わせてダイナミックに作った方がユニークだし、得てして崩れにくい。サッカーチームを見ているとそう思う。ある監督が、監督の仕事はシステム作り、どんな選手が来ても、選手の特性を生かせるシステムを作ることだと言ってた。それはすごく共感する。
J 自分が小学校の頃に入っていたチームもそういうチームでした。個を殺さないというか。あるチームは、ディフェンスなのにボールを取ったらパス禁止でした。
S 面白いチーム! 育成としてはよさそうだよね。
J 全部自分でやれみたいな、それで個人技が身に着いたと思うし、ひとりひとりのプレーを見ていても自分と全然違うプレーをする人もいて、すごく勉強になったしよかったと思う。今の話を聞いていて、BMSGもそういうチームだなと思いました。
S 僕はボーイズグループを作るってなって、フォーメーションに当てはめた時に、守備と攻撃の人が分かれるグループを作りたくなかったから、7トップになっちゃった。
J たしかに。考えたらディフェンスいなかったですね。
BMSGがサッカー部を作ったら?
S 今日をもってBMSGサッカー部を作りますか、部員2名。
J 始めさせましょうよ、みんなに。
S たぶんRUI(BMSGのトレイニー)が入ってくると思うよ。「やったことはないんですけど~、やりたいなと思って」とか言って。野球しかやったことないのに。
J SOTA(BE:FIRST)もやりますよ。
S この前、JUNONに言われたよね。BMSGとかBE:FIRSTって少年漫画っぽいですよねって。少年漫画っぽいのが好きな人が集まっていますよね、SKY-HIさん30超えているのにいつまで少年漫画やってるんですかって。
J そんな言い方はしてませんよ。
S そんな言い方はしてないです(笑)。
J でもなんか考えることが少年心をくすぐるんです。ライブの前の注意事項のアナウンスもSKY-HIさんがちょっと声を変えてストーリーチックに話したりする。こっち側も楽しいし、見ている人もきっと楽しい。そこから楽しんでもらえるような世界観を作ってくれる。楽しい人だなって。
S はい、楽しい人です。この前のBMSGフェスでもやったよね。
J 僕たちの「こういうのやりたい」っていうのを、禁止される以前にSKY-HIさん本人がやってくれているので、僕たちも出しやすいです。
S 何やる?
J 何ですかね。
S いっぱいあるよ。
J そうですねえ、この先も楽しみですね。
S 僕はみんなから喜びをもらっているから楽しい。夢は思い描いているだけだと夢だけど、現実にしてくれるのは僕というよりJUNON含めみんななので。みんなと会ってからの夢は現実になった時、想像を超えるので、「夢」って言葉を使うのが怖くなくなった。縁と運のおかげ。サッカーだって、凄い監督やオーナーがいても選手が揃わないと試合はできない、それと一緒。
J 縁といえば、僕もSKY−HIさんとの縁をすごく感じます。7年前にAAAのライブに行って、そこでSKY−HIさんが客席に投げたボールを僕が受け取ったんですよね。
S ボール返してよ(笑)。
J そういえば話だけでまだ見せてないですよね。いやぁ、今、SKY−HIさんとふたりで「ナナイロホリデー」を歌わせてもらうなんて、怖いくらいすごいことですよね。なんでこの人隣にいるんだろう……って。
S 歌い忘れるくらいですよ(笑)。
J はい、緊張しすぎて歌い忘れてしまいました。フェスの2日目に。縁っていうか、これはもう奇跡ですよね。あの時の自分が今の自分を知ったら気絶するでしょうね。
ワールドカップで楽しみなこと
J 僕はワールドカップは毎回見るので、今年も見ますよ。日本の相手がちょっとヤバいんですよね……。でも日本には海外で活躍している選手もたくさんいるし、応援しています。
S 僕も応援しています。あとワールドカップって、ニュースターが出るじゃない? 強豪国のニュースターは現時点でも注目されているけど、そうじゃなくて、意外なチームからすごいサクセスを掴む人が出てくるから、それが楽しみです。その点ではコスタリカ(日本と同グループ)も侮れない。
J あとフランスも楽しみですし、今年はブラジルがすごく強いんですよね。だからシンプルにブラジルのプレーを見たいです。
S 僕は気になるのはベルギー。ワクワクするチームが好き。ヨーロッパは強豪国が揃っていて今回はイタリアが出られない。そう考えるとウェールズはすごいよね。ウェールズといえば僕の世代はギグスだけど。
J 今はレアル・マドリーからアメリカに移籍したベイルですよね。欧州予選のプレーオフで決勝点に絡んだ。オランダはファンダイクに注目ですよね。
S いや~、本当に楽しみだね。
(構成=藤森三奈)
スタイリング=安本侑史、ヘア&メイク=椎津恵(SKY-HI)・クジメグミ(JUNON)
SKY-HI
1986年12月12日、千葉県生まれ。本名:日高光啓。ラッパー、音楽プロデューサー、実業家。2005年にAAAのメンバーとしてデビュー。20年に株式会社BMSGを設立。同年末よりボーイズグループ発掘オーディション「THE FIRST」を開催し、BE:FIRSTを生んだ。
JUNON
1998年5月23日、東京都生まれ。SKY-HI率いる「BMSG」に所属する7人組ボーイズグループBE:FIRSTのメンバーとして活躍中。歌やダンスのレッスンは未経験ながら参加したオーディションではSKY-HIの「ナナイロホリデー」を歌い、高音の美声を披露した。