11月20日にFIFAワールドカップカタール2022が開幕する。今大会は、2002年に行われた日韓大会以来20年ぶりとなるアジアでの開催。さらに22回の歴史の中で、初めて冬に行われるなど、例年と比べるとイレギュラーな大会だ。

そんなカタールW杯を楽しむべく、今大会の注目選手をポジション別に5人選出。今回はゴールキーパー編として、ドイツ代表のマヌエル・ノイアー、ベルギー代表のティボー・クルトワ、ブラジル代表のアリソン、セネガル代表のエドゥアール・メンディ、フランス代表のウーゴ・ロリスを紹介する。

ドイツ代表GKマヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)

ノイアーといえば、果敢な飛び出しで攻撃の芽を摘むプレーが印象的だろう。規格外の守備範囲の広さとそれを可能にする走力を持ち、“スイーパー”としてディフェンスラインの背後をケアする。

また、193cm、93kgの大きな体を駆使したセービングの技術、反射神経も驚異的。GKとして最も重要とされる能力をしっかりと持ち合わせている。

ドイツ代表にはテア・シュテーゲンやケヴィン・トラップらがおり、ポジション争いは世界でもトップクラス。その中でも定位置をキープし、母国を2大会ぶりのタイトル奪還へ導けるか。元日本代表・内田篤人とは親友で、誕生日が同じ。

ベルギー代表GKティボー・クルトワ(レアル・マドリード)

バレーボール一家で生まれ育ち、199cmという長身に加え長い手足も大きな特徴。昨季は所属するレアル・マドリードの選手としてUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦に出場。神がかったセーブを連発してチームの14回目の欧州制覇に大きく貢献するなど、世界トップクラスを誇るセービング能力を兼ね備えている。

今年10月には年間最優秀GKに贈られる『ヤシン・トロフィー』を受賞。前回大会のW杯ではラウンド16で日本代表の前に立ちはだかると、後半アディショナルタイムに生まれた決勝ゴールの起点にもなり、ベルギーを史上初めての大会3位に導いた。今大会、前回果たせなかった決勝進出のためにもベルギー国民からは彼に大きな期待がかかる。

ブラジル代表GK アリソン(リバプール)

反射神経、ハイボール処理、コーチング、足元の技術、キック精度、飛び出すタイミング……。現代のGKに必要な能力の全てがハイレベルな選手。昨季のプレミアリーグで20試合を無失点に抑え、最多タイのクリーンシート記録を達成した。2018-2019シーズンにはCL制覇にも貢献している。

ブラジル代表としては、2018年のW杯で全試合にフル出場し、2019年にはコパ・アメリカ制覇に貢献。準決勝のアルゼンチン代表戦ではリオネル・メッシの放った際どいFKをキャッチするなど決勝までの全ての試合を無失点に抑え、大会最優秀GKに選ばれた。サッカー王国が20年ぶり6度目のW杯制覇を成し遂げるために必要な存在だ。

セネガル代表GK エドゥアール・メンディ(チェルシー)

アフリカ仕込みの抜群の身体能力と鋭い反射神経が持ち味のGK。まるで猫のような敏捷性から繰り出されるビッグセーブでチームを危機から救う。2020年9月にフランスのスタッド・レンヌからチェルシーに入団。加入後はケパ・アリサバラガに変わって守護神を務めるも、今季は監督交代によりベンチを温める日が続いている。

カリドゥ・クリバリやサディオ・マネらビッグネームを擁して臨む今回のW杯。セネガルを2002年大会に収めた最高成績のベスト8以上を目指すべく、最後の砦としてメンディの活躍が必要不可欠だ。レアル・マドリーのフランス代表DFフェルラン・メンディはいとこ。

フランス代表GK ウーゴ・ロリス(トッテナム)

FIFAワールドカップロシア2018でキャプテンとして戦い、優勝トロフィーを掲げた。セービング技術がとても高く、至近距離で打たれたシュートにも反応できるなど、GKとしての基礎能力が高い。また、トッテナムでもキャプテンを務めるなど、チームをまとめるリーダーシップも魅力の1つ。

フランス代表としては2008年に初めて試合に出場し、100試合以上のキャップ数を誇る。トッテナムには2012年から在籍し、これまでビッグクラブ移籍の噂が何度も浮上したが、不動の守護神としてゴールマウスを守り続けている。年齢は今年12月に36歳を迎えるため、これが最後のW杯になる可能性もある。

文・舞野隼大

写真:AP/アフロ