ロドリが所属するマンチェスター・シティは、世界的名将ペップ・グアルディオラの作り上げたチームで、欧州でも圧倒的な完成度の域に達しており、昨季はリーグ2連覇を達成した。結果だけでなく内容面も抜けており、ボールを保持し続けることで試合を支配するといったペップの思想を体現している。今夏には怪物ストライカー、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランドを獲得するなど悲願であるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝のために積極的な補強を行った。
目標に向けて好発進を切ったチームにおいて、ロドリは替えの利かない絶対的な存在として君臨している。4‐3‐3のアンカーポジションで起用され、ビルドアップの際には司令塔としての役割を担う。チームがボールを失った際には高い危機察知能力を活かしてカウンターの芽を摘むなど、中盤のフィルターとして高い信頼度を誇っており、新加入のイングランド代表MFカルヴィン・フィリップスにポジションを譲る気配は全くない。
世界的アンカーであるセルヒオ・ブスケッツの後継者に
スペインのマドリードに生を受けたロドリは、11歳の頃にアトレティコ・マドリードの下部組織に加入した。しかし、6年後の2013年に身体能力不足を理由に放出されてしまっている。そこに目を付けたのがビジャレアルだった。ビジャレアルの下部組織に加入すると順調に成長し、アトレティコ・マドリード退団の理由となった身体能力も大幅に向上した。2014-2015シーズンの後半にはセカンドチームでデビューを飾ると、2015-2016シーズンにはコパ・デル・レイでトップデビューの機会を得た。そして同年にはラ・リーガ初出場も経験している。
2016-2017シーズンから完全にトップチームに定着すると、主に控えとしてリーグ戦で23試合に出場した。そして2017-2018シーズン開幕戦でダブルボランチの一角として先発に抜擢されると、好パフォーマンスを披露しレギュラーの座を掴む。開幕から1ヶ月後に監督に就任したハビエル・カジェハの下ではアンカーとして大きく成長し、シーズンが終わる頃にはバルセロナ所属の世界的アンカーであるセルヒオ・ブスケッツと比較されるまでに至った。
ビジャレアルでの鮮烈なパフォーマンスを受けて多くのクラブがロドリの獲得に動き、古巣アトレティコ・マドリード復帰を決断。起用されるポジションはアンカーではなくダブルボランチの一角だったが、期待に違わないプレーを披露し、評価を更に上げてみせた。そしてシーズン終了後には元ブラジル代表MFフェルナンジーニョの後継者を探していたマンチェスター・シティが、7000万ポンド(約112億円)の移籍金を支払って獲得に成功した。
シティでは加入1年からアンカーのレギュラーに定着している。プレミアリーグ特有のテンポの速さや、ペップのチームにおいて求められる水準の高さに多少戸惑った部分はあったとはいえ、シーズン通して安定したプレーを披露した。2年目以降は完全に適応し、攻守両面でチームに欠かせない存在となっている。
危機察知能力の高さでシティの中盤を支える
アンカーやダブルボランチの一角を主戦場としており、最大の武器は高い危機察知能力だ。ボールがこぼれそうな場所を予想して、先回りすることで相手のカウンターを未然に防ぐことを得意としている。またフィジカルにも優れており、大男の多いプレミアリーグでも当たり負けすることなくボールを奪うことができるほか、空中戦でアドバンテージを握ることも可能だ。
スペイン人MFらしくボール扱いに長けており、ボールタッチやパスの正確性も一級品だ。展開力も高く、ショートパスでの繋ぎだけでなく、中盤の底からの長いボールで攻撃を活性化させるプレーも見せる。得点力に関しても年々向上しており、昨季はボックス内に飛び込むプレーやミドルシュートからゴールネットを揺らしている。
ビジャレアルでレギュラーに定着した2017-2018シーズンから5シーズン連続でリーグ戦30試合以上に出場するなど、ケガの少なさも高評価のポイントだ。
ロシアでの落選を胸にカタールの地へ
ビジャレアル時代の2018年3月にスペイン代表デビューを飾っている。その後も継続的に招集されているが、アンカーには代表のキャプテンであるセルヒオ・ブスケツがいるため、レギュラー獲得には至ってない。2018年のロシアワールドカップに臨む23名の代表メンバーからは漏れた。
だが、直近は序列を上げつつあり、FIFAワールドカップ カタール2022(カタールW杯)前最後の試合となったポルトガル戦では、後半から本職ではないCBでプレーするなど新境地を開拓している。試合後の会見で「CBでプレーするのはマンチェスター・シティ1年目以来だね」と語ったが、堂々たるプレーをみせており、他のCBの負傷時などの緊急事態では同様の起用があるかもしれない。