FIFAワールドカップカタール2022(カタールW杯)が、11月20日ついに開幕する。第22回目にして、初めての中東開催となるカタールW杯。他にも開催地の国土が狭く、史上最もコンパクトな大会と言われるなど、普段と異なる様々な特徴を含む大会である。

32の出場各国では本選メンバーが発表され、現地入りが始まりだしている。日本代表は日本時間11月17日カナダ代表との親善試合を経て、23日にドイツ代表とのW杯グループリーグ初戦を迎え、27日にコスタリカ戦、12月2日にスペイン戦が予定されている(グループE)。

ここではカタールW杯グループリーグ、A〜Hの8つの各グループの順位予想をしていこう。前編はA〜Dのグループを紹介しよう。突破することが安泰なチームが1つもない。ジャイアントキリングも起こり得る。色々予測しながら、勝敗予想をするのも楽しみの1つである。


カタールW杯グループリーグ突破予想【前編】グループA~D
オランダ代表 DFフィルジル・ファン・ダイク 写真:Getty Images

グループA順位予想

  • 1位:オランダ
  • 2位:セネガル
  • 3位:エクアドル
  • 4位:カタール

グループAでは、W杯初出場に燃える開催国カタール、中南米のコンドルことエクアドル、アフリカ王者セネガル、そして過去最高チームの呼び声もあるオランダが競う。

ここでは、オランダが大本命であろう。DFフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)やDFマタイス・デ・リフト(バイエルン・ミュンヘン)らが順当にメンバーに選ばれた。6月から9月にかけて行われたUEFAネーションズリーグ2022/23のグループステージにおいても、ベルギー、ポーランド、ウェールズを抑え、堂々のグループ1位で決勝ラウンド(2023年6月)に駒を進めた。

対抗としては、セネガルが挙げられる。不安要素としてはFWサディオ・マネ(バイエルン・ミュンヘン)が怪我から復帰することができるかが微妙なところである。しかし、直近のアフリカネイションズカップ(2022年2月決勝)を制した力は間違いなく本物であろう。

開催国の後押しでカタールがどこまで踏ん張れるか。FWエネル・バレンシア(フェネルバフチェ)率いるエクアドル攻撃陣が爆発するのか。各試合打ち合いが予想されるグループAである。


カタールW杯グループリーグ突破予想【前編】グループA~D
イングランド代表 FWハリー・ケイン 写真:Getty Images

グループB順位予想

  • 1位:イングランド
  • 2位:アメリカ
  • 3位:ウェールズ
  • 4位:イラン

グループBでは、1966年以来のW杯優勝を狙う「スリーライオンズ」イングランド、ベスト8を目指すアメリカ、アジア予選で韓国を退け首位突破したイラン、64年ぶりの出場となるウェールズが競う。

イングランドの大本命は譲らずの形であろう。今大会に向けたチームの特徴は攻守にバランスが取れている点である。W杯ヨーロッパ予選では10試合で得点39、失点はわずか3であった。また、ウェールズとの英国ダービーも注目である。

アメリカはMFクリスティアン・プリシッチ(チェルシー)やDFセルジーニョ・デスト(ミラン)等の若手に注目が集まる。世代交代に成功したチームはまだまだ成長途中であり、大会中に大化けする可能性があるだろう。

ウェールズはMFアーロン・ラムジー(ニース)やFWガレス・ベイル(ロサンゼルス)の攻撃陣がどこまで力を発揮できるかでグループリーグ突破が見えてくる。イランは、まず1勝することが目標となるだろう。

カタールW杯グループリーグ突破予想【前編】グループA~D
アルゼンチン代表 FWリオネル・メッシ 写真:Getty Images

グループC順位予想

  • 1位:アルゼンチン
  • 2位:ポーランド
  • 3位:メキシコ
  • 4位:サウジアラビア

グループCでは、最後のW杯でFWリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)の悲願達成なるかのアルゼンチン、北中米の雄メキシコ、W杯初優勝を目指すポーランド、アジア予選で日本を上回ったサウジアラビアが競う。

グループCが「死のグループ」であることは間違いない。どの国がグループリーグを突破したとしても、全くサプライズではない。各国ともに実力揃いの選手たちが集まっている。

36年ぶり3度目のW杯タイトル達成にむけて、アルゼンチンは南米予選を負け無しで通過。自慢の攻撃陣は成熟期を迎え、準備万端である。35歳のメッシにとっては悲願のW杯初タイトル。ラストチャレンジとなる今大会はどのような結末となるか。

エースのFWロベルト・レバンドフスキ(バルセロナ)率いるポーランドは、攻撃陣に注目が集まるが守備陣も豪華選手が揃っている。サンプドリアで日本代表DF吉田麻也とコンビを組んだDFバルトシュ・ベレシンスキや、大型センターのDFヤン・ヘドナレク(アストン・ビラ)、最後尾にはGKボイチェフ・シュチェスニー(ユベントス)が構える。

メキシコの支柱MFアンドレス・グアルダード(レアル・ベティス)はゲーム内外でチームを支える。そんな司令塔も今大会を最後に代表引退を決断した。残るはFWラウル・ヒメネス(ウルバーハンプトン・ワンダラーズ)が全盛期までコンディションを回復できれば、グループリーグ突破がみえてくる。

黄金期の終わりから、チームが再編され輝きを取り戻しつつあるグリーンファルコンズ(サウジアラビア代表の愛称)。注目はディフェンスの要DFアブドゥレラー・アル・アムリ(アル・ナスル)だ。この選手がメッシやレバンドフスキを止めることで、グループリーグ突破が見えてくる。若干25歳でサウジアラビアリーグでプレーしていることもあり世界的な注目は少ないが、間違いなく今後注目を浴びるスター候補である。


カタールW杯グループリーグ突破予想【前編】グループA~D
フランス代表 FWキリアン・ムバッペ 写真:Getty Images

グループD順位予想

  • 1位:フランス
  • 2位:デンマーク
  • 3位:オーストラリア
  • 4位:チュニジア

グループDでは、W杯連覇を狙う「レ・ブルー」フランス、若手の躍動が止まらないデンマーク、W杯5大会連続出場のオーストラリア、守備陣の仕上がりが良いチュニジアが競う。

今大会も優勝候補筆頭であるレ・ブルー(フランス代表の愛称)は、各ポジションにスター選手が揃う。MFエンゴロ・カンテ(チェルシー)とMFポール・ポグバ(ユベントス)を怪我で欠くも全く不安を感じさせないメンバーである。唯一の敵はジンクスであろう。1998年のフランスW杯以降、2006年のブラジルW杯を除いて「優勝チームは次の大会でグループリーグ敗退する」という不吉なジンクスがある。しかしながら今ヨーロッパ予選を9勝1敗、失点数3で突破した力は間違いない。

デンマークは、GKカスパー・シュマイケル(ニース)を中心とした守備陣に加え、MFクリスティアン・エリクセン(マンチェスター・ユナイテッド)が率いる攻撃陣も威力抜群である。大陸間プレーオフを経て出場を決めたオーストラリアは、過去W杯5大会出場するもグループリーグ突破は1度のみ。まずは1勝を目指す。

中東でプレーする選手を中心にチーム構築を進めているチュニジアは、世界的なスター選手がいるわけではないが、組織された守備陣は有効だ。W杯アフリカ予選での通算失点数は4と、マリに次いで2番目に少ない失点数であった。その守備陣がどこまで奮闘できるかが勝敗を分けるだろう。