11月20日に開幕するFIFAワールドカップカタール2022。前回大会で3位となり、今大会でも優勝候補の一つに挙げられるベルギー代表の戦術、予想フォーメーション、予想スタメンを紹介する。

【ベルギー代表 カタールW杯2022メンバー】

GK

クーン・カステールス(ヴォルフスブルク)
ティボー・クルトワ(レアル・マドリード)
シモン・ミニョレ(クラブ・ブルージュ)

DF

トビー・アルデルワイレルト(ロイヤル・アントワープ)
ゼノ・デバスト(アンデルレヒト)
ワウト・ファース(レスター)
アルトゥール・テアテ(レンヌ)
ヤン・フェルトンゲン(アンデルレヒト)
トマ・ムニエ(ドルトムント)
レアンデル・デンドンケル(アストンヴィラ)
ティモシー・カスターニュ(レスター)

MF

ヤニック・カラスコ(アトレティコ・マドリード)
トルガン・アザール(ドルトムント)
ケビン・デブライネ(マンチェスター・シティ)
アマドゥ・オナナ(エバートン)
ユーリ・ティーレマンス(レスター)
ハンス・ファナケン(クラブ・ブルージュ)
アクセル・ビツェル(ドルトムント)

FW

シャルル・デケテラーレ(ACミラン)
ジェレミー・ドク(レンヌ)
エデン・アザール(レアル・マドリード)
ドリース・メルテンス(ガラタサライ)
レアンドロ・トロサール(ブライトン)
ミシー・バチュアイ(フェネルバフチェ)
ロイス・オペンダ(ランス)
ロメル・ルカク(インテル)

主力選手の“高齢化”に不安も

過去にW杯優勝を果たしたのは世界でもたったの8カ国。そして9カ国目がベルギーになるのではという声は多く聞かれる。実際にウェールズ、チェコと同居した欧州予選を6勝2分、得失点差も「+20」という圧倒的な強さで突破した。

世界ナンバーワンプレーヤーとの呼び声もあるケビン・デブライネ(マンチェスター・シティ)を筆頭に、エデン・アザール(レアル・マドリード)、ロメル・ルカク(インテル)ら、ベルギー黄金世代は円熟の域を迎えている。優勝を争うライバルと比較すると、主力選手の怪我人がいないことも強みになりそうだ。

ただ、いくつかの不安要素もある。35歳のヤン・フェルトンゲン(アンデルレヒト)、33歳のトビー・アルデルワイレルト(ロイヤル・アントワープ)、同じく33歳のアクセル・ビツェル(アトレティコ・マドリード)、31歳のトーマス・ムニエ(ドルトムント)など、ベスト8のブラジル大会、3位のロシア大会を経験してきたベテラン選手が現在も主力の大半を占める。

ベルギーの未来を担う新戦力

メンバーが固定化されているデメリットとしては大きく二つ挙げられる。

一つは過密日程における疲労の蓄積だ。フルメンバーで連戦をこなしていけば、大会を勝ち進むごとにインテンシティーが下がるし、怪我のリスクも高くなっていく。もう一つが、対戦相手に研究されやすいことだ。特に欧州選手権やネーションズリーグで何度も対戦している欧州各国からすると、ベルギーのスカウティングはすでに終わっているようなものだろう。

主力が固定的なチームにあって、3バックの右ワイドを担当する19歳のゼノ・デバスト(アンデルレヒト)は例外的な存在で、大型ボランチのアマドゥ・オナナ(エバートン)もグループリーグのどこかでスタメン起用されてもおかしくないぐらいの位置にはいる。

22歳のロイス・オペンダ(ランス)や21歳のシャルル・デケテラーレ(ACミラン)などの突き上げにも期待したい。

若手とは言えないが、昨年の欧州選手権の初戦で負傷し、その後のシーズンを棒に振った左アウトサイドのティモシー・カスターニュ(レスター)の復活は、新たなオプションとなるだろう。

3-4-2-1

3-4-2-1をベースにした多角的なビルドアップは完成度が高く、司令塔デ・ブライネを起点とした崩しの質も高い。

チームの生命線となるのが1トップ2シャドーだ。前線のルカクはスルーパスの受け手としても、クロスのターゲットマンとしても頼りになるエース。司令塔のデブライネは幅広く組み立てに絡み、エデン・アザール(レアル・マドリード)が多彩な仕掛けでアクセントを付ける。ただし、ルカクは怪我の影響でグループリーグの出場が危ぶまれている。ルカクの不在をどう埋めるかは注目となる。

両ワイドは右のトマ・ムニエ(ドルトムント) はサイドの上下動を何度も繰り返し、ヤニック・カラスコ(アトレティコ・マドリード)はドリブル突破での仕掛けもある。中盤の要となるビツェルはボール奪取で無類の強さを発揮する。守護神は言わずと知れた世界最高クラスのGKティボー・クルトワ(レアル・マドリード)だ。

デブライネをはじめとした主力が実力通りのプレーを見せれば、グループステージ突破はほぼ間違いないと予想できる。ベルギーが9番目の優勝国として栄冠を勝ち取るとするならば、フレッシュなメンバーの台頭は必要不可欠だろう。

■ベルギー代表予想フォーメーション(3-4-3)

FW

CF:ルカク
右シャドー:デブライネ
左シャドー:E・アザール

MF

右ウイングバック:ムニエ
右セントラル:ティーレマンス
左セントラル:ヴィツェル
左ウイングバック:カラスコ

DF

右センターバック:デパスト
中センターバック:アルデルヴァイレルト
左センターバック:フェルトンゲン

GK

クルトワ

文・河治良幸