エクアドルがシンプルなフットボールで開催国を圧倒
MATCH 01 グループA 第1節
2022年11月20日 19:00キックオフ(会場:アル・ベイト)
カタール 0-2 エクアドル
ついに2022ワールドカップ・カタール大会が幕を開けた。
開催国のカタールがどこまで戦えるのか。開幕戦となったカタールVSエクアドルの注目点はそこにあった。ホームサポーターの後押しを受けたカタールがサプライズを起こすとの期待もあっただろう。
しかし、南米予選を勝ち抜いてきたエクアドルとの戦力差は思った以上に大きかった。攻守両面で効いていたのは、エクアドルのボランチに入るカイセドとメンデスのコンビだ。ビルドアップの際にはメンデスが最終ラインまでポジションを落とし、カタールのプレスをかわしながら攻撃を押し進めていく。
守備時には2人が強力なフィルター役となり、中盤でボールを奪ったところからのショートカウンターの意識がチーム全員で徹底されていた。堅守速攻こそエクアドルが激戦の南米予選を勝ち抜けた理由だ。
その特長が出たのが16分だ。中盤でボールを奪うと、素早い縦への展開からエースのバレンシアが突破。最後はGKと1対1となり、相手のファウルを誘ってPKを獲得した。これをバレンシアが落ち着いて決めてエクアドルが先制。
さらに31分には右サイドバックのプレシアードのクロスに再びバレンシアが合わせて2-0。エクアドルの課題は得点力にあるとされてきたが、バレンシアはその問題を解消できる絶対的エースだ。VARで取り消されたものの、試合開始早々にはフリーキックの流れからバレンシアがネットを揺らすシーンもあった。初戦でエースに当たりが出たのは大きい。
カタールは3戦全敗の恐れ
一方のカタールは問題山積みだ。前線にはアジアカップ2019決勝で日本代表も対戦したアフィーフ&アリの2トップが入っていたが、前線までボールが入らない。中盤でボールを奪うことはあっても、相手の圧力があるのかミスを連発する前半となった。ボールを奪ってからの展開力はエクアドルとの大きな差だ。
その中でボールを持てる数少ないテクニシャンだったのがアフィーフだ。何度も前線からポジションを下げてボールを引き出していたが、その戦い方では最前線でアリが孤立してしまう。アフィーフが最終ラインまで下がっていることもあり、ビルドアップの部分で明らかに問題を抱えていた。
また、カタールにはプランBがない。アジアカップでは自由にポジションを動かすアフィーフの動きが効果的で、同選手を捕まえるのに日本代表も苦労させられた。しかし、今回のエクアドル戦はあまりにもボールに触れる位置が低かった。
ビハインドを跳ね返すためにも戦い方を変えたいところだったが、指揮官のサンチェスも為す術なしといった状態で打開策を見出せなかった。
結局カタールは枠内シュート0で開幕戦を終えることになり、0-2と完敗だ。前半にはペドロのクロスにアリが合わせたシーン、85分にムンターリーが後方からのロングフィードにダイレクトで合わせたシーンなど惜しいプレイもあったが、さすがに枠内シュート0は厳しい。過去のワールドカップを振り返っても、開催国が開幕戦でここまで見せ場なく終わるのも珍しいか。
残り2試合の相手がセネガル、オランダであることを考えると、カタールが決勝トーナメントへ進むには初戦のエクアドル戦がカギだった。ここで最低でも勝ち点1が欲しかったが、南米予選を勝ち抜いてきたエクアドルの壁は高かった。このままいくと3戦全敗、最悪の場合は3戦ノーゴールなんてシナリオもあるかもしれない。
グループ第2戦では25日にセネガルと対戦するが、チームを立て直せるだろうか。想像以上に厳しい開幕戦となってしまった。
[スコア]
カタール 0-2 エクアドル
[得点者]
エクアドル
16分 エネル・バレンシア(PK)
31分 エネル・バレンシア
[ポゼッション]
カタール 40% エクアドル 46%
[シュート数]
カタール 5 エクアドル 5
[枠内シュート]
カタール 0 エクアドル 3
[イエローカード]
カタール 4枚
サード・アル・シーブ
アルモエズ・アリ
カリム・ブディアフ
アクラム・アフィーフ
エクアドル 2枚
モイセス・カイセド
ジェクソン・メンデス
[ラインナップ]
カタール
フォーメーション:[5-3-2]
監督:フェリックス・サンチェス
GK
サード・アル・シーブ(アル・サッド)
DF
ペドロ・ミゲル(アル・サッド)
バッサム・ヒシャム・アル・ラーウィー(アル・サッド)
ブーアッラーム・フーヒー(アル・サッド)
アブドゥルカリーム・ハサン(アル・サッド)
ホーマム・アフメド(アル・ガラファ)
MF
ハサン・アル・ハイドゥース(アル・サッド)
カリム・ブディアフ(アル・ドゥハイル)
アブドゥルアジズ・ハテム(アル・ラーヤン)
FW
アクラム・アフィーフ(アル・サッド)
アルモエズ・アリ(アル・ドゥハイル)
交代出場
71分 ハサン・アル・ハイドゥース→モハメド・ワード(アル・サッド)
72分 アルモエズ・アリ→ムハンマド・ムンターリー(アル・ドゥハイル)
エクアドル
フォーメーション:[4-4-2]
監督:グスタボ・アルファロ
GK
エルナン・ガリンデス(SDアウカス)
DF
アンジェロ・プレシアード(ヘンク/ベルギー)
フェリックス・トーレス(サントス・ラグナ/メキシコ)
ピエロ・インカピエ(レヴァークーゼン/ドイツ)
ペルピス・エストゥピニャン(ブライトン/イングランド)
MF
モイセス・カイセド(ブライトン/イングランド)
ジェクソン・メンデス(ロサンゼルスFC/アメリカ)
ロマリオ・イバーラ(パチューカ/メキシコ)
ゴンサロ・プラタ(バジャドリー/スペイン)
FW
エネル・バレンシア(フェネルバフチェ/トルコ)
マイケル・エストラーダ(クルス・アスル/メキシコ)
交代出場
68分 ロマリオ・イバーラ→ジェレミー・サルミエント(ブライトン/イングランド)
77分 エネル・バレンシア→ホセ・シフエンテス(ロサンゼルスFC/アメリカ)
90分 ミカエル・エストラーダ→ホセ・ロドリゲス・コルテス(インバブラ)
90分 モイセス・カイセド→アラン・フランコ(タジェレス/アルゼンチン)