プリシッチのスルーパスから先制点を挙げるも、チームは1-1のドロー

 アメリカ代表のカタール・ワールドカップ(W杯)初ゴールを挙げたのは、22歳のFWティモシー・ウェアだった。ウェールズ戦(1-1)の前半36分、ドリブルでボールを運んだFWクリスティアン・プリシッチからのスルーパスを受けると、アウトサイドでの1タッチシュートをゴールに流し込み、チームに先制点をもたらした。

 得点直後の感情について、ウェアは「素晴らしい気分だった。子供の頃からW杯で得点を挙げることを夢見てきた。多くの偉大な選手たちが、この大会でプレーしてきた。美しい国の代表として戦えること、多くのファンの前、家族の前でプレーできることは、まさに夢がかなった気分だよ」と、喜んだ。

 得点につながったプリシッチのパスについて、「クリスティアンは、驚くべき選手だ。僕と彼は、何年にも渡って連携を高めようとしてきた。今では、僕が最終ラインの裏に走りこめば、彼からのパスが確実に届くよ」と、連携にも自信を見せた。

 プリシッチからのパスが出た後について、「決める直前、どうやったら点を取れるか迷っていたんだ」と明かした。「GKがとても大きく見えていた。その場の勢いで、アウトサイドで蹴ったらゴールに決まった。とても嬉しかったけれど、あれが決勝点になっていれば最高だったね」と、得点を喜びつつも勝ちきれなかった悔しさも滲ませた。

 ウェアの父は、90年代の黄金期を築いたACミランでゴールを量産し、「リベリアの怪人」と呼ばれたジョージ・ウェア氏だ。現在はリベリアの大統領も務めているジョージ氏も、この試合を観戦していたという。1995年にバロンドールを受賞したジョージ氏だったが、W杯には一度も出場することができずにキャリアを終えた。

 父が達成できなかったW杯出場、そしてW杯での得点について「素晴らしい気分だよ。父もこの瞬間を見て、喜んでくれたと思うし、家族のためにも、チームのためにも、この得点を取れたことは嬉しい。今日、彼はここに来て、母、叔父や親戚と一緒に試合を見てくれた。まだ連絡は取っていないから、どう感じたのかは分からないよ。後で聞いてみるさ」と語った。

 そして、「5バックの相手に対して、僕たちウイングやストライカーがスペースを見つけるのは難しい。僕自身も試合に関われていないと感じる時間帯があったけれど、これも学ぶべき経験だ。最初のW杯の試合だったし、今からは次の試合に切り替えたい」と、まとめた。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)