案の定というべきか——。怪我のため、スペイン代表のワールドカップメンバーからホセ・ルイス・ガヤを外す決断(代わりにバルセロナのアレハンドロ・バルデを招集)に踏み切ったルイス・エンリケ監督に対し、バレンシア方面からブーイングが浴びせられている。地元のスポーツ紙『スーペル・デポルテ』には「違法」、「裁判沙汰ものだ」といった過激な言葉が並ぶ。
今大会は各国で直前の負傷による欠場者、離脱者が相次いでいるが、彼らが問題視しているのは、怪我の程度だ。ガヤの怪我は足首の軽度の捻挫とアナウンスされているが、『AS』紙によると、バレンシア帰還後に検査を行なったチームドクターの見解では、スペイン代表が初戦(コスタリカ戦)を戦う11月23日に仮にバレンシアの試合があったとした場合、100パーセント出場できないと断言できるほどの症状ではないという。
26人の登録メンバー候補に入っていたブライス・メンデスとミケル・メリーノが揃って落選し、同じくファンやメディアの間でブーイングが起こっているレアル・ソシエダのケースを見ればわかるように、スペインでは「おらがチーム」でプレーする選手の招集の有無によって、代表に対する応援の熱量が上下する傾向がある。
実際、このガヤの離脱を境に、バレンシアに拠点を置く『スーペル・デポルテ』紙は、「これで同じ目線では応援できなくなった」と非難している。救いは、バレンシアのキャプテンであり人格者として知られるガヤ本人が、少なくとも表向きは冷静にこの事態を受け止めていることだ。
スペイン代表の左SBの定位置争いは熾烈だが、ガヤが「ポスト・ジョルディ・アルバ」の一番手であることに変わりはない。この挫折をバネに、27歳の今後の巻き返しに期待したい。
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部