「勇気をくれてありがとう」という言葉が寄せられていると明かす

 カタール・ワールドカップ(W杯)の初戦のドイツ代表戦に途中出場したMF堂安律(フライブルク)は、後半30分にMF南野拓実(ASモナコ)が放ったシュートをGKマヌエル・ノイアーが弾いたところを詰めて、同点ゴールを挙げた。その後、チームはFW浅野拓磨(ボーフム)のゴールで逆転勝利。2-1で試合を終え、初戦で歴史的な金星を挙げることに成功した。

 劇的な勝利の翌日、オンライン取材に応じた堂安は、「嬉しいことに、たくさんの反響をいただきました」と、多くのメッセージが寄せられたことを明かした。そして「驚いたのは『おめでとう』よりも、『勇気をくれてありがとう』という言葉が多くて、そういうふうに感じてくれるんだというサプライズがありました」と、振り返った。

 そして「日本国民、日本のために、このエンブレムと日本を背負って戦っているので、そう言ってもらえると嬉しい。僕はサッカー選手ですけど、エンターテイナーだと思っていますし、そういう役割は、昨日の試合では全国の皆さんにお見せできたかなと思います」と、胸を張った。

 日本がドイツに勝利したことは、世界的にも驚きを持って報じられている。ドーハ市内でも、日本人だと分かると「おめでとう!」といった声がかけられる状態にある。まだ勝利の余韻が残っているが、日本はまだグループリーグ突破を決めたわけでもない。中3日で次の試合、コスタリカ戦はやってくる。そこへの気持ちの切り替えは重要なポイントだ。

 仮に日本がコスタリカ代表に勝利し、スペイン代表がドイツ戦で引き分け以上なら、日本の決勝トーナメント進出が決まる。

「次、本当に結果次第ではグループリーグ突破を決められるチャンスがある。非常に大事な試合。昨日のドイツ戦は、僕たちがチャレンジャーで、メンタル的に立ち向かいやすかった。昨日コスタリカは0-7で敗れたので、立場的にはチャレンジャーとして来る形になると思う。メンタルの作り方が難しいが、この3日でしっかりマインドセットをして、頭を切り替えて臨みたい」

 朝食の会場では、すでにコスタリカ戦への切り替えられていると感じられる状態だったようだ。「コスタリカのシステムの話だったりは、朝ごはんの時から話しています。誰一人、この(ドイツに勝った)状況に満足していない。素晴らしい一戦だったのは間違いないが、まだ歴史を変えられたわけではない。次に向かっていきたい」と話し、大敗したコスタリカのリバウンドメンタリティーにも警戒を示した。

「結果だけを見れば(コスタリカは)0-7なので、一見メンタルがやられて弱気になっていて、有利なんじゃないかと思われがちです。でも、W杯っていうのは、夢の舞台。誰一人として1試合も無駄にしたくない。『消化試合だ』『もう先はないわ』とあきらめる人は、世界中、どこにもいないと思う。大会前から僕たちは『対コスタリカ戦の方がプレッシャーがかかる』『絶対に勝ち点3を取らないといけない』と思っていました。だから昨日の結果を忘れて、そのままのメンタルでやらないといけない」と、大会に入る際の気持ちを取り戻すことが重要だと語った。

 勝てば2大会連続の決勝トーナメント進出に大きく近づく27日のコスタリカ戦へ、チームは午後からのトレーニングを前に、すでにリスタートを切れているようだ。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)