FIFA ワールドカップ カタール 2022では、多くの”ニュースター”が誕生した。今回は今大会で大活躍し、今後も大注目の「MF」にフォーカスを当てる。
レジェンド・ジェラードを超える逸材:ベリンガム(イングランド)
世界最高峰のリーグであるプレミアリーグでプレーする選手が多いイングランド代表は「タレント集団」である。その中で今大会、最も目立っていた男が19歳のジュード・ベリンガムだ。
イラン代表とのグループステージ初戦では、左サイドバックのルーク・ショーからのクロスをヘディングシュートでファーに流し込む難易度の高いゴールを決めた。これが嬉しい代表初ゴールとなった。そしてセネガル代表との決勝トーナメントでは左サイドをドリブルで突破して、ヘンダーソンのゴールをアシストするピンポイントのマイナスの折り返しでゴールをお膳立てした。
ベリンガムは攻撃だけではなく、相手のクリアのセカンドボールや対人戦での強さなど守備でも重要な役割を担っていた。ボランチのポジションで中盤を制圧しつつ、攻撃参加でもクオリティを発揮する驚異の19歳は、イングランド代表の先輩で、同じようなポジションでプレーするスティーブン・ジェラードのような素晴らしいキャリアを歩めるのだろうか。
無敵艦隊を牽引する若き心臓:ガビ(スペイン)
ガビを育てたのは所属するバルセロナだが、彼に自信を植え付けて進化させたのはルイス・エンリケ監督が率いたスペイン代表だろう。同監督は昨年10月に当時17歳でガビを代表デビューさせると、自身最後の指揮となったモロッコ代表との決勝トーナメント1回戦までの全17試合で起用した。
指揮官がこれだけ重宝したのには理由がある。コスタリカ代表とのグループステージ初戦で決めた右足アウトでのゴールからわかるように、技術が高いのはさることながら、彼の真骨頂はモロッコ代表戦でみせた「ロケット頭突きパス」のような球際での強さとメンタルなのだ。
ガビはバルセロナ出身らしい華麗なテクニックはもちろん、豊富な運動量や球際、守備意識の高さが光る選手だ。ボールを持っていない時のフリーランニングの質も高く、ピッチに立てば常に何かしらの影響を与えることができるスーパーな選手である。現在18歳というのは末恐ろしい限りで、4年後の2026年大会でもまだ22歳なのだ。この逸材が今後のスペイン代表を引っ張っていく存在になるのは間違いない。
日本史上最高のドリブラー:三笘薫(日本)
日本代表が決勝トーナメントへと進出できたのは「ボールを持てば何かが起こる」三笘薫の存在が大きい。“日本史上最高”とも言われる彼のドリブルを止めることができる選手はそうそういない。
日本代表の森保一監督は三笘を後半途中からジョーカー的な形で起用した。相手が突かれているタイミングで個人の能力だけでチャンスを作れる三笘を起用することは理にかなっている。三笘もその期待に応えるべく、プレーで魅せた。
ドイツ代表との初戦では1点ビハインドの後半途中に投入されると、左サイドからドリブルで突破し、同じく途中出場の南野拓実へパス。その南野が放ったシュートのこぼれ球を堂安律が押し込んでおり、同点ゴールの起点となった。
スペイン代表との第3戦では自陣の低い位置で相手のパスをカットすると、そのまま左サイドを自慢のスピードでぶっちぎり、浅野拓磨へと決定的なパスを送った。
世界の強豪相手に”強者”のプレーを連発したことを受けたABEMAで解説を務めた本田圭佑GMは「三笘さんワールドカップ終わったらビッグクラブでしょ」とステップアップの可能性もあるのではないかと発言した。自身もACミランというビッグクラブでプレーした本田GMの予言は当たるのだろうか。
(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)