11月23日に行われた「FIFA ワールドカップ カタール 2022」グループEで日本代表は格上の強豪ドイツ代表に2-1で逆転勝利を収めた。圧倒的に押されまくった前半から一変、積極的な選手交代でペースを掴んだ後半は、新たに入った選手が次々と活躍。75分に同点ゴールを決めた堂安律も「ドーハの歓喜」と呼ばれる大金星の主役の一人だ。一夜明けてインタビューに応じると「日本のために、このエンブレムを背負って戦っている」「まだ日本が歴史を変えられたわけではない」と、ほがらかな表情ながらも強い思いを口にした。

【映像】劇的勝利を振り返る堂安律

―周りからの反響は。

 うれしいことにたくさんメッセージをいただきましたし、驚いたのは「おめでとう」よりも「勇気をくれてありがとう」という言葉をくれたのが印象的で、そう感じてくれることにサプライズがありました。

―見ている人に勇気を与えた。

 日本国民のために、日本のために、このエンブレムを背負って戦っているわけなんで、そう言っていただけるとうれしいです。「明日からまた会社頑張ろうと思ったよ」とか、そういうひとことがSNSを通じて、いろいろな連絡ももらいますし、僕らはサッカー選手ですけど、エンターテイナーだと思っているので、そういう意味では昨日の試合ではそういう役割は日本国民のみなさんにはお見せできたかなと思います。

―交代で入ってから日本を後押しする雰囲気になった。

 僕が入ったからなのかはわからないですが、その時間帯くらいからは少し日本が押せ押せムードになりましたし、僕のゴールもシンプルなゴールではありましたけど、あれがきっかけでかなり日本が押せ押せ状態になってピッチで試合していても感じるぐらいサポーターの圧は、本当にカタールの人たちも日本を応援するくらい、圧がかかっていたと思うので、素晴らしい雰囲気でプレーさせてもらいました。

―「俺が決める」という強いメンタルの秘訣は。

 メンタル強くないですよ(笑)。メディアを通してみなさんは強いと言ってくれるんで。メンタルが強いというよりも、人より自分を信じていますし、自分の意志を貫き通すというのがあったので、それをメンタルが強いというのかわかんないですけど、最後までぶらさずピッチに立ったら今までやってきたことが全て出るんで、何の迷いもなくピッチに立つことができました。

―自分を信じられる理由は。

 ロシアワールドカップが終わってから僕は代表に初めて選んでもらいましたけど、この4年間、この瞬間のためにトレーニングを積んできたと言い切れますし、自分で努力しているという言葉なんて使いたくないんで、あまり正しい言葉ではないかもしれないですけど、人よりもつらい思いや苦しい経験を乗り越えた自信はあるので、そこから自分に対して「こんなつらい経験したやついないだろ」と思いながら、それが最後の最後に自信に変わるような感じです。

―若くからヨーロッパで挑戦。代表への近道になったか。

 今振り返ると、結果論ではそれが近道だったと思いますけど、その当時日本代表に入るなんて夢のまた夢だったので。日本代表に入るために海外に行ったわけでもなかったですし、ただそれが結果的にこうして近道であり、夢の舞台に昨日立てたというのは、その当時19歳でしたけど、いい決断ができたかと思います。

―初めて夢の舞台に立った気持ちは。

 特に夢が叶ったと考える余裕もなくて、チームを助けたい、この一戦をこのチームで勝ちたいと思ってピッチに立って、その一員でありたいと本当に一生懸命な気持ちでピッチに立ったので、その感情に浸ることもなく、試合が進んでいきました。

―次の試合への切り替えは。

 次が本当に結果次第で、グループリーグ突破を決められるチャンスがあるので、本当に大事な試合になると思いますし、昨日の試合は僕たちがチャレンジャーだったんで、メンタル的には立ち向かいやすい状況だったんですけど、昨日コスタリカが0対7で負けているんで、彼らがチャレンジャーとして向かってくる感じがあると思うので、一番メンタリティの作り方が難しいですし、しっかりこの3日でマインドセット、切り替えて立ち向かっていかないと、足元をすくわれるんで、しっかり準備したいと思います。

―メンバーの様子は。

 もうコスタリカのシステムの話を朝ごはんからしましたし、この現状に満足していないですし、素晴らしい一戦になったのは間違いないですけど、まだ歴史を変えられたわけじゃないので、もう次に向いています。

―チームは年齢層の幅が広い。コミュニケーションは。

 僕の周りは取れています(笑)。僕がよくしゃべるんで。僕は先輩方と一緒にいる時間が長いですね。長友さんだったり、吉田さんだったり、より多くのものを吸収できるので、よくコミュニケーションを取っています。話しかけているというか、勝手に1人でしゃべっている感じに近いかもしれませんけど(笑)。

―サポーターにひとこと。

 本当にいろいろなSNSを通じてメッセージをいただいて、日本がどれだけ盛り上がっているのか実感していますし、たださっきも言った通り、まだ日本が歴史を変えられたわけではないですし、日本サッカー界を盛り上げられるように、僕たち本当に頑張るので、ぜひ一緒に戦ってほしいと思います。
(『ABEMA NEWS』より)