【専門家の目|金田喜稔】コスタリカ代表戦は「日本にかなり分がある」と分析

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月23日にカタール・ドーハのカリファ・スタジアムでカタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第1節でドイツ代表(同11位)と対戦。W杯優勝経験国に対して2-1の逆転劇を演じて大金星を挙げた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、27日の第2戦・コスタリカ代表(同31位)との一戦を見据えつつ、「嫌なシナリオ」も含めたグループ展望をしている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 ドイツ戦の前半31分、GK権田修一がペナルティーエリア内でDFダビド・ラウムを倒してPKを献上。キッカーを務めたMFイルカイ・ギュンドアンに冷静に決められ先制点を許した。しかし後半30分に途中出場のMF堂安律が詰めて同点ゴールを奪うと、さらに同38分にFW浅野拓磨が逆転ゴールを叩き込んで2-1の逆転勝利。勝ち点3を手にした日本は幸先良く白星スタートを切っている。

 同日、他会場ではコスタリカ代表がスペイン代表に0-7と大敗。日本は27日の第2戦でコスタリカと対戦するなか、金田氏は次戦を展望した

「コスタリカは、スペインに0-7で負けている。今後の得失点差を考えると、コスタリカは攻めるしかない。ただコスタリカは堅守速攻なわけで、自分たちのスタイルを崩して日本戦に臨まなければいけないほど追い込まれている。その意味で日本にかなり分がある。日本としては展開を読みやすいし、与しやすくなるだろう。だからといって簡単に勝てるとは思わないが、前に出て行かざるを得ない相手に対して対策は練りやすくなった。そんなコスタリカに勝利して2連勝を飾ればグループリーグ突破も見えてくる」

 注目されるのは先発のメンバーだ。疲弊もあるなかでメンバーを入れ替えるのか。「ドイツ戦で出場していない選手の野心は満タンだろう」と語る金田氏は、「前線は浅野か、上田(綺世)か。それとも再び前田(大然)でいくのか。三笘(薫)にしても左サイドで先発があり得るかもしれない。また、初戦を欠場した守田(英正)が帰ってくるのか。そして冨安(健洋)や酒井(宏樹)らの足の状態はどうか」とポイントを挙げている。

グループリーグ突破に期待も「次戦でコスタリカにコロっと負ければ状況は一変する」

 そのなかで、日本にとって望ましくないシナリオにも言及。「嫌なシナリオは、次戦でドイツがスペインに勝つこと」と金田氏は指摘した。

「仮に日本がコスタリカに勝利して勝ち点6になった場合、第3戦でスペインに負けるとどうなるか。スペインが2勝、日本が2勝となる。そしてドイツがスペイン、コスタリカに勝つと2勝で、3チームが勝ち点6で並ぶ。そうなると混戦模様で突破が際どくなってくる。1996年アトランタ五輪の時、日本、ブラジル、ナイジェリアの3か国が2勝1敗の勝ち点6で並んだが、得失点差の関係で日本は3位となり敗退した苦い過去がある」

 サッカー史も紐解きながら、金田氏は「まだ初戦が終わっただけであることも忘れてはいけない」と続ける。

「ドイツ戦の勝利で、どれだけ『ドーハの奇跡だ』『ドーハの歓喜だ』『最高の監督・選手たちだ』と絶賛しても、次戦でコスタリカにコロっと負ければ状況は一変する。追い込まれた相手も必死に挑んでくるわけで、受け身になりすぎずに臨みたい」と、森保ジャパンのグループリーグ突破に期待を寄せた。(FOOTBALL ZONE編集部)