FIFAワールドカップ・カタール2022のグループステージ第2節が11月27日(日本時間)に行われ、グループEの日本代表とコスタリカ代表が対戦した。

後半36分に、吉田麻也の自陣ペナルティエリア付近でのパスミスから相手DFケイセル・フレールのミドルシュートを浴び、0-1で敗れた日本代表。森保一監督や選手たちが改善できなかった問題とは何か。今回はこの点について解説する。

整わない配置と共有されないプラン。拙攻の日本がコスタリカに敗戦【W杯試合分析】
日本代表vsコスタリカ代表、スターティングメンバー

工夫が見られなかったサイドハーフのポジショニング

この試合における日本代表の最大の問題点は、サイドハーフやウイングバックの位置取りが高すぎたことだろう。

[5-4-1]の隊形で自陣に撤退したコスタリカ代表に対し、日本代表は[4-2-3-1]や[3-4-2-1]の布陣で応戦。左サイドハーフやウイングバックを務めた相馬勇紀が、相手最終ラインのフレールの近くにポジションを取り続けたことでフリーになれず。相馬がフレールと[5-4-1]の右のMFヘルソン・トーレスの間に立ち、相手守備陣を混乱させる必要があったが、こうした工夫はあまり見られなかった。

[4-2-3-1]の布陣では右サイドハーフを務め、[3-4-2-1]では2シャドーの一角としてハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)に移動した堂安律も、相手最終ラインに吸収されるような立ち位置をとってしまい、なかなかフリーになれない展開に。味方がパスを出しづらい状況だった。

整わない配置と共有されないプラン。拙攻の日本がコスタリカに敗戦【W杯試合分析】
日本代表は前半途中より、布陣を[3-4-2-1]に変更

また、ビルドアップの際に遠藤航と守田英正の2ボランチが最終ライン付近に留まることが多く、これにより攻撃の枚数が足りなくなる場面がしばしば。後半開始直後に、両選手が敵陣ペナルティエリア手前に侵入して惜しいミドルシュートを放っていただけに、この攻撃パターンをもう少し徹底したかった。

遠藤と守田のどちらかがコスタリカ代表の最終ラインと中盤の間に立ち、相手選手を引きつける場面を増やせていれば、試合展開は変わっていたかもしれない。後半15分40秒すぎに遠藤が相手最終ラインと中盤の間で守田からのパスを受け、敵陣ペナルティアーク内に侵入していたが、このような有効な攻撃が少なかった。

整わない配置と共有されないプラン。拙攻の日本がコスタリカに敗戦【W杯試合分析】
後半22分に投入された伊東は、2シャドーの一角に入った

的中しなかった森保監督の采配

第1節のドイツ代表戦でアタッカーを次々に投入し、日本代表を逆転勝利に導いた森保監督だが、この日は交代策が実らず。特に後半22分に投入した伊東純也を、[3-4-2-1]の2シャドーの一角として起用したのは悪手だった。

単独での突破力が高く、サイドから精度の高いクロスを供給できる伊東をハーフスペースでプレーさせたことで、この特性が失われる展開に。後半24分30秒すぎに伊東が相手DFフランシスコ・カルボをかわし、GKケイロル・ナバスと1対1になりかけるシーンがあったが、同選手が2シャドーの一角として輝いたのはこの場面くらいだった。森保監督は伊東の起用ポジションをサイドに限定すべきだろう。

整わない配置と共有されないプラン。拙攻の日本がコスタリカに敗戦【W杯試合分析】
日本代表 FW伊東純也 写真:Getty Images

また、伊東と同じく単独での突破力が高い三笘薫を投入したにも関わらず、同選手にボールが集まらないシーンもちらほら。中央を無理にこじ開けようとしたが、1点のリードを手にし、5バックと4人の中盤の間をより狭めたコスタリカ代表に対して有効な攻め手だったとは言い難い。三笘の突破がコスタリカ代表の選手たちを苦しめていただけに、攻め手を選手内で共有できなかったのが悔やまれる。

攻撃時の2ボランチやサイドハーフの配置を整えられなかったことも災いし、痛恨の敗戦を喫してしまった日本代表。選手間で配置や攻め手を共有するのは言うまでもなく、各選手の特性が最大限に活かされる布陣を森保監督が編み出せるかも、スペイン代表戦(グループステージ最終節)における彼らの浮沈の鍵を握るだろう。森保ジャパンのさらなる奮起に期待したいところだ。