タフなスイスがブラジルを跳ね返す
MATCH 31 グループG 第2節
2022年11月28日 19:00キックオフ(会場:スタジアム974)
ブラジル 1-0 スイス
FIFAワールドカップ・グループG。優勝候補筆頭と目されるブラジルは、スイスと激突した。初戦で勝点3を得たチーム同士の対戦。カメルーン対セルビアがドローとなっており、この試合に勝ったほうがいち早くグループ勝ち抜けを決める重要な一戦となった。
圧倒的な量と質の攻撃タレントを揃えるブラジルだが、初戦で大黒柱のネイマールが負傷離脱したのは大きな懸念材料だった。スカッドにアタッカーが多いとはいえ、フリーマン的にピッチを動きながら攻撃陣とリンクしていくトップ下のネイマールの役割をこなせる選手は他に見当たらず、この試合は中盤にフレッジを起用した布陣となる。
ブラジルがボールを支配するかと思われたが、序盤は局面、局面で激しい球際の攻防が続く展開となる。強固なブロックを敷きながら、ときにハイプレスでブラジルのボールホルダーを囲い込み、素早くプレッシャーをかける組織的なスイスの守備。縦横無尽に味方とリンクしながら攻撃の起点となっていたネイマールを欠いたことで、ブラジルは前節セルビア戦ほどボールを持つことができない。それでもヴィニシウスの突破などから時おりチャンスをつくるのだが、最終的にスイスの強固な守備に跳ね返されてしまう。27分には右サイドからの斜めのクロスにヴィニシウスが合わせるが、GKゾマーの好セーブにあってネットを揺らすことはできなかった。
前半30分の時点では、ボール支配率はブラジル43%、スイス45%と、むしろスイスが優勢。チアゴ・シウバやミリトンのソリッドな守備もあってピンチこそ迎えないものの、やや手詰まり感のある前半であった。
スイスゴールがついに決壊。決めたのは意外な男
ブラジルは停滞感を打開するため、後半開始からロドリゴを投入する。しかし最初にチャンスを迎えたのはスイス。53分に右へのサイドチェンジからヴィドマーがクロスを入れ、ゴール前は混戦状態に。ブラジルは素早くゴール前を固めて事なきを得る。
ブラジルはゴールが遠い。56分にはヴィニシウスのアウトサイドのクロスにリシャルリソンが飛び込むも合わず、57分のロドリゴの強引な中央突破もチャンスには結びつかない。64分には、ヴィニシウスの見事なシュートがついにスイスゴールをこじ開けることに成功したかに思われた。しかしこれはVARチェックの末、リシャルリソンの戻りオフサイドでノーゴールの判定。じりじりと時間が進んでいく。
ブラジルはジェズス、アントニーを投入してさらなる打開をはかる。すると83分、ついに待望の先制点が生まれた。左サイドのヴィニシウスのカットインからロドリゴが前にボールを送ると、そこにいたのはカゼミロ。ファーサイドを狙ったシュートが突き刺さり、意外なところからネットを揺らすことに成功する。
タフに耐えていたスイスだが、こうなると苦しかった。冷静に時間を進めるブラジルに為すすべがなくなり、あえなくタイムアップ。ブラジルは第3戦を残して、決勝トーナメント進出を決定させた。しかし一抹の不安も残る。ブラジルは地力の高さを証明したともいえるが、豪華な攻撃陣が十全に機能したとは言い難く、ネイマール不在の穴は思った以上に大きかったかもしれない。
[スコア]
ブラジル 1-0 スイス
[得点者]
ブラジル
83分 カゼミロ
[ポゼッション]
ブラジル 47% スイス 40% 中立13%
[シュート数]
ブラジル 9 スイス 4
[枠内シュート]
ブラジル 5 スイス 0
[イエローカード]
ブラジル 1枚
フレッジ
スイス 1枚
ファビアン・リーダー
[レッドカード]
なし
[ラインナップ]
ブラジル
フォーメーション:[4–3-3]
監督:チッチ
GK
アリソン・ベッカー(リヴァプール/イングランド)
DF
エデル・ミリトン(レアル・マドリード/スペイン)
チアゴ・シウバ(チェルシー/イングランド)
マルキーニョス(パリ・サンジェルマン/フランス)
アレックス・サンドロ(ユヴェントス/イタリア)
MF
カゼミロ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
フレッジ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ルーカス・パケタ(ウェストハム/イングランド)
FW
ハフィーニャ(バルセロナ/スペイン)
ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)
リシャルリソン(トッテナム/イングランド)
交代出場
46分 ルーカス・パケタ→ロドリゴ(レアル・マドリード/スペイン)
58分 フレッジ→ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル/イングランド)
73分 リシャルリソン→ガブリエウ・ジェズス(アーセナル/イングランド)
73分 ハフィーニャ→アントニー(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
86分 アレックス・サンドロ→アレックス・テレス(セビージャ/スペイン)
スイス
フォーメーション:[4-5-1]
監督:ムラト・ヤキン
GK
ヤン・ゾマー(ボルシアMG/ドイツ)
DF
リカルド・ロドリゲス(トリノ/イタリア)
ニコ・エルヴェディ(ボルシアMG/ドイツ)
マヌエル・アカンジ(マンチェスター・シティ/イングランド)
シルヴァン・ヴィドマー(マインツ/ドイツ)
MF
レモ・フロイラー(ノッティンガム・フォレスト/イングランド)
グラニト・ジャカ(アーセナル/イングランド)
ジブリル・ソウ(フランクフルト/ドイツ)
ファビアン・リーダー(ヤングボーイズ)
ルベン・バルガス(アウクスブルク/ドイツ)
FW
ブレール・エンボロ(モナコ/スイス)
交代出場
58分 ルベン・バルガス→エジミウソン・フェルナンデス(マインツ/ドイツ)
58分 ファビアン・リーダー→レナト・シュテフェン(ルガーノ)
75分 ジブリル・ソウ→ミシェル・アエビシェール(ボローニャ/イタリア)
75分 ブレール・エンボロ→ハリス・セフェロビッチ(ガラタサライ/トルコ)
86分 シルヴァン・ヴィドマー→ファビアン・フライ(バーゼル)