FIFAワールドカップカタール2022(カタールW杯)で、グループリーグを戦うサッカー日本代表。ドイツ戦(2-1で勝利)とコスタリカ戦(0-1で敗北)を終え、現在グループEで勝ち点3の2位となっている。
決勝トーナメント進出圏内ではあるものの、第3節の相手は優勝候補の一角スペインだ。次のステージに進むためには勝利もしくは引き分け(引き分けの場合、ドイツ対コスタリカの結果次第)が必要で、厳しい試合となることが予想される。
しかし同様の予想から覆したドイツ戦のように、勝利への道筋はどこかにあるはずだ。日本時間12月2日4:00に開始されるグループリーグ最終節スペイン戦に向け、日本代表のポジティブな要素を5つ挙げた。
1)スタメン5人入れ替えにより蓄積疲労が少ない
日本代表を率いる森保一監督は、第1節のドイツ戦から第2節のコスタリカ戦に向けて、スタメン5人を入れ替えた。ドイツ戦でスタメン出場したものの負傷交代した酒井宏樹のスペイン戦出場は微妙だが、ドイツ戦でスタメン出場したメンバーのうち前田大然、伊東純也、久保建英、田中碧の4人は疲労感をあまり感じることなくスペイン戦を迎えられることだろう。中3日での戦いが続く過密日程のなか、コンディションの良し悪しは極めて重要となる。
2)三笘薫がほぼベストコンディション
日本代表の攻撃陣で最強の個は、三笘薫だろう。ドイツ戦、コスタリカ戦ともに途中出場からチャンスを生み出し、ドイツ戦では同点弾の起点となってみせた。一方でドイツ戦では後半12分から、コスタリカ戦では後半17分からの出場であり、合計の出場時間は1試合分にも満たない。本人としては、もっと試合に出たいという気持ちがあるはず。それでいて試合勘は維持できており、心身ともに非常に良い状態でスペイン戦を迎えられるだろう。スペインから得点を奪うためには、個の力が不可欠。その急先鋒が、三笘になる可能性は高い。
3)走行距離を抑えられている
ドイツ戦において、日本代表は全体で走行距離約120kmと豊富な運動量を発揮した。一方、コスタリカ戦では約103kmと大幅に減少。死闘となったドイツ戦の疲労が影響したにせよ、フィールドプレーヤーのうち半数となる5人をドイツ戦から入れ替えている。つまり疲労以上に両チームともに動きの少ない低調な試合となったことが、走行距離減少のおもな原因と考えられる。精神的にはともかく、身体的には疲労感の少ない試合となったはずで、スペイン戦では再び運動量豊富な日本代表が見られることだろう。
4)冨安健洋が復帰できる見込み
ドイツ戦で逆転のきっかけとなった、後半開始からの3バックへの移行。このときに投入され安定した守備をみせたのが、冨安健洋だった。しかしこの試合で右太腿裏の違和感を覚え、試合終盤には座り込む場面も見られた。その影響でコスタリカ戦に向けた全体練習に参加できないまま、試合への出場も叶わず。チームも守備陣のミスから、痛恨の失点を喫した。だがスペイン戦に向けて、30日から全体練習へと復帰。DFラインならばどこでも安定した守備を見せ、両足から質の高いパスを供給できる冨安がW杯初のスタメン出場となれば、金星に向けた大きな1歩となる。
5)自力でグループリーグ突破を決められる
サッカーにおいて、集中力は非常に大切だ。他会場のことや何点差以上での勝利など、勝敗以外のことを考えなくてはならない状況は選手の集中力を奪い、目の前の試合を難しくする。しかし日本代表は、スペイン戦に勝利すれば、点差に関係なく確実にグループリーグ突破となる。もちろんスペイン戦自体が難しい試合ではあるのだが、試合に向けた準備から試合中まで、スペイン戦のことだけを考えればよい状況にあることはポジティブな要素だ。
スペイン戦に向けては、コスタリカ戦で右膝を痛めた遠藤航、ドイツ戦で左太もも裏を痛めた酒井宏樹が欠場となる見通しだ。主力を欠くことはマイナスだが、ポジティブに捉えれば新たな選手起用が見られる。たとえば所属クラブでのようなプレーを見せられていない鎌田大地をボランチで起用したり、その場合にはトップ下にスペインでの経験が豊富な久保建英を起用したりするなど、まだ見せていない手を繰り出すことが可能になる。また、両チームには昨年の東京五輪準決勝で戦ったU-24代表のメンバーも多く、このときスペインに0-1で敗れた日本にとってはリベンジマッチ。すべてをモチベーションに変え、ドイツ戦に続いて世界を驚かせることができるだろうか。