サッカー日本代表の森保一監督が11月30日、「FIFA ワールドカップ カタール 2022」グループEの最終戦、スペイン代表戦(日本時間12月2日・午前4時開始)を前に会見に応じた。11月23日のドイツ代表戦では劇的な逆転勝利を収め、一気にグループリーグ突破に近づいたものの、続く27日のコスタリカ代表戦では攻め手を欠くと後半にミスから失点し痛恨の敗戦。1勝1敗、勝ち点3のグループ2位で最終戦を迎えることになった。最終の3戦目は格上のスペイン代表との対戦だが、勝てばその時点で2大会連続での決勝トーナメント進出が決まる運命の一戦を前に、森保監督は「選手には自分たちの力、仲間を信じて戦ってほしい」と語った。

【映像】運命のスペイン戦への意気込みを語る日本代表・森保一監督

-冒頭あいさつ

 明日のスペインに向けてですが、まずはこの準備期間である3日間、ミーティング等々、明日のスペイン戦に向けてチームとしていい準備ができていると思いますので、選手たちには明日、プレッシャーがかかる試合だと思いますが、自分たちの力を信じて、仲間を信じて戦いに臨んでほしいと思います。重要な試合に変わりはないですが、選手たちが普段やっている100%を出してくれれば結果はついてくると思います。まずは自分たちの力を100%発揮できるように思い切ってプレーしてほしいと思いますし、スタッフの一人として環境づくりをしていきたいと思います。そしてサポーターのみなさん、国民のみなさんに喜んでいただける結果を出せるように明日の試合もチーム一丸となって最後まで戦い抜きたいと思いますので、応援、共闘をお願いします。

-スペインのチームについての印象は。

 スペインは非常に戦術的、そしてテクニカルで戦える素晴らしいチームですが、今のルイス・エンリケ監督のもとダイナミックさとテクニカル、戦術的な部分、全て持ち合わせた素晴らしいチームだと思っています。

-選手たちにはどのような言葉を。

 まずは明日勝つ確率を高めるために、それぞれのコンディションを上げていくこと。フィジカル的にもメンタル的にも、この2戦で疲れたところをしっかり上げていってもらえるようにと話しました。そして明日のスペイン戦だけではないですが、できる選手がいるからこそ、こうやってスペイン戦でグループリーグ突破をかけて戦うことができると思っていますので、自分たちの力を発揮してほしいと思います。これからまた選手たちに取って非常に大切な一戦になると思いますが、目の前の一戦に最善の準備をして全力を出して勝利を目指して戦うことをこれまで通りやっていこうと選手には伝えるものと思います。

-アジアのサッカーはヨーロッパ、ラテンのサッカーとレベルはどのくらい違いますか。

 けが人はここに関しては酒井ができるかどうか。昨日の練習では外れた選手がいますけど、全員練習ができる状態です。世界のフットボールの違いを聞かれましたが、ヨーロッパのフットボールに全世界合わせてきている。戦術的にもフィジカル的にも、世界全体の傾向は似ているところはあると思いますし、差は縮まってきているとは思います。ただし、戦う上ではこれまでの強豪国との差を埋めるべく、我々は学びながら、どうやって越えていくかをこのワールドカップでも見つけていけていると思っています。

-世間の大きすぎる反響をどう受け止めているのか。

 まずは称賛も批判もあり、手の平返しをされるという部分においては、勝負の世界ですので勝てば称賛、負ければ批判されるのは当たり前のことかなと思っています。できれば批判はされたくないですけど、称賛も批判も含めて、日本の国民のみなさんがサッカーに興味を持ってもらい、サッカーというスポーツを認識してもらい、そこで議論をしてもらえることを非常に私自身はうれしく思います。それだけサッカーは日本の国民のみなさんの日常生活に寄り添って見てもらえることもできるスポーツだなと思ってもらえると。議論も見方も自由なので。自分の思いをぶつけてほしいと思います。喜ぶのもいいですし、ストレスをぶつけるでもいいですし、全てがうれしいと思っています。選手にも伝えていますが、我々は日本の代表として世界の舞台で戦う上で日本人の魂と誇りを持って、日本のために戦いに挑むということ、そこは共有できていると思いますし、サポーターのみなさん、国民のみなさんに喜んでいただけるように、日々努力して全力で戦いに挑むだけかなと思っています。また、選手たちには自分たちの価値を上げる、日本のサッカーの価値を上げる思いを持ってプレーしてもらい、日本の国民のみなさん、サポーターのみなさんに勝利をお届けして、喜んでいただき元気や勇気、そして選手たちが粘り強く戦う姿を見ていただいて、日頃の頑張りとなる活力を感じてもらえるように、活動、プレーしてほしいという思いでいます。

-会見前にメモを取っていた。

 2点ありまして、1つは先ほど(隣の)権田が「過去は変えられない」ということ、まさに常に選手たちに言っていることで、自分自身も常に心に留めていることなんですが、過ぎ去った過去はよかったことであれ、よくなかったことであれ、過去のことは全てポジティブ変換して未来に活かすということ。今回もスペイン戦に向けてやっていきたいと「過去を活かす」と書きました。後は称賛も批判も当たり前だと、それが我々がやっていることが国民のみなさんの話題になるとうれしいと書きました。

-スペインとは東京オリンピックでも戦った。その影響は。

 2020東京オリンピックで準決勝でスペインに敗れたということは非常に残念で悔しい思い出ですので、選手も私も含めて悔しい思いから成長を誓って、今ここにいるところもあります。今回の対戦で、今度は我々が喜べるようにという結果を目指して戦いたいです。私がスペインのサッカーをA代表から育成まで見させていただいて、国のサッカーとして一貫してベースとしてやられているプレイモデルの重要性だったり、大切さだったり、そういうところは素晴らしいと見させてもらいました。東京オリンピックチームのスペイン代表の選手が何人もA代表に入っていますし、明日の対戦でまたスペインのサッカーが育成からトップへ、どういう流れで来ているのか試合をもって感じさせてもらいたいと思いますし、1戦目のドイツ同様、スペインもワールドカップでチャンピオンになった経験国だということ、我々も2050年までにワールドカップで優勝することを目指している中、どのように目指していくべきかまた明日教えてもらえる、学べると思いますので、勝利を目指すとともに、我々がどうあるべきかも考えながら試合に臨みたいと思います。

-シンプルに今の心境は。

 明日のスペイン戦に臨めること、この状況を本当に幸せに思いますし、喜びに感じています。プレッシャーはなくて、あるとすれば自分たちの力を出し切れるかどうかを後悔することなくというプレッシャーはありますが、常に勝利を目指して、明日のスペイン戦も勝利を目指して、グループリーグ突破を目指して戦えるということしか考えていませんので、世界の強豪とワールドカップで優勝した経験がある国と真剣勝負の場で戦えることを喜びに、幸せに思って戦いに臨みたいと思います。

【日本代表 グループリーグ突破条件】

(1)日本代表がスペイン代表に勝利 → 無条件で決勝トーナメント進出決定

 この場合の勝ち点は、日本代表が6、スペイン代表が4。コスタリカ代表が勝った場合は勝ち点6で並ぶが、得失点差で日本代表の1位突破の可能性が高い。

(2)日本代表とスペイン代表が引き分け&ドイツ代表とコスタリカ代表が引き分け →無条件で決勝トーナメント進出決定

 この場合の勝ち点は、スペイン代表が5、日本代表が4、コスタリカ代表が4、ドイツ代表が2。4で2チームが並ぶが、次点の「得失点差」で日本代表が2位突破となる。

(3)日本代表とスペイン代表が引き分け&ドイツ代表がコスタリカ代表に勝利 → ドイツ代表の得点次第

 この場合の勝ち点は、スペイン代表が6、日本代表が4、ドイツ代表が4、コスタリカ代表が3。ドイツ代表が2点差以上で勝てば、日本代表の敗退が決定。ドイツ代表が1-0で勝った場合、日本代表は0-0での引き分けなら敗退となる。
(『ABEMA NEWS』より)