【FIFA ワールドカップ カタール 2022・グループF】クロアチア vs クロアチア(日本時間12月1日/アルマド・ビン・アリ・スタジアム)
世界ランキング2位で今大会でも躍進が期待されていたベルギー代表が混乱の渦に揺れている。 11月27日に行なわれたカタール・ワールドカップ(W杯)は、グループリーグF組の第2戦で、モロッコ代表に0-2で完敗し、順位を3位まで落とした。
【映像】敗戦後のデ・ブライネ… ベルギー代表GS敗退の危機
ベルギー代表の不甲斐ない試合結果に、首都ブリュッセルで暴動まで発生した。自動車やスクーターに火をつけたり、レンガを投げつけたりと市街地が大混乱になり、警察が出動して放水や催眠ガスによりこの暴動を抑え込んだと報道された。
決勝トーナメントへ黄色信号となった“レッドデビルズ”(ベルギー代表の愛称)。
グループ順位も首位のクロアチア、2位のモロッコが勝ち点4で並び、勝点1差というプレッシャーのかかる状況で、予選リーグ最終戦で前回大会準優勝のクロアチア代表と大一番に挑む。
しかし、クロアチアとの大一番を前にチームには、不穏な空気が流れている。
事の発端は、英『The Guardian』のインタビューでW杯優勝の可能性について聞かれたデ・ブライネがメディアの前で「僕らの年齢は前よりも高くなった。勝ち目はないと思う」と言い放ったのである。
そんなデ・ブライネはモロッコ代表に0-2で完敗すると、怒って帰ってしまうシーンが動画に映し出されてしまう。デ・ブライネは所属するマンチェスター・シティでも味方にフラストレーションをぶつけるようなシーンが多々あり、エゴイストのイメージは否めない。個性的な選手が集まる代表チームでは、時としてそれが諸刃の剣となる可能性がある。
そんなデ・ブライネの発言や行動は代表チームに影響を及ぼす。案の定、チーム内で不協和音が加速していた。
例えば、ベルギー代表の歴代最多試合数を誇るヤン・ヴェルトンゲンがモロッコ戦の敗退を「今日の攻撃が酷かったのは、彼ら(攻撃陣)が年を取りすぎているからかもしれない」とデ・ブライネに応戦するかのように完封されたアタッカー陣を皮肉ってしまったのだ。
更にチームの和は崩壊し、ベルギー紙『Het Nieuwsblad』の国内メディアによると、ヴェルトンゲンとデ・ブライネ、さらに攻撃の軸を担ってきたエデン・アザールが試合後のロッカールームで口論になったと報道している。そんな緊張感がある状況をロメル・ルカクが仲裁したと報道。ロベルト・マルティネス監督も会見で、ロッカールームの雰囲気が悪いことを認めている。あのレッドデビルズが内部崩壊という思わぬ落とし穴にハマってしまったのだ。
モロッコ戦の翌日には、「負けた時の緊張というのはいかなるチームにもある。感情的になるのは論理的だ」と語っていたロベルト・マルティネス監督と、チーム内で発言権を持つベテラン選手たちが緊急会議を開催し、そこで全員が「言いたいことを言い合って和解した」と報道されている。
しかし、「チームは前を向こうとしているが、依然として一部の選手は騒動の発端となったデ・ブライネの態度が代表に対してポジティブなものでなく不満を持っている」と報道された。短期決戦において、チーム内からの崩壊は何よりも避けたい状況だと分かっていても溝の深さを感じてしまう。
レッドデビルズ(赤い悪魔)と恐れられるベルギー代表は、運命のクロアチア戦で一致団結し会心の勝利をあげられるのか。それとも、このまま堕落の底に落とされてしまうのか。
絶体絶命を迎えたベルギー代表の命運が左右される試合に世界中から熱い視線が向けられている。
(ABEMA/FIFAワールドカップ カタール 2022)