日本代表はカタール・ワールドカップのグループステージ第3節でスペインと対戦し、2-1で逆転勝ちしたね。
 
 日本は11分に失点し、前半だけで吉田、板倉、谷口のCB3人にイエローカードが出た。でも、しょうがない。2失点目は致命的になるからファールを承知で、初戦のドイツ戦と同様に耐えて、耐えて、よく守り切った。伊東や三笘もウイングバックというよりSBのようで、守備で貢献していた。
 
 コスタリカ戦の後にも指摘したけど、強い相手と対戦するなら日本はディフェンシブな戦い方をするべきだよ。
 
 それにしても、堂安の同点弾は凄かったね。田中の逆転ゴールも、三笘が最後まで追いかけたから生まれた。このひたむきさが勝因と言える。
 
 一方のスペインは、先制点はヘディングだったけど、幸いドイツのようにヘディングの強い選手があまりいなかったから、足もとで繋いでいるだけだった。日本にあれだけ引かれてしまうと、そう簡単には崩せないと思うよ。サイドからドリブルで仕掛けてくる回数も少なかったね。
 
 だけど、日本がグループステージを1位で通過するなんて、誰が予想しただろう。今回のワールドカップのサプライズだね。今、考えてみれば、コスタリカに負けたのは良い薬になったんじゃないかな。
 
 また、今大会は日本に限らずディフェンシブな采配が当たっている。ブロックを固めて、少ないカウンターでゴールを奪い、5人の交代枠を上手く使いながら守り切る。それに強豪国が苦労している様子だし、理想的な戦い方だろう。
 
 次の相手はクロアチアだ。グループステージより厳しい戦いになるのは確実だし、クロアチアは高さもあるから、ドイツ戦やスペイン戦のような“守る力”が鍵になる。板倉は出場停止だけど、冨安が戻ってきて、谷口も良い動きを見せていたから、そこはポジティブに捉えられる。
 
 ただ、日本は何度もグループステージを突破した経験はあるから、次に勝たなかったら、ドイツ、スペインから挙げた金星は何の意味もなくなる。森保ジャパンのディフェンシブなサッカーはハマッているから、これからの戦いにおいて、どれくらいチャンレンジできるかに期待したいね。
 
【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。
 
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