【試合展望】スイスとセルビアによる欧州勢対決は必見

 カタール・ワールドカップ(W杯)の大会13日目は、グループGとグループHの最終戦が行われてベスト16が出揃う。すでにブラジル代表とポルトガル代表は突破を決めているが、グループGではスイス代表とセルビア代表による欧州勢対決、グループHではアフリカの雄ガーナ代表がここまで本調子ではない南米の武闘派集団ウルグアイ代表を迎え撃つ。アジア勢で3チーム目の決勝トーナメント進出を狙う韓国代表も厳しい条件ながら突破を目指してポルトガルに挑む。

■ガーナ×ウルグアイ
グループH第3戦
キックオフ:現地時間12月2日18時(日本時間3日0時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:モハメド・サリス(ガーナ)、ルイス・スアレス(ウルグアイ)

 ガーナは勝利はもちろん引き分けでも突破の可能性が高い。一方でウルグアイが勝利のみの条件とあって攻撃的に出ることが予想される。最終ラインのDFモハメド・サリスらが“マリーシア”も駆使してくるような曲者揃いのアタッカーたちを抑え込まなくてはならない。中盤から前線は今大会で好調なMFモハメド・クドゥスら能力の高さを見せている。耐えたあとの反撃にも期待したいところだ。

 2試合連続でノーゴール、さらに勝ち点1で最終戦を迎えるのはウルグアイにとって想定外だろう。それでも勝利すればガーナを勝ち点で抜き、他会場の結果次第だが突破の確率は十分だ。FWルイス・スアレスとFWエディンソン・カバーニの両ベテランアタッカーは今回が最後のW杯になりそうだが、ここで意地を見せられるか。W杯で常に存在感を放ってきたスアレスに注目したい。

■韓国×ポルトガル
グループH第3戦
キックオフ:現地時間12月2日18時(日本時間3日0時)
放送・配信 ABEMA
注目選手:ソン・フンミン(韓国)、ラファエル・レオン(ポルトガル)

 韓国は勝利したうえで他会場の結果を待つことになる。試合前時点でウルグアイを得失点差と総得点で上回っていることは少し心強い要素だ。また、ポルトガルは決勝トーナメント進出を決めているだけにターンオーバー起用も想定される。今大会ではチュニジア代表が大幅なメンバー変更を施したフランス代表に金星を挙げた。韓国にも似たようなチャンスがあるという見方もできるだろう。フェイスガードを装着して大舞台に間に合わせたFWソン・フンミンは、韓国をグループ突破に導けるか。

 ポルトガルは決勝トーナメントを見据えた選手の入れ替えも想定される。逆に言えば、“ネクスト・ロナウド”とも目される若き才能のプレーを見るチャンスとも言える。昨季にACミランでリーグ優勝に貢献したFWラファエル・レオンは大きなステップアップも期待される逸材。すでに2試合途中出場してガーナ戦でゴールもしているが、スタメンで長い時間のプレーが見られることになれば楽しみな選手だ。

■セルビア×スイス
グループG第3戦
キックオフ:現地時間12月2日22時(日本時間12月3日4時)
放送・配信:フジテレビ系、ABEMA
注目選手:アレクサンダル・ミトロビッチ(セルビア)、マヌエル・アカンジ(スイス)

 セルビアは勝利すればスイスを抜き、ブラジルがカメルーンに敗戦しない限り突破できる。カメルーン戦では互いに勢い任せになった感もあり3-3の大味な引き分けとなったが、スイスは逆にロースコアに持ち込む強さがある。セルビアとしては、少し忙しい試合展開に持ち込みたいだろう。そのためには、エースFWアレクサンダル・ミトロビッチには先制点の期待が大きい。名古屋グランパスの選手、監督として日本でも馴染み深いドラガン・ストイコビッチ監督のカリスマ性がチームにどんな影響を与えるか。

 スイスは勝利はもちろん、引き分けでも高い確率で突破できる。セルビアの思惑とは逆に、整理されたゲームに持ち込んで徐々に力強さを見せていくような試合にしたいだろう。セルビアのどこか掴みどころのない得点力が確かなアタッカーたちに対し、DFマヌエル・アカンジらの最終ラインは気を抜けない。状況次第でセルビアがストライカーを4人、5人とピッチに送り込むことも想定されるだけに、カウンターの精度も高めたいところだ。

■カメルーン×ブラジル
グループG第3戦
キックオフ:現地時間12月2日22時(日本時間12月3日4時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:バンサン・アブバカル(カメルーン)、ガブリエル・ジェズス(ブラジル)

 カメルーンは勝利すれば突破の可能性がある。第2戦のセルビア戦でW杯本大会での連敗は止めた。相手は世界ランキング1位の強豪だが突破を実現する勝利が欲しいところだ。カメルーンの魅力はセルビア戦でGKとの1対1で高くボールを上げたループシュートを決めたFWバンサン・アブバカルに象徴されるように、良くも悪くも掴みどころがなく、何を起こすか予想のつかないところ。フランスを下したチュニジアと同様に決勝トーナメント進出を決めた強豪国を相手にサプライズを起こしたいところだ。

 すでに決勝トーナメント進出を決めたブラジルは、ターンオーバー起用も想定される。FW登録が9人もいることが話題になったメンバーだけに、FWガブリエル・ジェズスやFWガブリエル・マルティネッリといった選手たちの起用があれば、現在スタメンで出ている選手たちに劣らない実力を発揮する姿が期待できるだろう。2002年日韓W杯以来の優勝を見据えるだけに、このゲームで勢いを失わずに主力を休ませるような乗り切り方をしたいところだ。

【グループ展望】すでに16強入りのブラジルとポルトガルは首位通過を狙う?

■グループG
1位 ブラジル 勝ち点6(得失点差+3)
2位 スイス 勝ち点3(得失点差0)
3位 カメルーン 勝ち点1(得失点差-1)
4位 セルビア 勝ち点1(得失点差-2)

■グループH
1位 ポルトガル 勝ち点6(得失点差+3)
2位 ガーナ 勝ち点3(得失点差0)
3位 韓国 勝ち点1(得失点差-2)
4位 ウルグアイ 勝ち点1(得失点差-2)

 この両グループは1位と2位が決勝トーナメントの初戦で対戦する。突破を決めているとはいえ、ブラジルとポルトガルはお互いに2位通過になって16強で強豪対決という事態は避けたいところだろう。

 グループGはスイスとセルビアの直接対決が注目ポイント。もちろんカメルーンがブラジルを破れば状況は複雑になるが、基本的には両者が勝利を目指しつつもスイスは引き分けがOKという考え方での試合をすることになるだろう。もしカメルーンがブラジルをリードしているという情報が入ることになれば、両チームが見せるピッチ上の振る舞いに変化が起こることになるかもしれない。

 グループHも似たような状況にあり、ガーナとウルグアイの直接対決が基本的にはキーポイントになる。ノーゴールとはいえ際どいところでゴールポストなどに嫌われているウルグアイが、ここで爆発するのか沈黙したまま去るのか興味深いところだ。韓国は突破を決めているポルトガルから勝利を奪うことが最低条件になっているので、まずはリードを奪って別会場にプレッシャーをかけたい。(FOOTBALL ZONE編集部)