[カタールW杯グループステージ第3戦]日本代表 2-1 スペイン代表/現地時間12月1日/ハリファ国際スタジアム
 
 日本代表がスペイン代表を破った後の選手取材を終え、スタジアムからメディアセンターに向かって歩いている途中だった。「ジャパーン!ウィーン!」と大きな声が聞こえてきた。
 
 ハリファ国際スタジアムで案内係をしているマレーシア人の男性だった。彼はサッカーが大好きなそうで、むしろ僕よりも興奮している様子だった。
 
「凄いぞ日本! ドイツ戦もこのスタジアムだっただろ? あの時も俺はここで働いていたんだ。最高だよ。マレーシアはW杯に出たこともないんだ。羨ましいよ」
 
 僕が「ありがとう。俺たちはアジアの仲間さ」と言うと、彼は「そうだな! カタールにいるたくさんのマレーシア人、そしてアジア人もみんな日本を応援している。日本はアジアの誇りだ」とニッコリ笑って握手をしてくれた。
 
 直後の宿泊ホテルでも似たようなことがあった。いつも部屋を掃除してくれるバングラディッシュ人清掃員の青年は、部屋に入るなり「日本がまた勝ったね!」とお祝いしてくれた。彼もまたサッカーが大好きだ。
 
「君たちが泊まってくれているし、ホテルのみんなで日本を応援しているんだ。バングラディッシュのサッカーはまだ弱いけど、いつか日本みたいなってほしいな」
 
 日本だってアジア予選を突破できない時代が長く続いていた。バングラディッシュだってその気になれば不可能はない。僕が「いつかW杯で日本とバングラディッシュの試合が見たいね」と言うと、彼は「見たい!」と目をキラキラさせていた。
 
 カタールは移民国家で、総人口の約77%が外国からの出稼ぎ労働者。W杯取材でドーハ入りして約3週間が経過したが、ホテルやスタジアムはもちろん、ご飯を食べに行っても、スーパーに買い物に行っても、メトロやタクシーに乗っても、出会うのはほとんどが移民労働者だ。しかもそれこそマレーシアやバングラディッシュ、インド、ネパール、フィリピン、ヨルダン、バーレーンなどアジア系が多い。
 
 そんなカタールで働く多くのアジア人労働者たちにも、森保ジャパンは感動と勇気を与えているのだ。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

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