日本サッカー協会(JFA)は28日、サッカー日本代表の森保一監督が続投することを発表した。
ベスト16敗退で終わったカタールワールドカップから地続きで4年後の「ベスト8進出」を目指すための監督留任だ。グループステージでドイツ代表やスペイン代表を破った一方、コスタリカ代表に敗れ、ラウンド16ではクロアチア代表に力及ばず。ただ、その戦いの中で課題は明確になった。
28日に記者会見に臨んだ森保監督は「日本サッカーの歴史として積み上げてきたことを活かし、それをさらにブラッシュアップさせる」と、今後への決意を語った。そして、カタールの地で体感した課題にも言及する。
「我々がボールを握ってゲームをコントロールすること。速攻であれ遅攻であれ、我々がボールを奪って、そこからゲームをコントロールできるようにしなければいけないと思っています」
アジア予選の段階では主導権を握りながら試合を進めることができていた。しかし、ワールドカップではより現実的な戦いにシフト。試合の中で4バックから5バックにシステムを変えるなど、守備に軸足を置いた戦術で結果を残した。
ただ、ドイツ代表やスペイン代表にボールを握られる時間が長く、負けてもおかしくない展開だったのは間違いない。大胆な戦術変更や選手の入れ替えによって相手を驚かし、カウンターでゴールを奪うことができたが、毎回うまくいくとは限らない。やはり自分たちで試合をコントロールする時間を長くしていかなければ、ワールドカップレベルの試合で勝つ確率を上げ、ベスト8を狙っていくことは難しいだろう。
「まだまだ試合をコントロールするボール保持はできていませんが、ボールを放棄することはこの4年間でほぼなくなったと思います。コスタリカ代表戦ではボールを繋ごうとして、そこから失点につながってしまいましたが、間違いなくマイボールを大切にすることが我々の強みだと、選手たちが勇気を持って実践してくれた」
2018年夏に就任してからの4年間で、成長への確かな手応えがある。だからこそ、今後は世界トップレベルの中でも「より勇気を持って、マイボールを大切にして戦うこと」の実現が大きなテーマになる。
課題改善に向けて新たなコーチを迎える計画も進んでいる。カタールワールドカップで日本代表のコーチを務めていた横内昭展氏がジュビロ磐田の監督に、上野優作氏がFC岐阜の監督に就任することとなり、スタッフ陣の入れ替えや補充は目下の懸案事項だ。
森保監督は具体名こそ明かさなかったものの、「守備から攻撃に移った時のカウンターではある程度チャンスを作れたと思いますが、ボールを握りながらアタッキングサードでシュートチャンスをより多くすることに長けている、元選手のコーチを招聘できればと思っています」と述べた。
「基本的には横内コーチ、上野コーチが抜けたポジションを補充しつつ、全体的に考えていきたいと思っております。(新たなコーチ人事は)急がず決めていきたい。日本代表の勝利と日本サッカー発展のため、結果を出せるコーチを選んでいきたいと思います」
決勝のアルゼンチン代表対フランス代表も含め、カタールワールドカップを通じて「攻撃でボールをコントロールしながら速攻、遅攻を仕掛けていくことはとても大切ですけど、サッカーはボール奪い、ボール守るという、デュエルの部分の本質のところで力を持っていなければ技術、戦術は全く生かされない」と気づかされた。森保監督はその前提に立って、2026年の北中米ワールドカップに向けた日本代表の強化を進めていくつもりでいる。
「これまでの日本サッカーの積み上げを生かしつつ、これから次のワールドカップに向けても確実に積み上げをしていけるよう、時代の変化に対応しながら勇気を持って挑戦し続け、選手の価値、日本サッカーの価値、スポーツの価値を上げていけるように全力を尽くしていきたいと思います」
与えられた時間は約3年半。「これから先の道のりは間違いなく厳しいものになる」という認識を持つ森保監督は、我々にどんな形で日本サッカーの進化を披露してくれるだろうか。その仕事に対して求められる基準は、カタールワールドカップ前よりもはるかに高いものになるだろう。
(取材・文:舩木渉)
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