日本サッカー協会(JFA)は28日、サッカー日本代表の森保一監督が続投することを発表した。

 来年3月、日本代表は「森保ジャパン」として再始動する。次なる目標は2024年1月に開催が見込まれるAFCアジアカップでの優勝と、2026年に行われる北中米ワールドカップでのベスト8進出だ。

 では、これからチームはどう変わっていくのだろうか。まず気になるのはカタールワールドカップにも出場したベテラン選手たちの今後だ。現キャプテンのDF吉田麻也をはじめ、DF長友佑都やGK川島永嗣、DF酒井宏樹、MF柴崎岳ら複数回のワールドカップを経験してきた功労者たちは指揮官の構想に入ってくるのだろうか。

 森保監督は28日に行われた記者会見で、来年3月の活動に向けて「基本的には今回のカタールワールドカップで初出場したような若い選手たちが中心となってスタートするかもしれません」と明かした。

 大きな国際大会においてベテラン選手たちが持つ経験は非常に重要な意味を持つが、まずは4年後を見据えたチームづくりの第一歩として「より多くの選手を、より幅を持って」日本代表に引き上げていくつもりのようだ。

 森保監督はU-21日本代表の大岩剛監督や、U-19日本代表の冨樫剛一監督ら世代別代表の指揮官たちとも密にコミュニケーションを取っており、2024年のパリ五輪出場を目指す世代などからA代表に抜てきされる人材も徐々に増えてくるのではないだろうか。

 若い選手たちにチャンスを与え、アジアカップやワールドカップに向けた活動をスタートさせる。そして、日本代表はカタールの地で痛感した「速攻であれ遅攻であれ、我々がボールを奪って、そこからゲームをコントロールできるようにしなければいけない」という課題解決を図り、チームの底上げを目指す。

 反町康治技術委員長は「攻撃能力の高いセンターFWの発掘、そこは一番力を入れなければいけない。個でも攻撃に違いを作れるような選手が果たして今回(のワールドカップのメンバーに)いたかなというと、まだまだ多くない」とも述べており、攻撃面で高い能力や優れた特徴を持つ選手のスカウティングや発掘も進めていく方針だ。

 また、チームとしての闘い方に変化が生まれてくるかもしれない。カタールワールドカップまで日本代表を支えた横内昭展コーチと上野優作コーチが退任し、それぞれJ2のジュビロ磐田とJ3のFC岐阜で来季から監督を務めることが発表されている。

 そのため日本代表に新たなコーチを迎える方向だ。森保監督は「日本代表の勝利と日本サッカー発展のため、結果を出せるコーチを選んでいきたい」と述べ、さらに「我々がボールを奪って、そこからゲームをコントロールできるように」というポイントをチームの戦い方に落とし込める指導者の招へいを目論んでいる。

「(カタールワールドカップでは)守備から攻撃に移った時のカウンターである程度チャンスを作れたと思いますが、ボールを握りながらアタッキングサードでシュートチャンスをより多くすることに長けている、元選手のコーチを招聘できればと思っています」

 そう語る森保監督は、「私自身も多くの方々にいろいろなことを学び、歴史を伝えていただき、バトンを渡してきていただいた。日本の未来にバトンを渡せるようなコーチを選んでいきたい」という考えも示した。

 日本代表のコーチとして新進気鋭の若手指導者を抜てきし、攻撃面での課題解決などを託す可能性もある。監督が変わらずとも、スタッフの顔ぶれが変われば、チームとしての戦い方にも大きな変化や成長が生まれるかもしれない。

 カタールの地でドイツ代表やスペイン代表を破った日本代表は、26人中19人がワールドカップ初出場というフレッシュなチームだった。この流れをさらに加速させ、そのうえで2026年のワールドカップに向けて戦術レベルやチーム力を引き上げていくという極めて難しい挑戦が始まろうとしている。

(取材・文:舩木渉)

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