カタール・ワールドカップ(W杯)のグループG最終節、カメルーン代表vsブラジル代表が2日に行われ、カメルーンが1-0で勝利した。

カメルーンは前節、セルビア代表との壮絶な打ち合いを3-3のドローで終えて前大会以前から続くW杯連敗をストップ。逆転突破へ勝利必須で臨んだ3位チームは、先発4人を変更。センターバックをカステレットとエンクルからウーとエボスに入れ替えたほか、ホングラとトコ・エカンビに代えてアブバカル、エンガマルを起用した。

一方、セルビア、スイス代表に競り勝って連勝のブラジルは、エースのネイマールら負傷者に悩まされながらもグループリーグ突破を決定。引き分け以上で首位通過を決められるこの最終戦ではミリトンとフレッジを除く先発9人を変更。GKにエデルソン、バックラインにダニエウ・アウベスやブレーメル、中盤から前線ではロドリゴを除きファビーニョやマルティネッリ、ガブリエウ・ジェズスとプレミアリーグで活躍する選手が並んだ。

勝ち点3が必要なカメルーンだが、ブラジルの強力な攻撃を警戒してか、序盤から後ろ重心の慎重な戦いを見せる。これに対して、大きくメンバーを入れ替えたものの、安定した後方からの繋ぎとアントニー、マルティネッリの両ウイングの個人技が機能するブラジルは攻勢を仕掛けていく。

14分にはボックス手前のフレッジが浮き球で入れたパスをゴール前にフリーで飛び込んだマルティネッリが頭で合わすが、これはGKエパシの好守に遭う。以降は決定機まで持ち込めないものの、アタッキングサードで多彩な仕掛けを見せるチッチのチームは相手守備陣にじわじわとダメージを与えるような攻撃を継続する。

カメルーンの粘りもあって0-0のまま迎えた前半アディショナルタイムには互いに見せ場が訪れる。まずはボックス中央で積極的にドリブルを仕掛けたマルティネッリが右への持ち出しから強烈な右足のシュートを枠に飛ばすが、これはGKのファインセーブに阻まれる。

一方、幾度かカウンターを仕掛けたものの、決定機はおろかフィニッシュまで遠いカメルーンだったが、ボックス左で仕掛けたエンガマルのクロスがファーでドフリーのエンベウモに渡る。だが、ピッチに強く叩きつけたヘディングシュートはGKエデルソンに驚異的な反応ではじき出されてファーストシュートでの先制点奪取には至らず。

結局、均衡が保たれたまま折り返した試合は互いにメンバー交代なしでリスタート。後半立ち上がりはアブバカルの際どいシュートなどでカメルーンが良い入りを見せるが、ブラジルも時間の経過と共に押し返す。

後半も危なげなく試合を進めるブラジルだが、再び負傷者を出してしまう。競り合いの際の着地で足を痛めたテレスがプレー続行不可能となり、マルキーニョスを55分にスクランブル投入。さらに、このタイミングでフレッジ、ロドリゴも下げてギマランイス、エヴェルトン・リベイロをピッチに送り込む。この交代直後にはジェズスとマルティネッリのアーセナルコンビで最初の決定機を作り出すが、ボックス内での右足シュートは相手GKの好守に阻まれる。

以降は互いに積極的に交代カードを切って試合の流れに変化を加えていく中、ブラジルが攻勢を強めていく。だが、最後の局面で身体を張る相手の守備に手を焼き、ゴールまであと一歩という場面が目立つ。

すると、引き分け濃厚と思われた後半終盤にカメルーンが試合を通して狙っていた形の攻撃を完遂させる。92分、右サイドのスペースで縦にボールを運んだエンゴムが速いタイミングで完璧なクロスを供給すると、うまくセンターバック2枚の間に入り込んだアブバカルがこれまた完璧なヘディングシュートをゴール右隅へ流し込んだ。

この劇的ゴールに興奮したアブバカルがユニフォームを脱いで2枚目の警告を受けて退場となったが、ブラジルの猛攻を凌ぎ切ったカメルーンが優勝候補相手にジャイアントキリングを達成した。

なお、グループリーグ唯一の3連勝を逃すと共にW杯グループリーグでの無敗記録が「17」でストップしたブラジルだが、2位スイスの追撃を僅差で振り切ってノルマである首位通過を決定。5日に行われるラウンド16ではグループH2位の韓国代表との対戦が決まった。
カメルーン代表 1-0 ブラジル代表
【カメルーン】
アブバカル(後47)