カタール・ワールドカップに出場している日本代表は現地時間１日、グループステージ最終戦でスペイン代表を２－１で破り、決勝トーナメント進出を決めた。ドイツ代表に続く今大会２度目の優勝経験国撃破の理由と、この勝利が次のラウンド１６でのクロアチア代表戦、さらにその先の日本代表にもたらすものを、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が語り尽くす。

■クロアチア戦の展開は？

――日本はどんな戦い方をすべきでしょうか。

大住「このクロアチア戦が、今大会の日本にとっての決勝戦だよね。目標はベスト８以上、新しい景色を見たい、と言うんだから、この試合に勝つかどうかで、すべての意味が決まるわけだよ。ドイツとスペインに勝ったと言っても、ここで負けたら“またか”で終わっちゃう。決勝戦なんだから、ただ勝つための試合になると思うよ。ということは、今大会の手応えから言ってやりやすいという感じを持っているんじゃないかと思う３バックで臨むんじゃないかな」

後藤「いろいろと考えどころだよね。クロアチア相手なら、８割方ボールを持たれたスペイン戦ほどのポゼッションの差はつかないはず。クロアチアの方がちょっと上回るくらい…そんなことないかな？　僕が思うに、どちらがポゼッションで上回るか分からない試合になるだろうから、ドイツとスペイン相手の試合とはだいぶ様相の違う試合になるはず」

大住「球際で勝つのが難しい相手だよね」

後藤「でも、そこまでの差はないよ。日本がボールを持つ時間もかなりつくれるから、そういう展開でどう戦うかだけど、ドイツやスペイン相手と同じやり方じゃないと思う。あとは、シュート力のある選手が多いような気がするから、そのあたりが要注意かな」

■出場停止の板倉の代役は？

大住「フォーメーションが３－４－３から５－４－１みたいになる形というのは、かなり皆、手応えを持ったんじゃないかな。前の３人のボールの追い方もドイツ戦よりも良くなっていたし、ウィングじゃなくてインサイドに入って３人でセットになってプレスをかけられるようになったしね。３バックにすると単純に守備的になるというのではなくて、攻撃面でもプラスになると、皆が信じられているんじゃないかな」

後藤「今のチームの選手たちは、３バックが守備的だなんて思っていませんよ。大会直前のカナダ戦もそうだし、ドイツ戦でも３バックに変えて攻撃に移っていたし」

大住「選手を変えずにそうできるというのがすごいよね」

後藤「スペイン戦の３バックは、仕方ないから跳ね返すという３バックだったから、並びは同じでも試合によって意味は違うわけですよ」

大住「谷口彰悟があれだけできるんだったら、クロアチア戦でも十分できるだろうし」

後藤「冨安健洋がもう少し長い時間できるようになるかもしれないし。今回の試合で、また誰かがどこかを痛めたということが出てくるだろうから、そういうことも含めて総合的に考えないと」

大住「板倉滉が警告の累積でクロアチア戦には出られないしね」

後藤「冨安が劇的に回復したら先発するかもしれないし」

大住「あとは伊藤洋輝だよね」

後藤「伊藤はコスタリカ戦で、いまいちの出来だったからなあ」

大住「でも力のある選手だから、できると思うよ。特に３バックだったら、伊藤は力を発揮するんじゃないかな。強さもあるし、ロングパスもあるし」