金星をあげて大会を去ることになったカメルーン

3日、FIFAワールドカップ・カタール大会ではカメルーン対ブラジルの一戦が行われた。この試合で決勝点をあげたFWバンサン・アブバカルは、得点後に2枚目のイエローカードを提示され退場となったが、その際の振る舞いが話題になっている。
 
1勝1分の勝ち点1で今回のブラジル戦に挑んだカメルーン。グループGは勝ち点6のブラジルが首位、勝ち点3のスイスが2位という状況であり、カメルーンが決勝トーナメントヘ進出するには、優勝候補ブラジルから勝利をあげ、なおかつスイスがつまずくことを祈るしかなかった。
 
ブラジルはすでに2位以上を確定させていたため、大幅にメンバーを入れ替えてこの試合に臨んだ。それでもやはり試合の主導権はブラジルが握る。しかし、カメルーンも決して怯まず、両チーム共にチャンスを作りながら0-0のままハーフタイムを迎えた。
 
後半に入ると、カメルーンもブラジルもお互いのゴールに迫るシーンが多くなったが、スコアは動かないまま後半アディショナルタイムに突入。すると、2分ほど経過した時点で、右サイドでボールを受けた途中出場のMFジェローム・エンゴム・ムベケリが中央へクロスを送り、10番アブバカルが頭でこれに合わせる。ブラジルのGKエデルソン・モラレスはこのシュートに対して一歩も動くことができず、カメルーンが試合終了間際に先制に成功した。
 
ボールがネットを揺らした直後、ゴールを決めたアブバカルは興奮のあまりユニフォームを脱ぎ捨て、感情を爆発させた。彼が仲間と喜びを分かちあった後、主審はアブバカルの方に近寄っていき、彼とがっちり握手を交わす。そしてこの日2枚目のイエローカードをアブバカルに提示し、彼はそのままピッチを後にした。
 
ここで注目すべきはアブバカルの表情だ。彼は落ち込んだ素振りや悔やむ素振りを一切見せずに退場を受け入れ、チームメイトと目が合った際には笑顔を浮かべていた。このアブバカルの態度について、英『The Times』は「ワールドカップでレッドカードを提示され、これほど嬉しそうな顔をした男はいなかった」と評している。
 
この退場が響いてブラジルに同点に追いつかれていれば悲劇と化していたが、カメルーンは残りの数分を10人で耐えしのぎ、しっかりと1-0で試合を終わらせている。これにより、カメルーンはワールドカップでブラジルから勝利をあげたアフリカ勢初のチームとなっており、アブバカルの決勝点は非常に価値のあるものとなった。
 
決勝トーナメントに進んでいた可能性が0でなかったことも踏まえれば、ユニフォームを脱がずにゴールを喜びたいところではあった。しかし、同様のゴールを決めて冷静でいられる選手が一体世界にどれだけいるだろうか。