連日熱戦が繰り広げられている、2022FIFAワールドカップカタール(カタールW杯)。大会13日目でグループリーグA~Hまでの全日程が終了し、ついに日本時間12月3日24:00から16カ国の突破チームによる決勝トーナメントがスタートした。ここから先は、負けたら終わりのステージ。グループリーグ以上の激戦が予想され、勝ち進んだチームの戦いぶりに注目が集まる。

一方で、残念ながら敗退した16カ国のチーム。接戦となったグループが多いこともあってか、敗退国にも大いに活躍した選手が多くいる。ここでは、カタールW杯グループリーグで敗退してしまった代表チームの選手の中から、特に活躍した選手たちをベスト11形式で紹介していく。なお、より多くの国から紹介するため、各国選出選手は1名までとしている。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
ベルギー代表 GKGKティポー・クルトワ 写真:Getty Images

GKティポー・クルトワ(ベルギー)

2018年の前回ロシアW杯では3位のベルギー(グループF)。黄金世代がベテランとなり、新世代との融合もあって前回大会以上の躍進を期待されたが、まさかのグループリーグ敗退という結果となった。攻撃の軸であるFWロメル・ルカク(インテル)のコンディション不良など不幸もあったベルギー。そんな中でもなんとか勝ち点を挙げられたのは、守護神GKティポー・クルトワ(レアル・マドリード)の好セーブに依るところが大きい。初戦のカナダ戦(11月24日)ではPKストップ。敗れはしたが突破を争う3戦目のクロアチア戦(12月2日)でも好セーブを連発している。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
セルビア代表 DFストラヒニャ・パヴロビッチ 写真:Getty Images

DFストラヒニャ・パヴロビッチ(セルビア)

グループGにて3試合の総失点が「8」と、守備面の不安が露呈する形となったセルビア。しかし、2戦目に貴重な同点弾を決めたDFストラヒニャ・パヴロビッチ(レッドブル・ザルツブルク)の働きは、数字以上に大きなものだったと言える。初戦のブラジル戦(11月25日)を果敢に挑みながらも0-2で落としたセルビアだが、2戦目のカメルーン戦(11月28日)も先制される中、パヴロビッチの得点によって追いついたことで一時逆転に繋がるほどチームが好転した(結果は3-3)。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
カタール代表 DFアブドゥルカリーム・ハサン 写真:Getty Images

DFアブドゥルカリーム・ハサン(カタール)

開催国として期待を背負っての出場した、アジア王者のカタール(グループA)。初出場のW杯は3戦全敗と厳しい結果となった。いずれの試合も複数失点と守備面では難しい展開となったが、身体を張ったプレーで存在感を出したのがDFアブドゥルカリーム・ハサン(アル・サッド)だ。2戦目のセネガル戦(11月25日)では強烈なミドルシュートも見せ、攻守両面で能力の高さを示している。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
イラン代表 DFラーミーン・レザーイヤーン 写真:Getty Images

DFラーミーン・レザーイヤーン(イラン)

初戦のイングランド戦(11月21日)で6失点と大敗を喫したイラン(グループB)。この初戦こそ出番がなかったものの、以降攻守に渡り最も貢献したのがDFラーミーン・レザーイヤーン(アル・スィーリーヤ)ではないだろうか。フリーキックを任される場面もあり、負けが許されない2戦目のウェールズ戦(11月25日)には得点も挙げるなど正技術の高さを見せたが、残念ながらイラン初のW杯ベスト16入りは叶わなかった。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
ダビド・ラウム 写真:Getty Images

DFダビド・ラウム(ドイツ)

まさかのグループリーグ敗退となったドイツ(グループE)。前回ロシアW杯に続き2大会連続での屈辱を味わうこととなった。勝ち点「1」で迎えた負けが許されない第3戦のコスタリカ戦(12月2日)。先制点のお膳立てとなる優しいクロスを上げたのが、DFダビド・ラウム(RBライプツィヒ)だ。このアシスト以外でも、惜しみない上下動と攻撃参加で献身的に走り続け、日本戦(11月23日)ではPKを獲得するなど活躍。しかし、残念ながら守備陣として3試合で5失点と防ぎきれない印象を与える結果となった。

カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
チュニジア代表 MFアイサ・ライドゥニ 写真:Getty Images

MFアイサ・ライドゥニ(チュニジア)

前回王者フランスの他、デンマーク、オーストラリアといった屈強なフィジカルを誇るチームと同グループとなっていたチュニジア(グループD)。その中で3試合合計で失点わずか「1」と堅守を支えたのがMFアイサ・ライドゥニ(フェレンツヴァーロシュTC)だ。鋭いタックルなど気迫あふれるプレーで味方を鼓舞。またチュニジアの今大会唯一となるフランス戦(12月1日)の得点(1-0)も、ライドゥニのアシストから生まれている。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
ウルグアイ代表 MFフェデリコ・バルベルデ 写真:Getty Images

MFフェデリコ・バルベルデ(ウルグアイ)

強烈なシュートを放ったかと思えば、丁寧かつ正確な長短のパスでチャンスを演出しスタジアムを湧かせたウルグアイ(グループH)のMFフェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリード)。3試合すべてにフル出場しタフさも示して見せたが、残念ながら古豪をグループリーグ突破へ導くことはできなかった。ウルグアイはベテランとなったスター選手も多く、次大会では攻守において頼れる存在が居る保証はない。古豪復権の為には、バルベルデら次世代のさらなる成長が求められる。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
ガーナ代表 MFモハメド・クドゥス 写真:Getty Images

MFモハメド・クドゥス(ガーナ)

前への推進力と正確なキックの精度で、ガーナ(グループH)の攻撃を牽引したMFモハメド・クドゥス(アヤックス・アムステルダム)。ガーナのグループリーグ突破は叶わなかったが、韓国戦(11月28日)では2ゴールを記録するなど活躍を見せた(3-2)。年齢もまだ22歳と若く、間違いなく次世代の中心となる選手なだけに、今大会をバネにさらなる成長を遂げてくれることを期待したい。


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サウジアラビア代表 MFモハメド・カンノ 写真:Getty Images

MFモハメド・カンノ(サウジアラビア)

アルゼンチン、ポーランド、メキシコという難敵に囲まれたサウジアラビア(グループC)。ベスト16入りは叶わなかったが、戦前の予想を上回る善戦を見せてくれた。中でも192cmという長身を誇り、かつ圧倒的なスタミナを武器に攻守両面で活躍したのがMFモハメド・カンノ(アル・ヒラル)だ。機を見た裏抜けやリーチの長いタックルなど、特徴を大いに発揮。歴史的な勝利となったアルゼンチン戦(11月22日2-1)を含む全3試合に出場し、サウジアラビアの強さを見せつけることに貢献した。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
カナダ代表 MFアルフォンソ・デイビス 写真:Getty Images

MFアルフォンソ・デイビス(カナダ)

36年ぶりとなるW杯本大会へ挑んだカナダ(グループF)だったが、残念ながら3戦全敗という結果に終わった。しかし、その中でまだ22歳と若くして代表を引っ張るMFアルフォンソ・デイビス(バイエルン・ミュンヘン)の活躍は、今後の希望となったことだろう。デイビスは爆発的なスピードを武器に3戦全てでスタメン出場。過去1度の出場では果たせなかった、カナダとしてのW杯初得点(11月28日クロアチア戦)という1つの歴史も作って見せた。次回2026年のW杯はカナダを含む北米3ヵ国開催となる。この先4年間、年齢的にも一層チームの中心となるデイビスの成長に期待したい。


カタールW杯グループリーグ敗退国から選ぶベスト11
エクアドル代表 FWエネル・バレンシア 写真:Getty Images

FWエネル・バレンシア(エクアドル)

強豪ぞろいのW杯南米予選を勝ち抜き、2大会ぶりとなる本大会出場を果たしていたエクアドル(グループA)。その中でも高い得点力を見せつけたのがFWエネル・バレンシア(フェネルバフチェ)だ。大会開幕戦となったカタール戦(11月21日)では、いきなり2得点を挙げてチームの好発進に貢献(2-0)。続くオランダ戦(11月26日)でも得点し(1-1)今大会3得点を記録している。残念ながらベスト16入りとはならなかったが、エースの奮起によって強国オランダを苦しめた事実は揺るがない。