カタール・ワールドカップでベスト16敗退に終わった日本代表で、チームを率いた森保監督の進退に注目が集まっている。

 私は森保監督が続投するにしろ、そうでないにしろ、日本代表監督は日本人がいいのではないかと思っている。スムーズに選手とコミュニケーションを取れるから、そのほうが通訳も必要ないし、スタッフが減る。無駄な部分に予算を組む必要はないんじゃないかな。

 今後も森保監督がそのまま日本を率いるのでなないかと予想している。強いチームに勝ったと世間は満足しているようだし、協会も世論を見ながら監督の続投や交代を考えている部分はあるかもしれない。

 ただ、優勝を経験した国に勝ったと騒いでいるようでは、これまでと何も変わらない。スペインは2010年の南アフリカ大会以降、優勝をしてないし、ドイツは2大会連続のグループステージ敗退。今大会のこの2か国は、全盛期とは全く別のチーム。過去の実績だけで、相手が強いと決めつけるのもいかがなものかなと感じる。

 プロなんだから、重要なのはノルマを達成できたか、そうでないか。結果的にグループステージと決勝トーナメントを合わせて、2勝2敗の五分だよね。目標がベスト8なのであれば、何が足りなかったのかという反省会をもっとすべき。「よく頑張った」という盛り上がりで、反省の機会が消えてしまったのが残念だよ。
 
 目ざしていたのは強いチームに勝つことなのかな。そこを突き詰めていかなかったら成長もなにもないよ。

 日本には、にわかファンが多くて、選手の帰国時の空港での出迎えはファンがアイドルを迎えに行くような感じだった。前回、決勝トーナメント1回戦でベルギーに逆転負けを喫してベスト16敗退となったロシア大会とまったく同じことが起きている。「感動をありがとう」ってね。

 ベスト8以上を目ざしていたわけだから、結局、何も達成できていないのにね。ただ4年に1回、フィーバーが起こるだけでは、本当の意味で日本サッカーの成長には繋がらない。例えると、年に1回盛り上がって終わればすぐに関心がなくなる渋谷のハロウィンパーティーだね。

 僕は日本に50年住んでいるから、ずっと見てきたけど、同じことの繰り返し。みんなは気が付いていないけど、本当に何も変わっていないんだよ。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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