日本代表との一戦で貴重な同点弾を決めたクロアチア代表のFWイバン・ペリシッチは、森保ジャパンの想定外の姿に衝撃を受けたようだ。
試合後、「前半のクロアチアは、正直ほとんど機能していなかった」とこぼしたアタッカーは、こう打ち明けてくれた。
「僕は試合前から、日本には勝てると信じていた数少ない一人だった。僕には日本サッカーを、日本人を良く知っている友人がいてね。彼はこう教えてくれた。『日本は失点をすれば冷静さを失う』とね。だから早いうちに先制すれば、試合は簡単だと思っていた」
しかし、試合巧者のクロアチアが機能不全に陥る。経験豊富な33歳は「日本は思った以上に素晴らしく、試合前にチェックしていたビデオでは見せていなかったプレーをし始めた。両サイドをパスで素早くつなぎ、まるでスペインの“ティキタカ”のようだった。彼らのエネルギーと強さを感じたよ」と驚いた様子だった。
「でもクロアチアの選手はみな戦士だ。彼らの強さは僕たちの闘志に火をつけた。忘れられない好ゲームだったと思う」
試合終了後、ペリシッチは落胆する日本の選手たちに声を掛けに行った。森保ジャパンへのリスペクトを込めた、素晴らしいスポーツマンシップだった。
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
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