のらりくらりとペースを変える大人なサッカー

現代サッカーはスピード感が上がっており、その特長は今回の森保ジャパンにも表れていた。

それに対し、FIFAワールドカップ・カタール大会ベスト16で日本を撃破したクロアチア代表は真逆のチームと言ってもいいだろう。日本の伊東純也、浅野拓磨、前田大然らのようなスピードスターと呼べる選手が少なく、単純にクロスボールを放り込んでくるなどアバウトな攻撃も目についた。

それでも勝ったのはクロアチアだ。英『The Guardian』はクロアチアのスタイルをスローモーションのようと表現している。中盤のルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチ、マルセロ・ブロゾビッチを中心にのらりくらりとボールを回し、日本のプレスを回避。脅威を感じる機会は少なかったが、あれもクロアチア特有のペースの作り方なのだろう。スピーディーな攻撃サッカーを志向するチームが増える中、クロアチアのような大人なサッカーも武器の1つだ。

「日本は90分にわたってクロアチアを荒らしたが、彼らはスローモーションのようにゆっくりと生き返る相手と直面した」

同メディアはこう表現しているが、クロアチアは準優勝を果たした前回大会を含め延長戦の進め方も上手い。PK戦でも落ち着いており、日本とは経験値が違った。

ベスト8ではブラジルと激突することになり、戦力では明らかにブラジルが上だ。ブラジルの猛攻を受けることになるだろうが、クロアチアは自慢の中盤を軸にスローに我慢できるだろうか。モドリッチを軸とした大人なフットボールでブラジル相手にどこまでついていけるのか楽しみだ。