年々凄みを増していく

2002年の日韓大会以来の優勝を目指すブラジル代表はラウンド8まで駒を進めた。グループステージでカメルーンに敗れる波乱もあったが、ラウンド16では韓国相手に4-1の快勝を収めており、問題なく優勝候補の筆頭といえる。

そんなブラジルで注目されるのは豪華な攻撃陣だ。負傷でガブリエウ・ジェズスがチームから離れてしまったが、それでもリシャルリソンやネイマール、ヴィニシウス・ジュニオールとタレントが揃っている。リシャルリソンはここまで3ゴールと得点力の高さを見せつけている。

強く安定しているチームは攻撃陣もそうだが、守備陣にも実力者が揃う。ブラジルで見るべきは、マンチェスター・ユナイテッドのカゼミロである。

今夏の移籍市場でレアル・マドリードからユナイテッドに加わった守備的MFで、早くも新天地でポジションを掴んでいる。ブラジルでもその地位は圧倒的であり、ここまで3試合に出場して1ゴールを決めている。スイス戦のゴールは見事だった。

代表のチームメイトであるネイマールは自身のSNSにて「カゼミロは世界最高の守備的MFだ」と語っている。これには代表の指揮官であるチッチ監督もネイマールに同意するコメントを残している。

「リーダーシップ、テクニック、ディフェンス、彼のすべてが印象的だ。彼はこのポジションにいるすべての選手にとって参考になる存在だ」

米『ESPN』にて元ブラジル代表のジージョ氏がカゼミロを絶賛している。

カゼミロの強みは中盤でのボール奪取であり、彼が最終ラインの一つ前にいるだけで守備陣はどれだけ楽になっているのか。またカゼミロはドリブルやパスでボールを運ぶこともでき、守備力だけじゃないのも彼の特長である。

ブラジルはトップタレントが各ポジションの椅子を奪い合っており、有名なのはGKだ。リヴァプールのアリソン・ベッカーとマンチェスター・シティのエデルソン・モラレスがいる。どちらもワールドクラスであり、チッチ監督は起用法に悩んでいるはずだ。カゼミロがいる中盤でも同じ現象が起きており、リヴァプールのファビーニョが今大会1試合にしか出ることができていない。彼も素晴らしい守備的MFなのだが、カゼミロの存在が大きすぎる。

守備陣の怪我人状況が気になるブラジルだが、中盤から最終ラインをカバーするカゼミロがいれば百人力だ。守備力、配球力共に高く、今大会ではゴールも決めている。次の相手はクロアチアであり、再びカゼミロが中盤を支配することになるのだろうか。