アルゼンチンの36年ぶり3度目の優勝で幕を閉じたカタール・ワールドカップ。国民的英雄であるリオネル・メッシにとっては、5度目の挑戦でついに掴んだ悲願のビッグタイトルだ。

 試合は壮絶を極めた。メッシがPKを含む2ゴールを決めれば、フランスの若き大エース、キリアン・エムバペがハットトリックの離れ業を披露。3-3のままPK戦に突入し、アルゼンチンがこれを4-2で制して凱歌を上げた。

 そのPK戦で、アルゼンチン4人目にしてラストキッカーを務めたのがゴンサロ・モンティアルだ。見事に相手GKユーゴ・ロリスの逆を衝いて母国に歓喜をもたらすのだが、そのキック直前にメッシが呟いた言葉が話題を集めているという。スペインのラジオ局『Cadena SER』や英紙『Daily Mail』などが動画付きで報じている。

 国際映像に映し出されたのは、チームメイトたちと肩を組んでPK戦の行方を見守るメッシの姿。まさにモンティエルがPKを蹴る直前、メッシは空を見上げて、なにか言葉を呟いている。口の動きからしてそれが「ディエゴ、天国から来てよ」だったというのだ。

 著名なアルゼンチン人ジャーナリストのオーガスティン・マリオ・ヒメネス氏は自身の公式ツイッター上で、「メッシは空に向かって『ディエゴ、天国から来てよ』と言った。ワールドカップ優勝という結末に至るこの説明のつかない映画(決勝戦)。その最後に、神秘性と熱情をもたらしたのだ」と綴っている。
 
 ディエゴとはもちろん、1980~90年代にかけて活躍したディエゴ・マラドーナ氏だ。1986年メキシコ・ワールドカップで母国アルゼンチンを2度目の優勝に導き、20世紀最高のフットボーラーとも評されるスーパーレジェンド。アルゼンチン国内で常にメッシはマラドーナと比較され、その呪縛に苦しんだ時期もあっただろうが、実際の両雄は、2010年南アフリカ・ワールドカップで監督と選手として共闘するなど厚い信頼関係で結ばれていた。

 アルゼンチンにとってもメッシにとっても悲願が成就する瞬間、2年前に他界した“神”に救いを求めたメッシ。なんとも感動的なサイドストーリーだ。モンティアルのショットが決まるや、メッシはその場にひざまずいて仲間と抱き合い、歓喜を爆発させた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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