1年半で評価は急上昇
19日に行われたFIFAワールドカップ・カタール大会決勝、アルゼンチンVSフランスの一戦ではフランス代表監督ディディエ・デシャンの大胆采配に注目が集まった。
0-2とリードを許していたとはいえ、デシャンは前半途中にFWオリヴィエ・ジルーとウスマン・デンベレをベンチへ下げる驚きの動きに出た。
代わりにピッチへ入ったのはFWマルクス・テュラムとランダル・コロ・ムアニだ。代表経験の浅い2人に託すのは勇気のいる決断で、この交代策には今も賛否両論ある。
だが、その後追いついたことを考えれば悪い決断ではないだろう。テュラムとコロ・ムアニは自慢のサイズと身体能力の高さを活かし、十分にデシャンの期待に応えていたと言える。2人の投入でフランスの攻撃に勢いが出たのは確かだ。
中でも英『FourFourTwo』は「コロ・ムアニとは何者だ?」とフランクフルトでブレイクする24歳のアタッカーに驚いている。
昨夏にフランスのナントからフリーでフランクフルトにやってきた大型ストライカーは、この1年半で大きく評価を伸ばすことになった。馬力のあるプレイスタイルはなかなかに厄介で、強引にマイボールとするパワーがある。加えて足下も柔らかく、ボールを持てば相手DF1枚はドリブルで剥がせるだけの力を備える。
データサイト『Opta』によれば、コロ・ムアニは決勝のアルゼンチン戦で実に13回のデュエル勝利数を記録している。これは両チーム合わせて最多の数字だ。
今大会で一気に有名な存在となったコロ・ムアニは、このままフランス代表に定着するかもしれない。そう予感させるだけのインパクトを残すことになり、デシャンの目利きも間違いではなかったということだろう。36歳のジルー、すでに代表引退を表明したカリム・ベンゼマのことを考えると、タイミング的にもセンターフォワードは世代交代のタイミングだ。コロ・ムアニにもチャンスは回ってくるはずで、フィジカルで強引にアルゼンチンを押し込んだ力強いパフォーマンスは新生レ・ブルーにもふさわしいものだろう。