「イングランド代表は22年のカタールワールドカップで優勝する」

2013年にFA(イングランド協会)のグレッグ・ダイク会長が声高らかに目標を掲げてから、代表チームに明確な青写真を描き、改革を進めてきた。

【映像】W杯屈指の好カードは死闘に!イングランドvsフランス

その際にU21の監督として、FAが契約したのが現役時代に代表キャプテンとしても活躍したガレス・サウスゲイト監督だ。3年後にはA代表の監督に昇格するとプレミアリーグのビッグクラブが得意とする3バックの導入や卓越したリーダーシップを発揮し良好な結果をもたらした。

18年のロシアワールドカップで4位、21年のEUROで準優勝を達成。EURO 決勝のPK負けから、PK練習やデータ、メンタル面など細部まで研究し、チームを強化させていった。

そんなサウスゲイト監督の就任7年目を迎え、56年振りに2度目のワールドカップ制覇へ順調に近づいていた。

しかし、満を持して挑んだカタールワールドカップでは、前回王者のフランス代表と互角の試合を演じながらも惜しくも敗れてベスト8で姿を消すことに。

敗退後には、サウスゲイト監督への批判が世論を賑わす展開となった。様々な憶測が流れたが、FAは続投を発表しEURO2024まで指揮する。ここまでのサウスゲイトはA代表の監督として81試合を指揮し、49勝18分け14敗の戦績を残している。

そんなイングランド代表の躍進の背景には、若手の台頭が大きく貢献しているのは間違いない。数年前は、外国人枠がない世界最高峰のプレミアリーグを、チームによっては、他国の選手で11人が構成されることもあり、「それだと自国の若手が育たない」と危惧された。

しかし、そんな競争社会で勝ち抜いてきた20代の選手がカタールワールドカップでの代表チームの底上げにつながっている。例えば、23歳のデクラン・ライスとメイソン・マウント、21歳のブヨカ・サカなどが挙がる。

今大会のメンバーが順調にキャリアを積んでいければ、26年のイングランド代表は、歴代最強メンバーとの呼び声が高いメンバー構成が予想される。

GK ラムズデール 28歳
DF ジェームズ 26歳
DF チャロバー 27歳
DF トモリ 28歳
DF ホワイト 29歳
DF ショー 31歳
DF アーノルド 28歳
MF ライス 27歳
MF ベリンガム 23歳
MF マウント 27歳
MF べリンガム 23歳
FW フォーデン 26歳
FW サカ 25歳
FW ケイン 33歳

ルーニーが持つ代表歴代最多得点を更新したFWのケインは、29歳なので次回のワールドカップもチャンスがあるかもしれない。今大会でのフランス戦のPK失敗は拭えぬ記憶となっているだろう。「あれを決めていたら」と勝利を掴んでいてもおかしくない展開だった。

イングランド史上最高のストライカーに、「このまま無冠で終わってほしくない」という国民の声が多い。

そんなケインの後を担う、次世代の期待の19歳のジュード・べリンガムの爆発に期待したい。カタールワールドカップでも全ての試合に先発出場しチームを牽引した。状況判断が的確で冷静沈着なプレーが売りの驚異のティーンエイジャー。攻撃と守備をどちらも高いレベルでこなし、細かいドリブルで圧倒的なボールキープ力からサイドチェンジやスルーパスなど多彩なパスを繰り出す。

中盤の要であるフィル・フォーデンが「いづれ、世界最高のMFになると思う」と言わしめた選手だ。

そのキャリアも異色の存在でもある。今回のイングランド代表は26人中、25人が自国のプレミアリーグでプレーするメンバー構成だが、べリンガムのみドイツ・ブンデスリーガでプレーをしている。しかし、カタールワールドカップでの活躍により、リヴァプールやマンチェスター・シティ、ラ・リーガではレアル・マドリードが獲得に動いてるとの噂が報道。

4年後のワールドカップで最強のイングランド代表が60年ぶり2度目のワールドカップ優勝を勝ち取れるのか。実現したらサッカーの聖地の国としては、歴史的な瞬間であり世界中のサッカーファンの中で永遠に語り継がれる大会になるかもしれない。

(ABEMA/FIFAワールドカップ カタール 2022)