「攻略するのは簡単」経験者が語る少年院の“闇” 改正少年法で“実名報道”は犯罪抑止につながるのか
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多彩な番組を好きな時に何度でも楽しめます。

 今月1日、東京都立川市のホテルで31歳女性が19歳の少年に胸などおよそ70カ所を刺されて死亡した。同じ店で働く男性従業員(25)も刺され、意識不明の重体となった。警視庁は東京都あきる野市に住む19歳の少年を男性に対する殺人未遂の疑いで逮捕。女性殺害についても関与をほのめかしている。取り調べ対して少年は「人を殺す動画で刺激を受けた」などと供述している。

【映像】経験者が語る少年院の“闇”

 このような事件で問題になるのが、少年法を巡る問題だ。先月には改正少年法が成立したが、これにより早ければ来年4月1日から18歳、19歳を「特定少年」として定め成人と同様の刑事手続きを取られる犯罪の範囲がさらに拡大される。現行の少年法では、殺人や傷害致死などがその対象となるが、改正により特定少年による強盗や強制性交、放火などの罪も原則としてその対象となり、特定少年は実刑判決を受けると少年院ではなく刑務所で刑罰を受けることになる。さらに、起訴された段階でたびたび議論になる実名報道も可能となる。なお、成人年齢を18歳に引き下げる改正民法も来年4月1日より施行される。

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 一方、従来の少年犯罪では少年院での“更生や教育”が前提となっていたが、懲役という懲罰の施設である刑務所においては、本来の少年法が目指す目的が達成されないのではないかという議論も起きている。

 きらり法律事務所の中川みち子弁護士は「少年の場合は自分のことを聞いてもらいたいという子が非常に多く、(弁護士が)2時間~3時間ほど話をしたり、雑談みたいなことをする。話を聞いてくれた大人がいるということが何かのプラスになると期待している」と話すと、改正少年法が施行された後の変化について「検察官送致されてしまったら、そういう関りがなかなか難しくなってしまう」と問題点を指摘する。

 また、元埼玉県警捜査一課刑事・佐々木成三氏は「統計上、少年犯罪は減少傾向で凶悪犯罪も増えているわけでないが、“質”がおかしくなっているのが問題だ」と述べ、昨今の少年犯罪の質の変化について言及。「凶悪犯罪の質がぶれているような事件が増えてしまったというのが報道で明らかになっている。実際、僕も動機のない殺人、動機が歪んだ殺人を捜査したときに、周りの関係者に聞き込みをすると『こういうことをする少年ではなかった』という話になる。そうなると刑事は、この子の本性・本質を知る機会が周りの大人が無かったんだと感じる。事件を捜査すると、必ず前兆事案があって、この前兆事案は小さな異変の場合もある。それを我々大人や周りがどれくらい気づいてキャッチアップしていく、地域コミュニティというのも必要だ」との認識を示した。

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 “質”が変わりつつある罪を犯した少年を、少年院で更生させることはできるのだろうか。6日にABEMAで放送された『ABEMA的ニュースショー』は少年院と刑務所の両方を経験した人物を取材した。

 過去に少年院と刑務所の両方を経験し、現在は運送会社の役員を務めている男性Tさん(37)。Tさんは15歳の頃に喧嘩をした相手を死なせた傷害致死の罪で少年院に入り、その後も少年刑務所に2年6カ月、刑務所に7年収容された。そんなTさんが少年院で感じた“更生システム”の問題点について次のように明かしてくれた。

「(少年院は)自由な勉強ができない。与えられる本というのが限られた本で、結局、少年院が求めているのは“作文でどれだけいいことを書くか”、“本当に自分が罪と向き合っているように見せかければいい”ということ。少年院を攻略するのは非常に簡単なんです。今だから言いますけども。(当時は)とにかく1日でも早く元の生活に戻りたい。(退院したら)悪い仲間たちと楽しく暮らせることを考えていた。少年院に何を求めますかと言われたら、学ばせてもらいたかった」

 また「攻略するのは簡単」という点については「少年院は評価によって累進していく。一番上の級になれば、早く出ていける。つまり、先生から良い評価をもらえれば早く出られるということで、極力先生に好かれるような、他人の不正を密告したりということが横行していた」と補足し、“更生や教育”といった少年院本来の役割とは異なる内部の実態に言及。久里浜特別少年院時代の同僚が別の地元の4人と強盗を起こす事件があったことも明かすと「犯罪のコミュニティにもなりやすい」と危険性も指摘した。

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 少年院や刑務所に入ったTさんにとって、更生のキッカケとなったのは社会との関わりや生活環境の変化だったという。そのことについて佐々木刑事は「少年犯罪に関する、意識改善・意識改革というのも犯罪抑制にはつながると思う。実際に少年院に入ったリアルな声だったり、そこに何が足りなかったのかなど少年犯罪に対する意識を我々が改善していくというのが大切だ」と話した。

 加害者が守られ、被害者が守られない少年の実名報道を巡って意見を述べたのは元週刊SPA!副編集長の田辺健二氏だ。田辺氏は「成人年齢が18歳に引き下げられて、18歳から大人ということになる。つまり大人なんだから自分で責任を取りなさいということになる。それで実名報道されないということになれば、おかしいのではとなる。ただ、ネット社会なので実名報道されなくても拡散される可能性は高い。若い子こそ、自分のミスや犯罪が実名で顔出しでネットにばら撒かれたときに、やがてデジタルタトゥーのように残ってしまう。実名報道されるのだから、気を付けてくださいという緊張感を与えられるという意味では(改正少年法の)効果はある」と語った。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)

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