“推し”とファンで作るバラエティ『限界オタクション』

──これまで“推し”の立場でファンと向き合ってきた譜久村さんからみて、ファンと“推し”で作る『限界オタクション』という番組の面白さはどこにあると思いますか?

譜久村聖氏(以下、譜久村):愛がどんどん連鎖していく部分です。“推し活”をテーマに、ゲストの方とファンのみなさんの絆を確かめることができたり、自分の推しを自慢したくなったりするような番組なので、その場にいる全員が愛に包まれて幸せな気持ちになれます。画面を通しても、そういう幸せな空気感は伝わっているのではないでしょうか。

──『限界オタクション』は“推しへの熱量”にフォーカスを当てることにチャレンジした番組だそうですが、どういう狙いがあったのでしょうか?

塚本愛氏(以下、塚本):企業の広告案件を取り扱う企画担当者としてさまざまな番組やCM施策に携わってきましたが、施策の1つとしてブランドや企業、企業製品への“愛”を持ったファンが実はかなりいて、その思いを共有できる場を作り、その熱量を連鎖させていくという方法は非常に有効だと思っていました。そこで今回の番組のキーテーマにしたのが“ファンダムマーケティング”というものです。

──近年“推し活”や“ファンダム”は大変注目を集めていますよね。どんな背景があるのでしょうか。

塚本:元来ファンダムマーケティングは、タレントやアニメ、スポーツなど主にエンターテインメントとコラボレーションし、ファンダムから共感を得ながらブランドや企業の好意度を上げたり、購入意向を高めるマーケティング手法です。ファンたちの「好き」の熱量をポジティブに活用して、企業のプロモーション施策を戦略的に展開していくことを直近は“ファンダムマーケティング”としています。

コロナ禍で“推し”とファンのあり方を中心にエンターテインメントの形が大きく変わったと感じています。ライブやイベントが開催されず物理的な距離感が広がり、代わりに“推し”とファンがSNSを使ってオンライン上でコミュニケーションをとるようになりました。それが活発化して、ファン同士がつながり、集団形成に発展して作った王国(キングダム)のようなもの、それが“ファンダム”です。ファンダムは、その集団独自の文化や価値観が形成されているのが特徴で、現在はエンタメコンテンツ以外にも、ブランドや企業製品に至るまで多岐にわたり存在しています。

また、同じ「好き」を持つ人たちの集まりには高い熱量や大きな機動力があります。ファンダムを動かすことができれば、多くの人やお金も一緒に動くので、マーケティングの観点からもプラスに働くものになります。それが、昨今ファンダムマーケティングが注目を浴びている理由でもあると思っています。

──“ファンダムマーケティング”を活用した番組を作ることで企業側にどんな効果が期待できますか?

塚本:『限界オタクション』には、番組テーマに合わせた熱心なファンとして「限界オタク」が登場するのですが、彼らが“愛”や”熱量”を語ることによって視聴者はその対象となるブランドや製品について様々な気づきや発見を得ることができます。企業製品の魅力を視聴者と同じ側にいる第三者が熱量高くアピールすることにより、より共感を持って受け入れられ「好き」が伝播し興味関心や購買意向の向上が期待できます。

番組開始当初はおもにアイドルグループを対象にしていましたが、ファンはもちろんそのグループを知らなかった視聴者の方々からも「好きになった」「ファンになりそう」など多くの好反応をいただきました。第4回以降は企業製品も“推し”の対象として登場しており、第5回はKPOP だけではなくコスメや観光地をメインとした“韓国好き集合SP”回、4月2日に放送予定の第6回は『モンスターハンター』がテーマとなり、モンハンの熱狂的なタレントやファンが登場する予定なので、どんな熱量の連鎖が生まれるのか、それも非常に楽しみにしています。

「好き」の共有や伝播がファンダムを動かす

──逆に、推される立場である譜久村さんにとって、ファンとはどのような存在なのでしょうか

譜久村:頑張るための活力です。モーニング娘。を卒業後に1年ほどお休みをいただいたのですが、復帰するかしないかを実はとても迷っていました。それでも自分の性格や生き様を好きでいてくれて、応援してくれて、イベントの開催を喜んでくれる、自分のことを応援してくれる方がいてくれたから、私も活動を再開しようと思えました。

──そんな譜久村さんにも推しがいると伺いました。

譜久村:モフサンドという猫のキャラクターが好きで、コンビニエンスストアなどでコラボ商品が販売された時は、少しでも応援に繋がればいいなと思ってたくさん買いますし、SNSでも紹介しています。私のファンの方もモフサンドのグッズを買ってくれているみたいで、一緒に推し活を楽しんでいます。

塚本:モフサンドの例はPR施策ではなく自然発生ですが、譜久村さんの愛や熱量にファンが反応することで購買につながったといえますね。譜久村さんのファンは“推し”である譜久村さんの好きなものを知りたいし、同じものを持つことで話題を共有したいので、こういった発信が購買に与える影響力はとても大きいと思います。

ファンダムマーケティングは、従来のファンマーケティングと違い、ファンひとりひとりの発信がある種の広告塔になり得るという特徴があります。良質な口コミや反応を増やすためには、ファンをいかに気持ちよく巻き込むか、企業=推し=ファンそれぞれの視点で立った時にいかに全方面でwin-winな関係性を作る施策ができるかがポイントなのですが、それには、ファンダムの対象となる“推し”側の熱量をいかに引き出すかが重要です。

──まさにファンダムマーケティングを動かしている状態ですね。“推し”でもあり“一ファン”でもある譜久村さんは、ファンダムマーケティングを企業にどのような形で活用してほしいですか

譜久村:オタクはコラボが大好きだと思います。私自身コラボに目がなくて、“推し”のコラボ商品が出ると大量に商品を買っちゃいます。お菓子などは自分1人で食べ切れない量を買ってしまうので家族にお裾分けするんですけど、そういうときは必ず“推し”の話になりますよね。また、私が以前アパレルブランドとコラボした時に、その服を買ってくれたファンの方がブランドに興味を持つようになってブランド自体を大好きになってくれたこともありました。コラボをすることで「好き」を誰かと共有する場が増えるんです。

塚本:「好き」の共有や伝播がファンダムの強みですよね。ABEMAでも、タレントさんが「好き」と言っている商品やジャンルについては事前にキャッチアップしていて、近しい企業さんとご一緒するタイミングがあった時にキャスティングして施策展開するということを戦略的にやっています。

──企業がコラボをする際に気を付ける点などはありますか

塚本:コラボする際には、ファンダムはあくまで“推し”のファンであることを大前提に、企業側がファンダムの中にある独自の文化や価値観、共通言語などを汲み取って自然に受け入れられるように留意する必要があります。また、ファンダムマーケティングは継続が大切です。ファンダム効果を優先しすぎて、同じようなプロモーションを異なるファンダムで実施するのは少し危険かもしれません。中長期的に企業と“推し”とのストーリーを作ることで、ファンをロイヤルカスタマーとして育むことができるのではないかと考えています。

これからのファンダムとファンダムマーケティング

──『限界オタクション』として、ファンダムマーケティングを今後どう活用していきたいですか

塚本:市場としては、エンタメコンテンツだけでなく企業製品そのものが“推し”の対象になるなど様々なファンダムが台頭してきているが故に、今後は企業の成功事例も多様化しながらバラエティ豊かな施策が展開されていくものと思われます。ファンダムを入り口に企業・ブランドのファンを作り育てていくというストーリーがどう繰り広げられていくか楽しみですね。

幸い『限界オタクション』は、ファンダムマーケティングという時流に乗った“推し”とファンの熱量が交差する番組として、ファンからたくさんの「ありがとう」をもらえる企画となっています。

車、食品・飲料、化粧品、電化製品などいろんなジャンルに特定の企業やブランドを偏愛するファンがついているので、各ブランドについている「限界オタクさん」をタレント側も一般ゲスト側も出演して、それぞれの視点でそのブランドの魅力を深掘って行くことができる番組かなと思ってます。

ファンダムは広く大きいものもあれば、狭く深いものもあります。『限界オタクション』にも、ニッチなジャンルのゲストやコアなファンの方に来ていただいて、新しい世界をご紹介したりファンの熱量でどういう化学反応が起きるかお見せしたいですね。

譜久村:この番組がスタートして、私もオタク心を持っていることを再認識しました。番組を通して様々なファンダムに触れることで、毎回のように興味が湧き、収録後にインターネットで検索するなどしています。いろいろなことに興味や関心を持ち、好きなものが増えることはすごく楽しいですよね。誰しもがそういう感性を持っていると思うので、番組を見てくださってる方も『限界オタクション』で大小様々なファンダムに触れて“好き”を増やすことで、人生をより楽しんでいただけたら嬉しいです。

限界オタクション https://abema.tv/video/title/221-293
“推し”とファンの愛と感謝が交差する新感覚のバラエティ番組「限界オタクション」!
今をときめく人気アーティストが毎話登場し、その“推し”への愛が溢れて仕方ない“限界オタク”が彼らの魅力や愛を語り尽くす。

◆譜久村聖氏
2008年、ハロープロジェクトの研修生で構成される「ハロプロエッグ」に所属。
2011年1月のコンサートツアー「Hello!Project2011WINTER」にてプロデューサーのつんく♂から9期メンバーとしてモーニング娘。への加入がサプライズ発表される。
2014年11月、史上最年少で9代目リーダー就任。
2023年11月のコンサートツアーをもってハロー!プロジェクト及びモーニング娘。を卒業
2024年11月より、ソロアーティストとして活動をスタート
2025年4月23日「ロングラブレター/アニバーサリーはいらない」の両A面シングルにてソロデビューが決定

◆塚本愛氏
株式会社AbemaTV2017年4月、サイバーエージェントに新卒入社。Amebaブログ営業職、新サービス立ち上げをプロデューサーとして経験した後、2019年3月からAbemaTVでビジネスプロデューサーとして1社提供番組やCMの企画制作やキャスティングを担当。過去にも「SPRAY! #日本を塗り替えろ」「恋するメソッド」など出演者の持つ影響力を鑑みファンを巻き込む番組企画などを多数担当。

「ABEMA」はテレビのイノベーションを目指し"新しい未来のテレビ"として展開する動画配信事業。

ニュースや恋愛番組、アニメ、スポーツなど多彩なジャンルの約25チャンネルを24時間365日放送。CM配信から企画まで、プロモーションの目的に応じて多様な広告メニューを展開しています。

お気軽にお問合せください。


>> ABEMA広告へのお問い合わせ
>> ABEMAの媒体資料のダウンロードページ