■来場者6万人、視聴数61万「ABEMAアニメ祭」が盛況 開催の意義とは

―今年は2回目にして6万人を超える来場者数を記録したABEMAアニメ祭ですが、どんなイベントですか。開催のきっかけからお願いします。

大友氏 最初のきっかけは、ABEMAの広告・課金以外の収益源を作ろうと立ち上がった興行本部で取り組み始めたところからになります。アニメに強いABEMAで、アニメのイベントを作ろうというのは、興行本部ができた初期からアニメ局と構想として練っていました。

 内容としては、ABEMAがメディアとしていろいろなコンテンツホルダー様とお付き合いがあり、多くの作品を放送させていただいているので、既存のアニメイベントにはないような切り口で、より多くの方がアニメに触れるきっかけをリアルの場で作りたいと思っていました。

 アニメ関連イベントは国内でもかなりあると思います。ジャンルとしてはアニソンのライブを中心にしたものや、プロモーションイベントに近いような新しい作品の展示などビジネス向けのものが多い感覚があったので、国内のイベントにない切り口を意識しました。初期からこだわった点としては、ABEMAには”無料で視聴いただける”という利点があるので、イベントも一部有料コンテンツもありましたが、基本的には無料で多くの方に視聴いただく、体験して楽しんでいただくことを重視して、「無料」というキーワードを当初から持っていました。

―記念すべき第1回は新宿・東急歌舞伎町タワー周辺で開催されました。会場来場者とABEMAでの視聴を合わせた総来場者数が約54万人と盛況だったと思います。当時の反響や苦労など、どんな印象をお持ちですか。

大友氏 昨年は初回ということもあって、手探りのところもあり非常に大変でした。ただ手応えもすごくありましたね。特に数字にも表れているように、無料での視聴は想定以上でした。東急歌舞伎町タワーについては、東急株式会社様、株式会社東急レクリエーション様と大きな連携もさせていただきました。新宿に来られるお客様が自由に出入りできるスペースを用意したこともあり、ABEMAアニメ祭が目的ではなく訪れた方にも、グッズ販売やフォトスポット、協賛企業のブースなどに触れる機会をご提供できたと思います。また開催期間が10日間に及ぶような規模感のアニメイベントは、他にはあまりないのではないでしょうか。

―初回の成功を踏まえ、今年は開催地を渋谷に移しました。新たにどんな狙いを持っていましたか。

大友氏 今年は、昨年以上に「無料」に振り切りました。チケットなどの収入に頼るのではなく、協賛モデルにしたことで、より無料に振り切ることができたと思っています。初年度は、有料のステージコンテンツが比較的多かったのですが、今回は一部有料のイベントはあったものの、その他は全て無料にしました。MIYASHITA PARK屋上の芝生広場特設ステージで実施したメインコンテンツや、SHIBUYA109渋谷店でのキャラグリーティングなども無料で実施してます。方針として、とにかくABEMAというメディアとして多くの人に見ていただき、来ていただき、そのリーチを最大化させることを徹底しました。

 マネタイズポイントとしては、ありがたいことにアニメとコラボした露出をしたいというクライアント様からの引き合いも多かったので、チケット収入より広告収入を大きくするという舵取りをしました。ABEMAというメディアだからこそ、様々な広告主様との取り引きや取り組みがある中で、この作品と広告主、このイベントと広告主をつなげて、より協賛企業様にもメリットがある形が、今年はすごく増やすことができたと感じております。来年以降もより拡大して、作品、出演者、広告主の皆様とABEMAの四方良しで多くのファンの方に楽しんでもらえるイベントにできればいいなと思います。来場者の反応としては、ありがたいことに全てのステージで定員を上回る観覧応募があったので、それが反響の証しと思っています。

森本氏 この作品数で、これだけ豪華な声優さんにたくさん出演いただき、さらにオフラインオンライン双方で無料で見られるというのはなかなかないイベントだと思うので、SNSでの反響もすごくポジティブなものが多かったです。

―来場者、視聴者からは好反応ということでしたが、ABEMAのアニメチャンネルとして得られた効果、作品の関係者からの反応などはいかがでしたか。

森本氏 今年はABEMAの中に「ABEMAアニメ祭」チャンネルを期間限定で立ち上げ、屋外ステージの模様を無料で生中継したり、イベント参加作品を無料で一挙放送するなど、オフラインとオンラインの連動をさらに強化しました。オフラインの会場に来られなかった方にも、オンラインを通じてイベントの認知を広めることができたと思います。

 さらに、今回は渋谷の街全体を巻き込んで大規模なオフライン展開となりました。これまでもABEMAアニメで配信している作品のプロモーションを、渋谷でスポット的に行うことはありましたが、今回は多くの作品が集まったことで規模も展開の幅も広がりました。これにより同じ渋谷でも、普段よりたくさんの方に作品を届けられたと思います。

 イベント時期が9月末だったこともあり、10月クールの新作アニメの事前プロモーションとして、ABEMA内での宣伝に加え、外部でも効果的な宣伝施策を実現できました。このような取り組みにより、「ABEMAだからこそ」という宣伝の強みを感じていただき、アニメ作品関係者様からもポジティブな反応をいただくことができました。

■渋谷の街をジャックしたABEMAアニメ祭 数々の斬新企画

―それではより具体的な施策などについて伺います。前回、今回ともに東急グループ様との連携が、イベント開催の大きなポイントとなりました。連携した経緯や、それにより得られた効果など、ご紹介願います。

大友氏 昨年は東急株式会社様、株式会社東急レクリエーション様にご協力いただき、新宿・東急歌舞伎町タワーと、そのエリア一帯で大きく取り込ませていただきました。これは東急グループ様との取り組みがなければ、実現できなかったものです。各所、10日間にも及ぶ大規模なイベントの実施には、ハードな調整が必要だったと思います。ステージコンテンツを行ったZepp Shinjuku(TOKYO)や歌舞伎町シネシティ広場、東急歌舞伎町タワーの館内展示やPOPなども、ご協力があってこそ実現できたものでした。

 東急グループ様としても、東急歌舞伎町タワーとアニメというIPコンテンツとのコラボはすごく望まれていたところもあり、我々がイベントを実施したかった時期と、東急グループ様の商業施設でアニメコンテンツと何かをするという、ニーズがすごく合致して前に進みました。

―新宿開催での成功を踏まえ、今年は渋谷にエリアが移りました。

大友氏 サイバーエージェントのオフィスのある渋谷でも実施したいという思いもあったので、念願が叶ったようなところもありました。今年は初めて、人気作品のキャラクターの着ぐるみを登場させるキャラクターグリーティングを、SHIBUYA109渋谷店の店頭イベントスペースで実施しました。ここはお客さんの列が絶えなくて、ABEMAアニメ祭としての認知獲得、ブランディング効果にもつながったと思います。cocoti SHIBUYAでも展示を行うなど、渋谷の各所を巻き込んでイベントを盛り上げました。

森本氏 SHIBUYA109渋谷店でのキャラクターグリーティングでは、名だたる作品のキャラクターに参加いただいたこともあり、特に通りがかった海外の方々にもたくさん興味を持っていただけたことが印象的でした。海外の方々はアニメ作品に詳しく、声をかけてくださることも多かったです。また家族連れの方も多くて、キャラクターと触れ合い楽しんでいただく機会をご提供できたと思います。

―次に三井不動産株式会社様の協力のもと、渋谷を代表するMIYASHITA PARKでも大々的な展開がありました。

大友氏 他のイベントとは一線を画すような、街が一体となって盛り上げるイベントを目指した時に、その軸としてMIYASHITA PARKを保有している三井不動産株式会社様にご相談させていただきました。特にポイントとしたのは屋上のステージです。現地観覧を全て無料とし、ABEMAの生中継でも無料で見られるようにしました。また、作品のフォトスポットを9カ所設置したのも、楽しんでいただけたかと思います。

 新しい取り組みとしては、オリジナルで録り下ろした声優さんの館内ボイスです。作品の委員会の方々にも、すごく喜んでいただけたポイントでした。MIYASHITA PARKという商業施設に、ABEMAアニメ祭以外の目的で来た方にも、イベントの告知や作品の宣伝につながるものになったので、挑戦してよかったと感じています。他にも渋谷横丁をジャックする企画など、施設全体でのプロモーションを行いました。

 MIYASHITA PARKにおいて、ここまで館内外をジャックして、ステージイベントやフォトスポットを展開していった施策は、ABEMAアニメ祭ならではのスケール感でした。ありとあらゆる場所を、ABEMAアニメ祭と紐づくコンテンツと連動させた展開は、これまでにはない広がりだったと感じています。

■地域密着で自治体とも連携 通りすがりの人々にも幅広く、深くリーチ

―渋谷の街全体で巻き込み、そして盛り上げたABEMAアニメ祭ですが、渋谷区という自治体との連携もあったそうですね。

森本氏 渋谷の街全体を巻き込んで盛り上げるイベントにしたかったのと、我々のオフィスが渋谷に拠点を置いている企業でもあるので、ABEMAアニメ祭の渋谷での開催を決めた時から「渋谷区とともに何かやりたい」という話はありました。そういう思いで渋谷区の観光協会様にご相談し、「渋谷グッドマナープロジェクト」という、渋谷の街をより安全で楽しめる街にしたいというコンセプトで活動されているプロジェクトと、ABEMAアニメ祭の参画が決まっていた、アニメ『僕のヒーローアカデミア』の世界観が、親和性が高くマッチするのではないかという話になり、渋谷の街を一緒に清掃する「集まれ!グッドマナーヒーローズ」というコラボ企画が実現しました。

 事前に参加募集をかけて来ていただいた100名の方々に、”ヒーロー活動”として街の清掃活動に参加していただきました。当日はアニメで主人公・緑谷出久役を務める声優の山下大輝さん、応援キャラクターのデクくんにもお越しいただき、オープニングイベントで参加者を盛り上げていただきました。参加への応募数もかなり多く、反響がありましたし、行政との協業で地域の取り組みに貢献できたという意味でとても意義のあるプロジェクトだったと思います。

―ABEMAアニメ祭のメインコンテンツは、やはり各種ステージであったかと思います。オフライン、オンラインそれぞれで行ったこと、反響などをお願いします。

森本氏 声優の方々が、出演中のアニメについてトークするだけではなく、放送中だった夏アニメの最終話に向けた盛り上げ、翌クールの新作秋アニメの告知、さらには2026年に放送予定の作品の出演声優の解禁など、盛りだくさんのコンテンツをお届けできました。またcocoti SHIBUYA内のヒューマントラストシネマ渋谷では、新作秋アニメの1話先行上映会なども行い、作品ごとに多角的な展開が実施できたと思います。

森本氏 オンラインでも盛り上がっていて、リアルタイムでABEMAのコメント欄に感想を投稿してくださる方も多かったです。

―この他、実際にはイベントに参加されなかった方々にも、期間中に渋谷を訪れるとかなり多くの方々が、多様な告知を目にされたと聞きました。

森本氏 メイン会場がMIYASHITA PARKの屋上ということもあり、街を歩いている人の目に届きやすくする施策を検討しました。当日でも楽しんでいただける無料コンテンツを増やしたこともあり、ふらっと足を運んでくださる人を増やしたかったので、とにかく渋谷の様々な場所での接点を増やしてイベントの認知をあげる工夫を行いました。渋谷のいろいろな主要広告面をジャックしてイベントの番宣動画を流したり、SHIBUYA109渋谷店でのキャラクターグリーティングもそうですし、いろいろな施設にチラシを置かせていただいたり、複数の施設をまたいでのスタンプラリー企画などを実施しました。作品の関係者の方々からも、露出面が多くてすごいですねという反響をいただき、想定以上のインプレッションを獲得することができたと思います

大友氏 「ABEMAアニメ祭」という名前にちなみ、造作物やクリエイティブもお祭りらしいデザインにしました。屋内よりも屋外の開放感があるステージだと、会場に入った時の高揚感がありますね。ABEMAアニメ祭にも同じような感覚があったと思います。

■大成功の2年間 今後の展望は

―では最後に、この2年で成功を納めた「ABEMAアニメ祭」の今後、さらにABEMAのアニメチャンネルとしての展望などをお聞かせください。

森本氏 ABEMAで配信している新作アニメの宣伝の場、また、ABEMAのオリジナル番組を日々見てくださっているファンの方々との接点は、オンラインやオフラインを問わず、今後も作り続けたいと思っています。渋谷を拠点にして、「ABEMAアニメ祭」も少しずつ規模も拡大させながら継続させたいですね。

 ABEMAという配信プラットフォームとしては、オンライン上だけではなくオフラインでいろいろな作品と出会える機会を作ることで、アニメファンの皆様にABEMAをより身近に感じていただいて、アニメを視聴する選択肢の一つになってくれれば有り難いなと思います。

 また今後、ABEMAでは国内最大級のアニメアワード『日本アニメトレンド大賞』を12月26日(金)19時より無料生放送します。今年で3回目の開催となり、SNS/アニメ業界で“一番バズったアニメ”を発表するものです。ABEMAアニメ祭もそうですが、ABEMAがアニメ業界において存在感をより一層高め、少しずつでもアニメ業界の力になり、貢献できるようになればと思います。

大友氏 ABEMAは、開局して来年でちょうど10周年になります。ABEMAアニメ祭も、毎年やる定番イベントとしてアニメ業界に浸透していけたらと思っています。開局以来、多くの作品関係者の皆様のご協力によって、今のメディア規模になっています。そのことに感謝しつつ、ABEMAアニメ祭をアニメ業界にとってプラスになる場にしてきたいと考えています。来年は去年、今年以上にいろいろな作品とより深い取り組み、新しい取り組みをしていきたいです。

―ありがとうございました。

◆大友真吾

株式会社サイバーエージェント 執行役員
興行本部 本部長 /アニメ&IP事業本部 MD局 統括 / 株式会社CyberZ 専務取締役
2007年4月 サイバーエージェント入社。2009年にCyberZ立ち上げに尽力し、現在はサイバーエージェントの執行役員に就任し、興行本部本部長、アニメ&IP事業本部MD局統括も務める。

◆森本遥菜

株式会社AbemaTV Contents Headquaters アニメ局 プロデューサー
2014年4月 サイバーエージェント新卒入社。ゲーム事業部でソーシャルゲームの企画・宣伝を担当後、アニメ事業本部で作品宣伝と国内配信営業に従事。その後、ABEMAコマース事業のECチームを立ち上げ。現在はABEMA Contents Headquaters アニメ局にて番組・イベントプロデューサーを務める。

「ABEMA」はテレビのイノベーションを目指し"新しい未来のテレビ"として展開する動画配信事業。

ニュースや恋愛番組、アニメ、スポーツなど多彩なジャンルの約25チャンネルを24時間365日放送。CM配信から企画まで、プロモーションの目的に応じて多様な広告メニューを展開しています。

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