コロナ禍で自分だけの山を買う人が増えている。街中で「山を買ったら何したいか」と聞くと、通行人からは「休みの日にくつろげる空間がほしい)。別荘建てるとか」「畑を横でやってカフェとかペンションとか(を作りたい)」といった声が寄せられた。
そもそも、山はどこで買えるのだろうか。実際に山を買える不動産屋に行ってみると担当者は「去年と今年と比べますと、だいたい10倍近く、お問い合わせが増えています」と語る。
具体的に扱っている山の物件を見てみると、千葉や群馬、茨城など、都内からアクセスしやすい関東圏の山もズラリ。担当者によると、今の人気は伊豆方面で、海にも足を運べる山が人気だという。
コロナ禍で急増している山の購入。一言に山といっても、エリアや大きさによって値段も違う。例えば、東京ドームのおよそ3分の1の広さで498万円の物件、栃木県鹿沼市にある約60坪の物件は30万円の物件、山の所有者が高齢化し、終活の一環として「タダでいいから引き取ってほしい」といった要望もあり、0円で売られているケースも存在する。担当者によると、今は30万円から100万円程度で買える山が多いという。
そして、気になる物件が見つかったら、普通の不動産のように現地に見に行くことも可能。やってきたのは都心からおよそ1時間、神奈川県足柄上郡にある山だ。小田原の街並みから相模湾まで一望でき、夜には満天の星空が楽しめる。敷地の面積は約300坪、値段は約300万円。維持費は、だいたい年間1万円前後だという。日当たりもよく、日光浴にふさわしい山だが、災害時は各自治体にハザードマップなどをしっかり確認して行動する必要がある。
では、実際にコロナ禍をきっかけに山を購入した人は、どのように使っているのだろうか。
「自分のところ(山)があれば、人と接することもないし、家族で楽しめるかなと思って」
新型コロナの収束が見えない中、「自分のキャンプ場を持ちたい」と考えた石川さん。去年、テレビ朝日が取材した際は、持参したテントを張ってキャンプを楽しんでいた。
「デッキを作ったんですよね。(他にも)トイレとかロッカーとか(中略)一通り、だいたい調理する場所とか洗い場を作りました」
なんと、1年かけて、自分専用キャンプ場を手作り。
「キャンプってだいたい道具の準備と片付けが時間とられるんで、嫌になっちゃうんですよね。身体だけ持っていけばいいような感じで(作った)」
また、多くの人が集まる通常のキャンプ場と違い、自分だけが自然を満喫できる環境は格別だと明かす。
「キャンプ場に行ったら、(周りの)食べ物の匂いではなく、きれいな空気を吸いたい」
一方、山を購入後、新たなビジネスを始めた人も。取材で出会った渡辺さんは「山を購入して、そこをキャンプ場にして、人に貸してます」と話す。
渡辺さんは、神奈川県の横須賀、鎌倉、箱根といった人気エリアの山を次々と購入。「自然のモチーフみたいなところで時間が過ごせたらいいな、みたいな。遊びがてら“副業”を始めちゃったんです」といい、購入した山を整え、キャンプやグランピング、若者に人気のサバイバルゲームの施設などを営業している。
自然の中で過ごせる楽しみもあるが、同時に山を使ったビジネスには、予想外のリスクもあるという。
「外って掃除が大変なんですよ、落ち葉が落ちてきたり、台風で施設が壊れたりする。正直、あんまり儲からないですよね」
購入した山で副業まで始めてしまった渡辺さん。儲からない中、続ける理由として「でも(お客さんに)喜んでもらうのが一番うれしい」と笑顔を見せた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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