新聞社などが「岸田内閣の支持率は歴代内閣の発足時より低調だ」と世論調査の結果を報道したことについて6日、岸田総理がコメントした。
記者から世論調査の受け止めを聞かれた岸田総理は「各社によってだいぶ幅があるとも受け止めている。それぞれ質問のあり方等も違うのかなと想像する」と回答。その上で「いずれにせよ、この低い数字も含めしっかり受け止め、自分自身をしっかり振り返りながら、これから選挙に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えている」と述べた。
今回の岸田内閣で全20閣僚のうち初入閣は13人。平均年齢61.8歳、女性の入閣は3人だった。デジタル大臣のポストには、当選3回で40代の牧島かれん議員を起用。デジタル副大臣には小林史明議員、デジタル大臣政務官には山田太郎議員を起用した。
公共政策に詳しい東京工業大学准教授の社会学者・西田亮介氏は、今回の岸田内閣の党役員人事について「真の仕事師内閣、策士内閣だと面白い」と語る。
「特に印象に残ったのは、デジタル関係の人事だ。これまでは『本当にデジタル推進したいのか?』『むしろデジタル利権に敏いのでは?』という印象があった。しかし今回のデジタル大臣、副大臣、政務官の人事を見ると、本当にデジタルに強く、実績がある詳しい人たちが担当している。デジタル大臣に任命された牧島議員は、修士と博士の学位をお持ちで、自民党のデジタル政策を取り仕切ってきた実績もある。副大臣の小林議員は通信社出身で、自他共に認めるデジタル分野に詳しい方。山田議員も2010年代前半からインターネットを使った選挙運動に取り組んでいて、強力な支持基盤がない中、しっかり当選してきた。本当の意味で仕事をしてくれる人事ではないか」
また、今回岸田内閣では総務会長のポストに福田達夫議員を起用。福田議員について、西田氏は「小泉進次郎前環境大臣の“懐刀”と言われてきた。福田議員の方が年齢は上で、『小泉進次郎と福田達夫』(田崎史郎、文春新書)という2人の対談で作られた本もある」とコメント。
「また、商社に務めた経験もあり、外国語も堪能。実力派だ。総務会長は、ベテランが担うことが多い難しい役割だが、小泉前環境大臣が自民党の農政改革をやっていたときに、裏方を取り仕切っていたのが福田議員だと言われている。農水行政は複雑なパワーバランスで成り立っているといわれが、そこに切り込んでいった。なかなかの“策士”であり、派閥の微妙なバランス、政策の調整などの場面で手腕を発揮することが期待されているのではないか。『党風一新の会』(当選3回以下の“若手”衆議院議員約90人で作られた派閥にとらわれない衆院議員有志)をまとめてきた仕掛け人の一人で、まさに抜擢人事といえる」
さらに、西田氏は幹事長に起用された甘利明氏に言及。甘利氏は2016年、金銭授受問題の疑惑で閣僚を辞任。記者会見では「秘書には政治資金収支報告書に記載するよう指示したが正しく記載されなかった」と述べ、捜査の結果、検察庁は甘利氏を不起訴とした。
「岸田総理はあえて甘利氏を幹事長に起用したのなら面白い。派閥の力に屈したかのように見せかけて、政府ではなく党で周囲の目につきやすい幹事長のポストにあえて甘利氏を起用したのかもしれない。実際に甘利氏は週刊誌などから直撃取材も受けている。世間に照らして、派閥の論理だけではもたないことを知らしめ、岸田色と求心力を強めていきたいと思っていたとすればなかなかの策士だ」 (『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側