今月31日投開票を迎える衆議院選挙。刻一刻と選挙の日が迫る中、ある懸念が生まれている。それが若者の“選挙離れ”だ。
【映像】借金返済、介護、年金…これでいいのか? “税金”の使い道(画像あり)※3分20秒ごろ〜
近年、問題視されている若い世代の投票率。2019年に行われた参院選の20代の投票率はおよそ30%と、最も多かった60代の半分以下だった。
また、前回の参院選時、民間の調査会社「日本リサーチセンター」が実施した調査によると、18歳~29歳の人が投票に行かなかった理由について問われた際に「選挙に関心がない」「どの政党に入れればいいのか分からない」という回答が他の年代と比べて高い結果になった。
若者の投票率低下による世代間の「一票の格差」が懸念される中、独自の目線で若者に投票を呼びかける人がいる。ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで「やさしいお金の専門家」として活動する横川(よこかわ)楓さんだ。
「投票にいく人が増えてほしいといった願いと同時に、投票にどのような意味があるか、どのような政策が自分たちに身近なのか、それを理解できている若い世代が少ないのではないかと思っています。自分の一票が自分の手元に入って来るお金にも影響してくる。これをしっかり理解してほしいという思いが強いです」
では、どのようにすれば若い世代が選挙に興味を持つようになるのだろうか。横川さんは「税金の使い道」を知ることがきっかけになるという。
今年度の国の歳出を表すグラフを見ると、現在、私たちが支払っている税金の多くは、国の借金である国債の返済や、年金・医療・介護などに使われる社会保障費のために使われている。しかし、この社会保障費のうち、子育て支援など、現状若い世代に向けた保障は多くない。
「介護だったり医療だったり、あと年金に使われていたり。そういった歳出が子育て世帯への支援の桁と比べて、とても多くなっています。現役世代が子育て世代に対する経済支援をもっと増やしていかなければならないと思えれば、社会保障にかかるお金はこれから増えていくと思いますし、うまくバランスを保つ必要があると思います」
私たちが、普段払っている税金。一方、国の歳入の割合を表すグラフを見ると、現在、日本は全体の歳出額を税収だけで賄えていない。借金に依存し、国債の債務残高も年々増加。将来世代への負担が危惧されている。
「簡単にいうと、国が一般市民の個人や企業からお金を借りて、借りたお金で社会保障に使う仕組みになっています。ただ借りている分、返さなければいけません。国債を返済していくために、返済するためのお金を将来的な税金で賄う。そうなると、将来の税負担が増えます。それを今後どのように返済していくか、たびたび問題になっています」
そして、選挙の度に議題に上がる“消費税の引き下げ”について、横川さんはこう述べる。
「すぐに起こりうるメリットももちろんあると思います。ただ、消費税でそもそも集められていた税金の財源が減ってしまうので、本来集めるお金が減る分、どうしていくのか。それをどのように打ち出しているかまでチェックする必要があるんじゃないかなと思います。今コロナ禍で経済状況が不安定な状況にある中、一時的に家計を立て直すために『手元に入って来るお金を増やしましょう』という考え方はすごくいいと思うので、難しいところだと私自身も思います」
今年度の消費税による税収はおよそ20.3兆円。仮に、消費税が5%に引き下げられた場合、一概には言えないものの、数兆円規模の減収が見込まれる。
「社会の仕組み、経済、お金の政策を作っているのが政治家でし。そういった意味で(選挙は)手元に入って来るお金とすごく密接です。それ考えて、投票する党や人を選んでほしいです。選挙に行かないことで、若い世代の政策ではない、高齢者向けの政策がどうしても充実してしまう。将来世代の負担となる国債の発行で、政府の支出を賄うとなると、若い世代が将来的に負う経済的負担がどんどん増えます。“一票”の意思決定、意思表示を若い世代もやるべきです」(『ABEMAヒルズ』より)
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