「ギグワーカーが自分には合っている」Uber Eats配達員を5年続ける男性と考える働き方
現役配達員に聞く、魅力と不安
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 コロナ禍での需要もあって、今や都市部の日常で当たり前の存在となったUber Eats(ウーバーイーツ)。そんな中、配達員の組合「Uber Eats Union(ウーバーイーツユニオン)」が東京都労働委員会に救済を申し立てた紛争が山場を迎えている。

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 争点となっているのは、配達員は労働組合法上の「労働者」にあたるか否かだ。ユニオン側が、配達員は労組法上の労働者にあたるとして団体交渉に応じるよう訴える一方、Uber Eats側はあくまで自分たちはプラットフォームに過ぎないとして交渉を拒否している。両者の溝が埋まらない中、都労働委は来年6月までに結論を出す予定としている。

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 配達員の労働実態はどのようになっているのだろうか。5年前、Uber Eatsが日本に上陸した直後に配達員に登録、今も継続している尾崎浩二さんは「自由な時間を効率的に使えるという意味で、本当に新しい働き方だと感じた」と話す。しかし2019年7月にはバイクでの配達中に転倒、ケガをしたが、当時は労災保険(現在は任意での特別加入)もなく、保障制度(傷病手当や賃金の保障)が始まったのも、その数カ月後からだった。

 「雨の日にバイクがスリップして右ひじを骨折した。手術を受けて入院した3カ月間ぐらいは“無収入”の状態になってしまった。それまでも配達員仲間のケガの話などは聞いていたが、自分が実際にそういう状況になると、やっぱり将来が不安だなと、率直に思った。今は“見舞金”という補償制度があるが、それでもいつまた事故に遭ってしまうかわからない。これまでに100人以上の仲間から相談を受けたから、これから始めようとする人からは、どんな保険に入ったらいいのかという質問は多い」。

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 今年4月からは、正社員として働いた時期もあるという。ギグワーカーというスタイルが自分には最も合っていると思う反面、迷いもあるようだ。

 「例えば“来月から急に報酬を下げる”、といったことを説明もなく、一方的にプラットフォーム側ができてしまう構造もある。その辺は、少し自分たちのことを軽く見ているのかな、みたいな不満はある。ただ、特に大雨の日など、“ありがとうございます”と声をかけてくれ方がいらっしゃったりするし、それをチップいう、目に見える形でいただけることもある。不満以上にUberに感謝している部分もあるので、いま以上の報酬や保障を求めようという考えはない。

 これから先、Uber Eatsのようなギグワークという働き方はどんどん増えてくると思うし、自分も性格的に合っているなと感じている。ただし、このまま“Uber Eats専業”で10年、20年、30年と生活を続けられるのか、これが“本業”になり得るのだろうか、という心配はある。自分自身、そこをどうにかしなければということで、新しいスキルを身につけようと考えながら仕事をしている」。

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 慶應義塾大学の夏野剛特別招聘教授は「日本は雇用の安定を会社が保障している代わりに給料が安い。リスクとリターンを考えれば当たり前のことだ。だからギグワーカーに補償もする、労災保険にも加入させる、ということになれば、時給は下がることになるし、Woltやmenuといった別の事業者もあるわけで、複数と契約をしたり、選んだりすればいい」と話した。

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 実際、尾崎さんは『出前館』の配達員にも登録しており、赤い帽子をUberEatsのバッグに忍ばせている。それを見たテレビ朝日平石直之アナウンサーが「良いんですか?(笑)」と反応すると、夏野氏は「サンフランシスコに行っても、シンガポールに行っても、みんなUberだけでなくLyftやGojekのマークを付けているし、働けと言われても、“いや、今日はごめん”と言って問題ない。そういうところに反応してしまうのは日本人だけだし、どれが本業か副業かなどと考えてしまうところが、やっぱりテレ朝のサラリーマンなんだ(笑)。“労働者”とかという概念自体、もう20世紀的だし、あまり大きな声では言えないが、むしろ今の日本の制度なら、給与所得者よりも個人事業主の方が有利だという部分もいっぱいある」。

 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授も「僕は独立して長いから分かるが、そこで“良いんですか?”と言ってしまう平石さんは、見事にテレビ朝日の社畜になっているということだ(笑)。自分の判断で仕事に行くかどうかを決められる、そこにお金以上の価値があるんだというところが新しいということだ」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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