弟子は総勢22人の大所帯 井上慶太九段「もうほったらかし」と笑う自由な環境で育つ棋士たち
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 棋士、奨励会員合わせて総勢22人。まさに大所帯という井上慶太九段(57)の門下は、エピソードがいっぱいだ。「第1回ABEMA師弟トーナメント」の開幕に先立ち、師匠8人が集まり将棋界の師弟関係について語る「師匠サミット」が12月18日に放送された。師匠たちがそれぞれ指導・育成について悩みも抱えているところ、大会に参加した師匠の中では断トツとなる多数の弟子を抱える井上九段は「もうほったらかしです」と、穏やかににっこり。そんな環境でも、大会に出場する弟子の一人、稲葉陽八段(33)をはじめ、着々と未来の将棋界を背負って立つ逸材が、1人また1人とプロになっている。

【動画】師弟について語る8人の師匠

 現在、井上門下は棋士6人、奨励会員16人の計22人。森信雄七段(69)、所司和晴七段(60)といった多数の弟子を抱える師匠の一人に数えられる。奨励会、三段リーグには史上3人目となる女性の三段、中七海三段(23)が在籍し、初の「女性棋士」に向けて奮闘しているところだ。

 弟子が10人もいればかなり多いだけに、22人という数は、本人すら「本当に大所帯」というほど。「月に2回、研究会で集まります。プロの棋士は忙しいので来てないですが、奨励会員は来ています」というからには、毎月井上九段を含めて17人が集まり、盤を挟んで、あるいは囲んで精進していることになる。弟子はどれだけ増えても「昇級してきた時に電話してくれるのがうれしいですね」と目を細める。

 井上九段自身は、若松政和八段門下。兄弟子には、最年少で名人になりタイトルを27期獲得した谷川浩司九段(59)がいる。「先輩方には、ずいぶん教えていただいた」と感謝し、自分の弟子たちも「下の級の子も上位の子と対局できる環境にある」と、兄弟子・弟弟子の関係が、棋力向上になると感じる。ただし、「それを当たり前と思っている。他のお弟子さんは、地方で苦労されている人もいる。そういうところを感じてもらいたい」と、これが恵まれた環境であると伝えた。

弟子は総勢22人の大所帯 井上慶太九段「もうほったらかし」と笑う自由な環境で育つ棋士たち

 すくすく育った弟子たちから、思いがけないプレゼントをもらったことがある。腕時計だ。「稲葉、菅井、船江、出口の4人からです。食事会を用意してもらったんですけど、コロナ禍でできなくて、プレゼントだけもらったんです。すごく大きな袋に包まれていたんですが、入れ物も分厚くて。時計はこれくらいでした」と、微笑みながらサイズを示したが、その包装からわかるように「ちょっとこれ、尋常ではないな」と、もらった品を調べると100万円はくだらない高級時計だった。

 「なんでくれたか、よくわからない」と、特に節目の何かを迎えたわけでもないところ、1つ思いついたのが弟子たちの結婚だ。稲葉八段、出口若武五段(26)が相次いで結婚。師匠から愛弟子にいろいろとお祝いを贈っただろうが「(お返しの)意味もあったかもしれませんね」。自動ではなく手巻きの時計だったため「結構めんどくさい」と笑ったが、それもちょっとした照れ隠し。順位戦A級棋士も、タイトルホルダーも生まれた井上一門。今後も、次々と朗報が師匠の耳へと届くだろう。

◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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【動画】師弟戦について語る日本将棋連盟会長・佐藤康光九段
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