戦うごとに学び、そして強くなる。そんな若者の成長を感じられた5局だった。現在、将棋の棋士における序列1位の座についている藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)。1年前の今頃は王位・棋聖の二冠で、2つのタイトルを防衛できるか、さらには1つでもタイトルを増やせるか、というのが周囲の見立てだった。そして6月末に始まったのが、当時竜王と叡王の二冠だった豊島将之九段(31)を迎えての、お~いお茶杯王位戦七番勝負だ。このシリーズ開幕まで、1勝6敗と大きく負け越していた“天敵”だったが、4勝1敗で退け防衛を果たす中で、この力関係にも変化が生じていた。