先月27日から28日の未明にかけ、SNSによる情報拡散を信じた若者が沖縄市の警察署を取り囲み、その一部が暴徒化した。警察署周辺に集まった人数は一時およそ400人とも言われており、近年では珍しい規模の襲撃事件は社会に衝撃を与えている。今回の騒動について“ヤンキー界の重鎮”として知られ、現在は青少年不良文化評論家として活動する岩橋健一郎氏が言及。沖縄で暴走族や不良少年らを取材してきた経験から「共通の敵は警察」としつつも、暴徒化した若者については「野次馬の悪ノリの延長」とする独自の分析を行った。
これまで独自の取材活動で何度か沖縄を訪れたことがあるという岩橋氏は、沖縄県内の不良少年らの傾向について「暴走族や不良少年というのは、意識を対警察に向けている連中が多い。じつは沖縄の暴走族の連中らは中学校時代に対立抗争はすでに終えている。中学校を卒業してというときには、もうみんなが仲間。そこで敵は誰だとなると、やはり警察になる」と説明する。
今回の騒動の前後、若者に人気のTikTokを中心にYouTubeやインスタグラム、ツイッターなどで「自分の友達が暴走グループと間違われて警察官に目を警棒で殴られ失明させられた。こんな大ごとになっているにも関わらず警察はこの事件を事故処理で済ませようとしています」などとする書き込みが拡散され、これを信じた多くの若者が集結。警察署に向かって石を投げつけたり、停めてある車を鉄パイプで殴りつけたりするなどの騒動に発展した。
いわゆる“暴徒化”した一部の若者に対して、岩橋氏はあくまで推測としたうえで「野次馬のごとく『なんかやってる』と集まった連中が悪ノリの延長上で、それが結果として暴徒化につながったと思う」と私見を述べると「メインの(訴えたい)人間たちはおそらくいたとしても十数名。そういった人間たちは結局、話をつけに行こう。穏便に丸く済ませようといった趣で警察に出向いていると思う」とする見解を示した。
騒動の発端となった警察官と若者の事故について、警察は暴走行為警戒中に路地裏でバイクに乗った少年を発見。職質しようとしたところ、少年が向かってきたので止めようとして接触。少年はその場から立ち去ったと発表。一方、少年を搬送した沖縄消防署警防課は「けがをした少年から通報があった。少年は救急隊員に『単独事故ではなく警棒で殴られた』と話した」と説明。少年はその後、病院で右眼球破裂と右眼底骨折と診断されたという。
両者の主張は食い違っており、真相はいまだ不明。先月30日にABEMA『ABEMA的ニュースショー』に出演した大島由香里氏は意見を問われると、事実が分かってきてから色々言えるとしながらも「そもそも最初、警察の制止を振り切って事故を起こしているのはわかっている。あとはどういった怒りがあって、どういった流れがあっても、警察署を襲撃するのは暴力で解決しようとしている行動はダメ」と話し、襲撃行為に及んだこと自体を批判している。
また、元埼玉県警捜査一課の刑事である佐々木成三氏は「警察は許す行為ではない。色々なビデオや防犯カメラを実施して、のちに捜査で逮捕するという形をとると思う。検挙することよりも暴徒化を押さえることを考えたということがある。警察官の数も少ないので、検挙活動をしないという指示が落ちていたかもしれない。仮にこの襲撃人数が把握できていたら、これだけの警察官の数で立ち向かうことはできない。警察官の数と装備品を準備してたはずだ。『警察官に警棒で殴られたと』いうワンフレーズだけがSNSで独り歩きして、警察官が意図的に警棒で殴ったという無意識の先入観を持ってしまい、あまり状況を知らずに集まってしまったのでは」などと述べ、今回の騒動に至った経緯や今後の警察の動きについて言及している。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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