「合意は戦争の“中止”ではない」ロシアとウクライナ、停戦協議の行方は?国際政治学者が解説
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 20日、ロシア軍がキエフの巨大ショッピングモールを砲撃し、8人が死亡した。また、激しい市街戦が繰り広げられているマリウポリでは、約400人が避難していた美術学校も砲撃され、多くの市民が瓦礫の下敷きになるなど、ウクライナでは市民への被害が甚大になっている。

【映像】停戦協議の行方は?国際政治学者「合意は戦争の“中止”ではない」

 ロシアの狙い、そして状況をどう見ているか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、ウクライナ出身で国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏に話を聞いた。

「ロシアは当初の作戦が失敗してから、なりふり構わず大規模の攻撃に出ている。ここで大事なのは、ロシアは意図的に民間人を狙っているということ。わざと多くの民間が被害に遭ったり、死亡するようにミサイル攻撃などをして、ウクライナ人の戦意喪失を狙っている」

 一方、ウクライナとロシアの停戦協議ではどのような話がされているのだろうか。トルコの日刊紙『ヒュリエット』では具体的な論点は6項目あるとし、次のように詳細を伝えている。

1.ウクライナの中立化
2.非武装化と安全保障
3.非ナチ化
4.ロシア語の使用制限の解除
5.東部ドンバス地域の帰属
6.クリミア半島の帰属

「合意は戦争の“中止”ではない」ロシアとウクライナ、停戦協議の行方は?国際政治学者が解説
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 グレンコ氏はこの6項目について「あくまでもロシア側のみの要求であり、ウクライナ社会は絶対に認めないものだ」と述べた。

「交渉の中でも項目1の“ウクライナの中立化”については受け入れられても、特に項目2、3、4は絶対に認めない。この条件が飲めない以上、ロシアがそれを引き下がらない限り停戦交渉は成立しない。では、どの場合停戦に応じるのかというと、今回の攻撃でウクライナを全部制圧する見込みがないと判断したときになる。ただ、重要な点は仮に停戦合意が成立したとしても、あくまで戦争の延期になるだけで、中止にはならない。仮に停戦成立しても、その後、ロシアは次の戦争の準備を始めて、数カ月後または半年後に新しい戦争が起きる。それはロシアの目的が中立ではなくてウクライナを完全支配することだからだ」

 ロシアはウクライナを完全支配するまでは軍事侵攻を続ける……。ウクライナ側には解決の糸口は見えていないのだろうか。

「見えていない。この対立は、ロシアの目的が変わらない以上、ロシアの支配または政権が崩壊し、政権交代するかのどちらかでしか解決しない。妥協はありえない」

(『ABEMAヒルズ』より)

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